これまで、アクセシビリティ機器について深い配慮のもとにその活用をはかった実践事例として、肢体不自由養護学校ならびに盲学校(視覚障害)についての何校かの優れた実践を紹介してきた。以下には、その他の障害種別として特殊教育の対象児の中でも数的にはもっとも多い知的発達障害児(精神薄弱児)の養護学校についての事例を取り上げる。知的発達障害児はその障害の態様が幅広く、配慮点が機能的な課題より知的発達の状態や学習経験の有無の方が大きいなど、きわめて個々にわたるため多くの可能性と同時に指導上の課題を抱えている。
これらの学校における、導入から活用に至るまでの実践の経緯を次に導入を志している新たな学校の計画や準備に役立つことを願って紹介する。
・兵庫県神戸市立青陽西養護学校での取り組み
1.ネットワークパソコンが運用されるまで
阪神淡路大震災を教訓として、被災地に関するリアルタイムな情報収集や情報共有化の実証研究のため「次世代防災ネットワークに関する研究」が「通信・放送機構(TAO)」によって行われている。神戸市ではその一環で防災ネットワークとして各学校にネットワーク端末が設置されることになった。
私も青陽西養護学校のネットワーク担当者となった。この文は一学校の担当者が見た範囲のことを書いている。
平成8年6月末までに神戸市立の全学校(養護学校・大学・高専・高校・中学・小学校)にネットワークパソコンが設置された。この端末にはCCDカメラがつき、CU-CeeMeもソフトとしてインストールされている。またデジタルカメラもついてきている。想像であるが、災害時に顔を見ながらの報告や災害現場の映像を送ったりするためのものと思われる。7月に校長・教頭・ネットワーク担当者はそれぞれ研修を受けた。この時の研修は、ネットワークの仕組、ネットワーク管理の重要性などの内容だった。具体的な操作方法などは特には無かった。
10月15日から神戸市の全学校で一斉に運用が開始された。運用開始にあたってメールソフトを設定し、送られてくるメールを読みソフトを解凍してインストールする、そしてソフトを設定する、という作業が必要だった。このメールソフトの使用及び各種設定は教頭先生が行った。具体的な操作方法の研修は教頭先生を対象に夏休みに行われていた。教頭先生によってはパソコンそのものに慣れていない方もおられ、いくつかの学校では周囲の教員の何らかの協力があったようである。しかしその手助けをした教員も「どこまで手伝っていいものか」わからずそれぞれに苦労があったようである。ただ個人でなく学校として利用していく、ということを考える時、とにかく教頭先生に慣れて頂くというのは大きな意義があるように思われた。
11月末にはほぼ全市の学校で安定して運用できるようになった。メール送受信用にWinBiff、ホームページを見るためにNetscapeNavigatorが入った。現在のところ、メールの利用は教頭先生が、ネットサーフィンについては全教職員ができる。
さらりと書いてきたが、システム管理の方のサポート及び管理のための努力は、私など垣間見るだけであるが、ものすごいものがある。現在もネットワークの利用の範囲を広げていくためにシステム管理担当の方の努力が続いている。神戸市全部の学校が「一斉に」かつ「安全に」ネットワークを運用していくための仕事量は想像を絶するものがあると思われる。
2.本校での利用を巡って
ネットワーク運用直後から校内で本校のホームページを作りたいという話が持ち上がった。特に本校は従来より、授業や行事・生活などについて本校をよりよく知って頂くための広報活動に力を入れており、そのための新たな手段になるのではないかと考えられた。しかし教員40名程の本校はパソコンで文書を作る者が10名程度。そのうち通信やインターネットを使用している者は1名(私のみ)という現状である。インターネットやホームページという言葉自体、ニュースで聞くことはあってもそれが何を意味するかわからない方も多い。
そこで11月に職員にネットサーフィンを体験して頂こうと下記の要領で研修を企画した。
・パソコンの電源の入れ方、切り方
・クリック、ダブルクリック
・NetscapeNavigatorの立ち上げ方、終わり方
・リンクの飛び方、ブックマークの利用、URLを入れての飛び方
・YAHOOの使い方、(そのために)IMEの使い方
・そして自由にさわって頂く
一人あたり約20分かかったが、半数を少し越える方々に体験して頂くことができた。
12月に入り「ホームページの試作についての案及び保護者へのアンケート案」を本校の情報処理委員会で検討し、学校運営委員会で提案、そして職員会で提案し認められた。
但し、保護者へのアンケートはPTA運営委員会で諮った後に行うということになった。なお実は職員会当日私は県外に出ていたため会議の場にはいなかった。代わって提案した先生によると「よくわからないまま通ってしまった、という方もいるのではないか」とのことだった。
平成9年1月早々にPTA運営委員会でのたたき台にするためにも、とりあえずの試作版を作り、ネットワークされていないパソコンに入れ、また印刷したものを廊下に張り出した。ところが私が1月のPTA運営委員会の日に体調を崩し休んでしまったためにPTA運営委員会での提案はできず2月に持ち越しとなった。もちろん情報処理委員会という組織で考えていく体制作りをしているのであるが、まだまだ個人の動きに左右される現実がある。
現在神戸市の各学校のホームページについては、公開のガイドラインが出ていない。しかしいずれ出てくると思われるので、その際にはすぐに公開できるように準備を続けていきたいと思っている。