「世界の学校教育におけるインターネット活用」
新100校プロジェクト 国際シンポジウム'98
国内の事例発表 中学校
国際交流クラブの取り組みを通して
The Activities of International Relations Club
−ヴァーチャルクラスル−
- Through the Participation in AT&T Virtual Classroom Contest'97-
徳島市立徳島中学校 教諭 香川 朗
Akira Kagawa

概要
 私たちは1996年から国際理解教育のための特別授業をしてきました。
国際交流クラブの取り組みをとおして,私たちは世界中の生徒たちと交流を持ち,国際的な視野を広げてきました。
特に,昨年は3年生の32人と2年生の科学部15人がバーチャルクラスルーム・コンテストに参加しました。私たちは6ヶ月間,ニューヨークのRoss SchoolとインドのニューデリーのSt.Columba's School との間で,CU-SeeMeや e-mailでコミュニケーションを取りながら,マルチメディア・マガジンを協力して作成しました。

An outline
We have had a special class for the international understanding since 1996. Through the activities of the International Relations Club, we have exchanged e-mails with the students of all over the world and acquired an international way of thinking.
 Especially,32 students (8th grade) and also 15 students(7th grade) of the Science Club participated in the Virtual Classroom Contest '97 last year.
We spent 6 months to build a joint web page with the Ross School in New York, the United States and St.Columba's School in New Delhi, India. We communicated through Cu-SeeMe and e-mail to exchange information and collaborated to make our Multi Media Magagine.

1. 交流のねらい 
 一昨年,初めての国際交流に取り組んだ。このときは,
Web66(http://web66.coled.umn.edu/schools.html)
Yahoo! Education:K-12(http://www.yahoo.com/Education/K_12/)
Rigby Heineman Keypals(http://www.reedbooks.com.au/index.html)
等で相手を探し,E-mailやクリスマスカードの交換を行った。
世界中の十数カ国とこのような交流を図ったが,個人的な交流であったり,内容のある交流ができなかった。あるいは,あまりにもヴァーチャルであったという反省点も生まれた。
 そこで,昨年度は,これらの反省の上に立ち,共同作品制作という過程を通して,リアリティのある国際交流を目指すことにした。
 そして,最終的な結果だけではなく,いかにして言語や文化のことなる生徒たちが,お互いを理解しあい,協力して作業をおこなうかというプロセスを重要視し,国際的なコラボレーション能力を身につけることも目標にした。

2. 相手校を見つけた経緯

図1 自己紹介(India)
 9月の終わりに,AT&T社の主催によるヴァーチャルクラスルーム97のプログラムをメールにより知り,参加することにした。相手校の選定は, ヴァーチャルクラスルーム97の事務局に選定していただいた。

3. 交流内容の設定
 ヴァーチャルクラスルーム97のホームページ内にあるメーリングリストを利用し(VC32-Takl,VC32-Work),さまざまな打ち合わせを行った。また,緊急の場合には国際電話も利用したこともあった。

4. テーマ内容
3校の提案したプロジェクトのテーマは,Ross School が ”Our Environment”,St. Columba's Schoolが ”Children's Lifestyle”,そして徳島中学校が”Multimedia World Calendar”。
 この3つのテーマについて話し合いをした結果,テーマを1つにしぼるのではなく,統合したマルチメディア・マガジンを作ろうということになった。

5. 交流実践

図2 Cu-SeeMeによる会議
10月1日〜10月7日
・顔合わせ
10月8日〜10月22日
・自己紹介セッション
各生徒の自己紹介をE-mailで行い,また自己紹介のホームページもお互いに作成し,掲載した。
10月22日〜11月5日
・プランニングセッション
リーダー校選定,共同作品のテーマ決定,内容,分担等についての話し合いを行った。
11月5日〜1月31日
・ ワークセッション
プランニングセッションによる検討事項を受けて,各学校でホームページを作成した。
また,この期間中に,何度かCu-SeeMeによるTV会議を行った。
2月1日〜
・ レビューセッション

6. 児童・生徒の感想,作品

図3 ライフスタイル(Japan)

図.4 マルチメディアカレンダー(USA)
・Ross School:First Video Conference a Success ( 97/11/14 20:59:34 )
Most of our VC-32 students (and their parents(!)) were able to come to the evening session and everybody was excited to "talk" to our friends in Japan. Our students introduced themselves and their special interests in the projects and several interesting questions related to our three themes (lifestyles, world calendar, environment) were discussed.

・楽しかった。HuiやUlfという素敵な人たちともあえて,すごくうれしい。授業で習った英文をたくさん活用できたし,勉強にもなった。青春ですね。心の交流。

・ 家でしたい。でも家にはコンピュータがない。まだまだずっと続けたい。

・カレンダー(図4)をつくっているとき,日本との文化の違いが初めてわかりました。以前よりも他国への興味が強まりました。

・ 英語が楽しい。

7. 先生の立場での成果,課題
 何よりも,指導する教師側がこのプロジェクトに積極的であり,楽しんで授業を行うことができた。海外と接することにより,教師側の国際意識が強まり,結果的に,この意識を生徒におろしていくことができたのではないかと感じた。
 そして,国際交流をするにあたっては,国内での交流と比較にならないぐらい指導する教師間の綿密な計画,指導力が必要なことも実感した。たとえば,各国の環境,時差,お互いが持っているイメージ,その他,いろんな点が大きく異なっている。この違いを各国の教師間だけでも,十分に理解しあうことが大変難しかった。

8. 苦労したこと又は失敗談
 これに参加していた,国際交流クラブのメンバーは3年生であった。しかし,時期的に進学準備のために大切な時期と重なったために,最終まで参加することができなかった。そこで,作品製作途中の段階で,本校の1,2年生を中心とした科学部員に引き継ぐことになってしまった。
 次に,時差の問題であるが,ニューヨークとの時差が14時間ありCu-SeeMeを行うときに,朝の始業時間前での実施ということで苦労した。また,インドに関しては,相手校の設備的な問題で,Cu-SeeMeを行うことができなかった。
 さらに,今回の共同作業では,作業用ディレクトリにあるファイルを,3校が自由に書きかえることにより,ホームページの制作を行ったのだが,このために,それぞれの学校の意図しないように書き換えられていることもしばしばあった。また,各学校のシステムやサーバーへの認識に対する学校間の格差があったために,ファイル名ひとつをとっても,共通理解を図ることが難しかった。
 それと,様々な場面において,はっきりとした意思表示を行なわなかったことも全体の作業の遅れを招いた一要因でもある。
 最後に,一番肝心な点であるが,生徒主体にもっていけなかったところも大きな問題点である。これは,生徒がディベートするだけの英語力が無かったためであると思われる。

9. ワンポイント・アドバイス
・ 短期集中で,目的を絞る。

・ 英語教育にとらわれない。 ・ 相手校選定の選定は,慎重に。

10. その他
・Ross School (http://www.tokushima-jhs.tokushima.tokushima.jp/vclass/index.html)
・St. Columba's School (http://www.angelfire.com/sc/columbas/index.html)
・徳島中学校 (http://tokushima-jhs.tokushima.tokushima.jp)
・交流期間 平成9年10月〜平成10年1月。
・ ネットワーク環境 128k専用線
   (〜平成9年10月 28.8k専用線 平成9年10月〜平成10年4月 64k専用線)
・生徒用クライアント5台
・徳島県徳島市徳島中学校 香川 朗 kagawa@mxp.mesh.ne.jp


1998.6.16 Update