平成7年4月13日 情報処理振興事業協会 (財)コンピュータ教育開発センター 質問/回答  メーリングリスト等で多くの方からご質問のあったテーマ、及び先日の説明 会でお出し頂いた質問票のなかから、代表的なものについてご回答しておきた いと思います。 ■メーリングリスト等での質問内容 1. 機器の選定について Q: なぜ今回の機器構成に決まったのか。 A:  いくつかの観点から説明したいと思います。 ・ブロックに分割した理由 全国を6つのブロックに分けて調達しています。これは、全国に分散した学校 に短期間で導入を行うため、および導入後のサポートを円滑に行うために望ま しいと判断したためです。 ・各ブロックで調達した機器にバリエーションがある理由 今回のプロジェクトでは、政府調達ということでGATT方式に準拠しています。 これは、まず調達仕様案を開示し、それに対する意見を招集し(不公平な仕様 を排除するため)、それを反映した調達仕様に基づき入札を行うものです。調 達仕様では、今回のプロジェクトで必要とされる実現機能が書かれており、各 社はそれを満足する機器、ソフトウェアの組み合わせを提案するわけです。そ のため、調達仕様では特別な理由がないかぎり、特定の機種、ソフトウェア名 称を指定することはできません。 ・なぜMACとWindowsは指定できたのか 本来であれば、クライアントパソコンということでWWWのビューアが動くこと、 といった機能面からの仕様を書き、どのような機種が入るかは分からないとい うのが一般的です。しかしながら、今回の場合は学校での教育効果を重視する という理由で、学校側の環境との整合性を可能な限り確保しようということか ら、クライアントパソコンについてはアンケートを実施して2つから選択可能 としたものです。 ただ、今回でも機種を指定したのではなくMacOSとWindowsという基本ソフトを 指定しただけで、機種を指定したのではありません。   ・なぜAT互換機を指定しないのか 現状ではAT互換機ということに対し明確な調達仕様を書くことは困難です。例 えAT互換機であったとしても、あるOSを稼働させようとした場合、そのOSがサ ポートするグラフィックアクセラレータ、SCSIコントローラ、イーサネットボー ドがそろっていなければ動作が保証されません。また、首尾よくOSが動いたと しても、その上で必要なアプリケーションが稼働するかは別問題です。このよ うに考えると、ある特定の機種、OSを指定しない限り調達は不可能となってし まいます。 そのため、今回は利用するアプリケーション(機能)で仕様を規定し、それが確 実に動く組み合わせを提供ベンダ企業に保証して頂くという方針をとっていま す。 2. 学校内LANとの接続について Q: 学校内LANに接続するにはどうすればいいか A: 技術的な面からみると、各校でお持ちの既設LANは、メーカ、使用するLANのプ ロトコル、マシン環境、OS、導入時期等が千差万別であり、その組み合わせを 考えると事実上各校ばらばらであるといってよいでしょう。そのため、ある一 つの学校のLANを取り上げれば、それを今回提供する環境に接続することは可 能かもしれませんが、短期間に全ての学校についてそのようなことを行うこと は、技術的にも、予算的にも極めて困難と思われます。そのため、今回は確実 に動作を保証し、かつ将来の拡張性を確保するという意味で、サーバとクライ アントのセット+インターネットへの接続性を標準形として提供することと致 しました。 もちろん、既設LANによっては今回提供する環境との整合性が高く、比較的容 易に接続できる場合もあり得ます(例えばネットワークのプロトコルがTCP/IP であり、パソコン上でインターネットのクライアントアプリケーションの稼働 が保証される場合)但し、今回の事業での提供範囲としては、標準環境からの 拡張は学校側の努力で行って頂きたいというのが基本方針です。 3. 他校との接続について Q: 近隣の学校で、今回提供される回線に接続させて欲しいという要望があるのだが。 A: 二つの観点があると思われます。 一つは利用者の範囲をどこまでに想定するかという問題です。すなわち、回線 で接続はしないが、メール等の利用権(ID)を外部の人に与えても良いかという ことですが、これについてはご遠慮頂く方針です。利用者は学内の方に留めて おいて下さい。 もう一つは、自分の下位サイトとして他校を接続して良いかという点ですが、 以下のことから原則不可と致します。 ・ネットワークの運営上地域ネットワークのNOCの下は一段階に留め、孫サイトは  作らないのが一般的 ・サポート等面で地域ネットワークに過度の負担をかける恐れがある ・障害やトラブル等に関する責任範囲の明確化が困難 ・技術的にみて、学校がNOCの役割を果たすこととなり、安定稼働を保証するため  にはかなりの技術力を必要とする もちろん、今後参加できる学校数を増やす努力をしなければいけないことは認 識しておりますが、これについては100校が無事立ち上がってからの課題とし たいと思います。 あとは、学校のサーバにモデムを付けて自宅からアクセスしたい等の要望があ りますが、これらについては、今後運用方針等を決定する仕組みを作る予定な ので、そこでの検討において決定して行きたいと思います。 ■説明会での質問内容 Q: 学校側の費用負担で、機器の設置場所を変更したり、拡張を行なっても良いか。 A: 原則として結構ですが、以下のような問題が考えられるため、ケース・バイ・ ケースで判断したいと思います。個別にIPA・CECにご相談下さい。 ・移設/拡張を行なったことにより動作しなくなった ・問題が生じた時に、だれがどうやって対応するか Q: 今回提供の回線速度(3.4KHzアナログ回線/64Kbpsデジタル回線)でどの程度 の利用ができるのか。特に、3.4KHz は遅すぎないかと心配だ。 A: アナログ回線については、最大で 28.8Kbps (回線状態が悪くても14.4Kbps 程度)の通信速度を想定しています。これに圧縮の効果が加わるので、アナロ グ回線でもデジタル回線にさほど遜色ない速度が達成でき、利用に際しては両 者で大きな差はないと考えています。 今回提供の回線速度でどの程度の利用ができるかの目安は次のようになると思 われます。但し、実際には「どこと」通信をするかによって通信の経路は異な り、通信速度はその経路中で一番遅い通信速度に依存してしまうので、これは 非常に大ざっぱな目安と言えるでしょう。 ・メールやニュース等の利用  問題ない ・telnetやgopher等文字ベースの利用  同時に十数人程度の利用なら問題ない。数十人規模になるとスピードが低下 する。 ・WWWなど画像を含んだデータの交換  同時に数人程度の利用なら問題ない。十人を越えるとスピードが低下する。 ・音声、動画  事前にデータを取り込んで置く等の工夫により利用可能。 Q: 導入された環境をどう使うか(例えば、授業で利用するとか課外活動で利 用するとか)について、学校がで自由に判断しても良いのか。 A: 学校内の先生、生徒/児童の教育利用については、ネットワーク上のモラル、 マナーを守って使用する分には、制限を設けません。 詳しくは、今後学校と取り交わす覚書(対IPA・CEC)、地域ネットワー ク協議会の規約/規定などを参考にすることとして下さい。