「世界の学校教育におけるインターネット活用」
新100校プロジェクト 国際シンポジウム'98
国内の事例発表 高等学校
自ら学ぶ 〜インターネットが教室にもたらすもの〜
Subjectivity in learning -What the internet brings into the class room-

兵庫県立神戸商業高等学校 教諭 坂東英敏
Hidetoshi Bando

概要
 生徒は多くの授業の中で教師が計画したとおり知識や技術を習得することを求められてきた。多くの人々が必要と認めたことを学習することがあたりまえであった。失敗は決して歓迎されてこなかった。その結果、生徒は授業の中で驚きや感動に出会う喜びを忘れてしまっているのかもしれない。インターネットは、学校の壁の外にある驚きや感動にふれるチャンスを与えてくれ、様々な予期せぬ出来事は生徒に国際人として生きることの難しさと喜びを学ばせてくれる。

Abstract
Students have been expected to study what the teacher has prepared beforehand. We needed to study things that most of the people would think were appropriate. Mistakes have not been welcomed in the classroom. As a result, students might have lost the happiness of meeting with uncertainty or impression. The internet gives students the chance to meet with uncertainty and impression outside of school. Communication through the internet makes students realize that they are global citizens, and they can enjoy learning about the world.

キーワード(key word)
失敗から学ぶ learn from experience

1.交流のねらい
 受動的な授業になれている生徒はなかなか学習の目的意識をもてないでいる。国際的なコミュニケーションを経験することで、自分が何であり、何を求めているのか、何を知りたいのかが認識でき、新たなる学習への動機付けになると考えた。コミュニケーションの相手との様々な相違点に驚くだけではなく、スムーズにコミュニケーションできないトラブルから抜け出すめに個々の生徒が努力をし、それを実現できたときの喜びは、生徒に自信を与えるだけではなく、自ら学ぶ力を身につけることになると考えて、言語、文化、習慣の差がある相手をパートナーとして考えた。

2.相手校を見つけた経緯

3.交流内容の設定
 昨年の共同プロジェクトのテーマはどちらもメールによる打ち合わせの後、相手の学校の担当者が来日するチャンスがあり、実際に打ち合わせできた。

4.テーマ内容

5.活動領域
 商業科目 課題研究

6.交流実践
 3年生選択2クラス(15人ずつ)が週2〜3単位の授業を行っている。生徒は個々にメールのアドレスを持っており、共同プロジェクト以外は個々にメールの交換をしている。1学期は個人単位での交流、2学期はそれに加えて共同プロジェクトも実施している。そして、3学期は各自の成果発表というのが大まかなスケジュールである。
(http://www.kobechs.tarumi.kobe.jp/ban/y100/index.htm)

7.生徒の変容
 英語に自信のなかった生徒が相手からの長い返事に困っているのは当初の共通の問題であるが、次第に英語力の向上と、それとは別のコミュニケーション能力の向上で、メッセージの交換がスムーズに行われるようになっていく。
 また、困ったことが起きる度に教師に相談し、答えを求めてくる態度が変化してくる。現実に起きる問題には必ずしも最適の答えが存在するとは限らず、次善の策ということも自分の解決法の中に取り入れるようになってくる。問題解決を繰り返すことで自信が生まれ、この授業をより充実したものにしようと考えるようになる。2学期の中頃を過ぎると、授業日誌の付け方を換えるとか、ホームページを作ろうとかといった提案が生徒から出るようになってくる。

8.先生の立場での成果、課題
 個々の生徒がそれぞれ異なった状況で授業に参加するため、一人一人の生徒が見えてくる。生徒の様々な能力がわかるだけでなく、ものの考え方、家庭の様子、将来の希望など、生徒によって異なるが、多くのことが見えてくる。
 しかし、このことはまた同時に一人の教師が限られた時間で対応できる限界との戦いでもあり、なすべきことの優先順位は生徒によって、また状況によって常に異なってくる。おもしろいが、大変である。

9.苦労したことまたは失敗談
 生徒も教師も苦労するのが“返事がこない”ということである。生徒は来ない原因をいろいろと考え、その対策を次々に実行して行くが、それでもこない場合は「やる気をなくす」状態にもなりかねない。特に交流相手と学期のスケジュールが合わないことが多く、その場合には新たに相手を捜す以外にもクラスの運営を考えなければならなくなる。特に活発な交流が続く生徒と、そうでない生徒のいるなかで授業を進めるためには工夫が必要となってくる。

10.ワンポイントアドバイス

 失敗は成功のもと?

11.その他
交流相手
 生徒が個人的に交流している相手は主に高校生でクラスの先生から紹介されて始めたものが多い。今年はアメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、マレ−シアなどの生徒と交流を行っている。
 昨年の共同プロジェクト(2〜3学期)の相手校は、アメリカワシントン州のケネウィック高校のESLクラス 担当教諭 Mrs.Sara Macraynols と、ハワイ州プナホウ高校の日本語クラス 担当教諭 Mrs.Toyoko Okawaである。
本校のLAN(100台のPC)はNTTのOCN専用線でインターネットに接続されている。
兵庫県立神戸商業高等学校 教諭 坂東英敏 bando@kobechs.tarumi.kobe.jp


1998.6.17 Update