「世界の学校教育におけるインターネット活用」
新100校プロジェクト 国際シンポジウム'98
国内の事例発表 小学校
インターネットを利用した国際理解教育の実践
Classes for International Understanding Using the Internetl
「アメリカの生活を知りたいな」福井市円山小学校3年生の実例報告
"I Want to Know About American Life"--An Example Lesson Taken from a Fukui City Enzan Elementary School Third Grade Class

福井市円山小学校 乾昭治
Shoji Inui, Fukui City, Enzan Elementary School

概要
 国際交流員との交流をとおして,国際理解教育を実施した。まず,子供たちは興味があり,自慢できる日本の文化について,グループごとに調べた。調べたことを国際交流員に紹介した。その後,国際交流員からアメリカの生活について紹介を受けた。アメリカの小学生の生活について詳しく知りたいということになった。国際交流員に相手校の紹介と翻訳をしてもらって,E-mailによる交流を行った。子供たちの好きな食べ物,アニメ,スポーツなどについて調べた。自分たちと似ていることや異なっていることについて気づいた。
 外国のいろいろなことをもっと知りたいという興味・関心も多くなっている。

An outline
Our classes in international understanding were bolstered through visits from the Coordinator for International Relations (CIR). The first thing that the children were interested in learning was about culture, so they formed groups to research parts of Japanese culture that they were proud of.
Then they introduced what they researched to the CIR. After that, the CIR introduced some parts of American lifestyle to the children. The students became very interested and wanted to know more detailed information about American elementary school children`s daily life. The CIR then introduced us to a school that we could interact with, and helped us with translating so that we could communicate by e-mail. Children from both schools researched their favorite foods, cartoons, sports, and so on. They noticed that some favorites were very similar to their own, while other things were very different. The students` curiosity and interest in learning various things about foriegn countries has really grown.

キーワード(key word)
国際理解教育 国際交流員 個を生かす教育 インターネツト コミュニケーション
Classes for international understanding, Coordinator for International Relat
ions, internet, communication.

1.交流のねらい
1.1 研究主題から
 本校は,研究主題に「個を生かし自ら取り組む子供の育成」,副主題として「−情報を活用し 発信する子をめざして−」を掲げ,夢と希望に満ちた学校への改革と創造をめざして実践研究に取り組んでいる。学習の中に体験活動を多く取り入れ,この活動の中で,一人一人が自分の思いや願い,もっと知りたいという学習課題を自分で見つけ,学習内容やメディアを自分で選ぶなどして,問題解決的な学習や選択制を重視した授業により,自分のよさを生かし,主体的に取り組む学習活動のあり方を追求している。

1.2 国際理解教育の視点から
 国際化が進んでいる今日,文化を異にする人と共生していくことはこれからの国際社会で生きていく上では大切なことである。子供たちはまず,日本の生活について自分で課題をもって追究していき,日本のよさについて見つめ直した。ついで,国際交流員の先生からアメリカの様子について話を聞き,アメリカの生活に興味・関心をもたせた。 日本の文化の再発見を大切にしながら,異文化理解については異なる文化をもっている相手に対して,子供たちの目の高さで,子供たちが感じた相違点や類似点を認め合わせる。調べたことをお互いに伝え合う,表現活動を通してコミュニケーション能力を育てていきたいと考えている。

2.相手校を見つけた経緯
2.1 日本の自慢発表会 
 7月に国際交流員の先生を迎え,一人一人の見方や考え方に対応しやすくするため,学年TTを組み,グループごとに「日本の自慢発表会」をした。発表したい内容が同じ子供たちでグループを作りいろいろな表現方法で,国際交流員の先生や見ている人にわかるように工夫して発表した。発表の内容は,食べ物・祭り・学校生活・遊び・生き物・行事などである。発表の方法は,コンピュータやOHPや紙芝居や動作化などである。発表の仕方は,セッション方式を取り半数ずつグループごとに発表してその他のグループは見て回った。選択肢が多いこともあり,子供たちの自主的な活動がさかんに見られた。材料や資料を進んで集めたり,図書室やインターネットなどで意欲的に調べたり,動作化をしたりして楽しく活動していた。

2.2 国際交流員による外国の説明
 子供たちは自分たちの生活の中で,日本らしいと感じたことを自分のものとして,いろいろな外国の人に教えてあげたり紹介したりしてきた。その後,国際交流員の先生からアメリカの生活について,写真を見ながら教えてもらった。この交流会後,もっとアメリカについて知りたいな,という思いをもつようになった。

2.3 相手校決まる
 こんな時,国際交流員の先生から出身地のミネソタ州ケンブリッジ小学校の先生が,日本の小学校との交流を考えていることを聞いた。子供たちからも,アメリカの学校とぜひ交流したいと希望があったので,9月に入り電子メールで送受信しながら交流を始めるようになった。

2.4 E-mail始まる
 まず,円山小学校の紹介(あいさつ,学校の位置,校舎の様子,児童と教師の人数,教科の説明など)をした。しかし,日本文でしか書けないこともあり,初めに国際交流員の先生に電子メールを送り英訳してもらい,その返信された英文をケンブリッジ小学校に再び送信することにした。

3.交流内容の設定 「日本とアメリカの生活を比べよう」

 「日本とアメリカの生活を比べよう」の日本のアンケートの結果を,ケンブリッジ小学校へE-mailを送る。そして,ケンブリッジ小学校の子供たちにも日本の子供たちとの相違点や類似点を知ってもらい,日本の生活について理解してもらうことにした。

4.テーマの内容
 アメリカの学校と電子メールをとおして交流してきた。すると子供たちは,日常的なことでアメリカの子供たちはどのような考えや思いをもっているのか疑問をもつようになってきた。「ぼくたちは,サッカーやファミコンが好きだけれど,アメリカの子供たちは何が好きなのかな」「アメリカの子供たちが好きな食べ物は何かな」などという声が聞こえてきたので,子供たちがアメリカの生活について知りたいことのアンケートを取った。それをアメリカの学校の子供たちと比べることになった。知りたいことは,好きな食べ物・スポーツ・アニメ・教科・花・おもちゃ・飲み物・家で飼っている生き物などである。そこでまず,日本ではこのことについてどうなっているのか,3年生全体でアンケートを取ることにした。そしてなぜそうなのか,なぜそう思っているのかを調べ,調べたい内容ごとにグループを作り発表することにした。調べたいことを選び,集計し,まとめ,それを表現する活動を通して,話し合い助け合う中でお互い認め合い理解させたいと考えた。
 グループの中では,調べたいことにこだわりをもち,自分たちの思いを大切にして取り組んでいた。そして,自分たちの思いを人々にきちんと認めてもらい,それをきちんと主張し,また同時に周りの人々の思いも大切にしていた。
発表するとき,人数が多いので全体を2つの班に分け2回発表の場をもつた。発表は,セッション方式で各コーナーごとに一斉に発表する。発表するとき一方的な発表ばかりではなく,クイズを出したり体験の場をもったりして,コミュニケーションを取り入れた双方向性のあるものとした。このことは,聞く側も積極的に参加することができ,受け身ではなく,より相手に関わりをもてるので主体的に活動できるものと考えた。

5.交流領域:特別活動(学級活動)日本の自慢したいことを調べる−6時間
 アメリカ の生活を調べる−8時間。・子供たちは学活の時間だけでなく図工・国語・算数・理科などをクロスさせながら,好きなことについて調べるというねらいを一つにして,それぞれが調べていった。このように一つのねらいを達成するために,カリキュラムをクロスさせながらねらいにせまっていくことが必要である。新しく始まる総合の時間を無理なく展開できたと考えている。


6.交流結果
好きな食べ物 日 1ハンバーガー 2ステーキ 3ラーメン 
米 1ピザ 2ラザニア 3ハンバーガー
好きな果物 日 1ナシ(梨) 2リンゴ 3バナナ
米 1バナナ 2ラズベリー 3イチゴ
好きなアニメ 日 1ポケモン 2ドラエモン 3ピングー
米 1ガーフィルド 2シンプソンズ 3アニメニアックス
好きな花 日 1コスモス 2ヒマワリ 3チューリップ
米 1いっぱいあるのできめられない
好きなスポーツ 日 1ドッヂボール 2サッカー 3野球
米 1アメリカンフットボール 2野球 3水泳
学校生活 省略

7.児童・生徒の変容:子供の生の声

8.先生の立場の成果・課題

9.苦労したことまたは失敗談
 学期が異なる。アメリカでは9月が年度始めに当たり,年度始めの事務が忙しかったり,研修に行っていたりして,授業予定日の直前にしかメールが届かなかった。

10.ワンポイント・アドバイス

11.その他


1998.6.17 Update