平成7年4月26日                          情報処理振興事業協会                   (財)コンピュータ教育開発センター トピックス 〇 メーリングリストから  前回のニュースレターでは,メーリングリストの概要,利用状況,参加方法 等を紹介しましたが,今回はメーリングリストの中身について簡単に紹介しま す。  まず,100校プロジェクトの中で他校と協力して行ってみたい実践のアイ デアがいくつかあげられています。例えば,「メーリングリストを利用し連句 を作成する」,「共同観察をしてデータを交換し合う」,「生徒が作成した各 地のローカルニュースを交換し合う」等が提案されています。これらの企画案 が段々と現実の動きとなっていくこととと思いますが,IPA,CECでも様々 な企画アイデアをとりまとめ,100校プロジェクトの活性化の支援をしてい きたいと考えています。これからメーリングリストに参加される方も他の学校 や機関等と共同して実践したいアイデアを提案してください。  また,ある学校で職員室のコンピュータにウィルスが見つかったとの書き込 みがありました。ウィルスの問題については不安をもっている方も多いと思い ますが,正しい知識をもっていればそれほど過敏になる必要もありません。I PAで作成している「コンピュータウィルス対策」を資料4として添付しまし たので参考としてください。  回線や機材の導入が進み,プロジェクトがいよいよ現実のものとして実感で きるようになり,期待と不安に関する書き込みも増えています。このことに関 して通商産業省情報処理振興課のXXXX課長補佐からの次のような書き込みがあ りました。 ===================================  XXXXXXXXX mailing list の皆さん、はじめまして。通商産業省情報処理振 興課のXXXXと申します。通産省において今回の100校プロジェクトを担当し ている者です。(CECの研修会で冒頭にご挨拶させていただいた者です)  これまでXXXXXXXXX での皆さんのやり取りは逐次大変興味深く拝見しており ました。しかしながら、振り返ってみると、このプロジェクトの一端を担って いる通産省の者の書き込みはほとんどありません。これは、別に敢えて何も語 らないつもりでは決してなく、単に皆日頃の業務に追われて書き込む時間的な 余裕がなかったことによります。しかし、かといって沈黙のままでいるのは、 プロジェクトの推進役として無責任な態度でもあり、遅蒔きながらこれからは ちょいちょいお邪魔しようと思っています。  私達がなぜ100校プロジェクトを考えつき、実行しようと思い立ったか、 これについては、話すと長い話になり、始めての書き込みであまり長文となっ てしまうのは恐縮なのでまた別の機会にお話しするとして、今回は最近のメー ルで気づいた点を2、3お話ししたいと思います。まず、沖縄のXXXXさんのコ メントについて   > でも、これでいいのかなと思ってしまう。つまり、いつまでもこれで   >良いのかなと思う。100校のサポートは、中央からの集中管理で可能   >かも知れないが、もしも、200、300と拡大した場合はどうなるだ   >ろうか?  CECのXXXX氏もコメントしておられますが、つけくわえるならば次のような ことかと思います。  CEC研修会の冒頭の挨拶でも述べたとおり、ネットワークの本質は、ネット ワークに接続している一人一人が主体的な情報ターミナルになることだと私は 思っています。それぞれのターミナルがヒエラルヒーの傘下にあるのではなく、 同じ平面上にあって対等に自由に、そして自己の責任において情報のハンドリ ングをしうることが、ネットワークの技術が我々にもたらした新たな環境なの ではないか、そしてこのことこそが、従来の体制や慣習や文化までも変革する パワーを秘めた「今そこにある」変化なのではないかと思うのです。こうした 目で見ると、今回の100校プロジェクトにおけるIPA,CECのサポート体制は、 まさにXXXXさんがおっしゃるように「中央からの集中管理」の形を引きずって いる、いわば本質的ではない体制だということになります。このことは私も強 く認識しております。  100校プロジェクトを一応7年度、8年度の2年間のプロジェクトとし、 我々が9年度以降のあり方について明確にコミットしないのは、実はこのこと と関係しています。つまり、学校にインターネット環境を導入する初期の立ち 上がり期については、本当は本質を踏み外してはいるけれども実際上の必要か ら中央からのサポート・管理体制をとりあえずはとることとしたわけで、この 2年間の間に100校はもちろん、その他の学校においてもネットワークの本 質に立ち戻って、それぞれが主体性と責任を持ってターミナルとして自立して いくことが我々の最も期待する姿なのです。9年度以降においてもなんら問題 意識なく、我々がこの中央集権体制を維持していくならば、見た目はいいかも 知れませんが、ネットワークの本来の姿を見誤ったあり方をフィックスしてし まうことになるのではないかと思います。無論、現実的には、9年度以降も IPA,CECがサポートし続ける必要はあるのでしょうが、少なくとも今の体制を 当たり前のこととはせず、私達の側も、学校側もこういった問題意識を共有し ながら物事を進めていきたい、とまあ、こんなことを考えています。  次にXXXX小学校のXXXXさんのご提案の共同観察プロジェクトとか「全国発芽 マップ」について。こういったおもしろい企画がどんどんでてくるのは、我々 としても大変有り難い話です。是非実現していただきたいと思います。こういっ た発想をもっともっと自由に出して頂ければと思います。例えば、XXXXXXXXX で企画を募り、CECでとりまとめて実現に向けての調整をする、というのは いかがですか(CEC でできますよね?XXXXさん)。以前も電子学園祭というア イデアがありましたし、通産官僚としては、例えば通商摩擦問題やなんかにつ いてネットワーク上でディスカッションをするとか(できれば海外の学校を入 れて)もいいなあと思っています。  また、これは提案ですが、ネットワークの影の部分(悪い部分)を子供達に 認識させる企画も必要なのではないかと思っています。ジャンクメールとか、 他人を誹謗中傷するメールとか、あるいは著作権の問題とか、ネットワークを 悪用することがどんなに倫理上問題なのか、という点について、これからのネッ トワーク社会における基本常識として是非100校プロジェクトの場で先導的 に教えていって頂きたいと思っています。  もひとつ重要なことは、今いった企画が先生からだけの発案じゃなくて、子 供達からの発想をどんどん実現していって欲しいと言うことです。  始めての書き込みについ長々としゃべってしまいました。すみません。10 0校プロジェクトについては、機器等の導入時期、機器のスペック等々様々な ご不満や御意見があると思いますし、これからの運営についてもいろんな意見 や御示唆をお持ちだと思います。我々もあらゆることに始めての経験でよろよ ろしながら走っている状況です。是非皆さん先生方、そして生徒さん達と色々 な面で意見交換をしながら何とかこのプロジェクトを後に続くものにしたいと 思っています。是非皆さんとフランクにディスカッションしながら作り上げて いきたい。ネットワークでつながっている以上、同じ平面上にいる主体なので すから。是非、このプロジェクトを皆さん方のご協力のもとでいいものにして いきたいと思います。  全国数万ある学校のうち、100校なんてほんのわずかにしかすぎません。 が、「たかが100校、されど100校にしよう」というのが我々の合い言葉 であります。  今後ともよろしくお願いいたします。  ==================================  前後の書き込みがないと分かり難いところもあるかもしれませんが,100 校プロジェクトの本質的な部分が語られていますので,紹介させていただきま した。また,XXXX課長補佐の100校プロジェクトに関するコメント(新聞記 事)を次ページに添付してあります。併せて,ご一読ください。