1.はじめに


 最近各地で、ネットワークの教育利用に関する様々なセミナーやシンポジュームが頻繁に開かれるようになりました。インターネットの一般への普及が急速に進展している現在、このことは歓迎すべき現象です。これまで、教育現場への先進的な情報技術や方法論の導入に関する試みは、ややもすると遅れがちであり、少数の指定校による閉ざされた研究に留まっていた感が強かったと思います。しかし、ネットワークの教育利用に関しては、ネットワークという開かれた環境を基盤としていることと、インターネットの一般への普及と同時並行的に、複数の実証実験プロジェクトが、推進されていることのため、研究者、教育者のみならず広く一般の関心を集めており、ネットワーク利用を中心に教育現場への先進的な情報技術や方法論の利用・活用に、新たな道と可能性を開きました。

 

2.100校プロジェクトの概要報告


2.1 100校プロジェクトの成立

 100校プロジェクトは、そもそも、平成5年6月の「産業構造審議会情報部会報告」を受けて通商産業省が策定した「高度情報化プログラム」の中で述べられている具体的な政策プログラムの、教育の情報化の一施策です。通商産業省は平成5年度の第3次補正予算の内74億5千万円を情報処理振興事業協会に出資し、「特定プログラム高度利用事業」を開始し、「高度情報化プログラム」の中で述べられている具体的な政策プログラムを実行に移しました。
 情報処理振興事業協会は「特定プログラム高度利用事業」のなかで、「高度情報化プログラム」の中で述べられている具体的な政策プログラムを実施するため、次の2つのセンターの建設と運営と、5つのプロジェクト計画立案と実施を行っています。

(1)マルチメディア研究センター:長野県小県郡丸子町大字生田字馬場2149-1
 @マルチメディア支援プロジェクト
 Aマルチメディア人材育成プロジェクト

(2)情報基盤センター:神奈川県藤沢市遠藤5322(慶應義塾大学湘南キャンパス内)
 B新産業創造データベースプロジェクト
 Cパイロット電子図書館プロジェクト
 D教育ソフト開発・利用促進プロジェクト

 100校プロジェクトは、この5つのプロジェクトの1つである「教育ソフト開発・利用促進プロジェクト」の主要な実験テーマの1つである「学校のネットワーク化による情報活用の高度化」を実施するために、(財)コンピュータ教育開発センターとの共同で「ネットワーク利用環境提供事業」(通称:100校プロジェクト)として実施されています。

2.2 教育ソフト開発・利用促進プロジェクト

 教育ソフト開発・利用促進プロジェクトは、「高度情報化プログラム」の中で述べられている教育の情報化(以下は、通商産業省「高度情報化プログラム」の引用)

(1)能動的な学習の実現
 コンピュータソフトウェアやネットワークの先進的機能を活用することにより、学習対象を把握・分析したりその成果を表現したりするという学習活動が、一層高度で能動的なものとなり、創造力、思考力や表現力といった学習者の能力を抜本的に高めることが可能となる。

(2)教室での授業が持つ制約を超えた教育、学習の実現

 コンピュータとネットワークとによる情報の処理、収集、発信能力の大幅な向上により、教室での授業が持つさまざまな制約を超えた新たな教育、学習が可能になる。(引用終了)を、以下のモデル的な基盤の提供と実験プロジェクトにより実証しようというものです。

(A)学校のネットワーク化による情報活用の高度化
 全国100ヵ所程度の小中高校などにサーバ及クライアントコンピュータを設置してインターネットに接続し、ネットワークを活用した共同学習・情報交換・ネットワークカンファレンスなどの具体的な学習活動を可能とする環境と、生徒や児童が世界中の図書館や学校等にアクセスしたり情報発信するためのソフトウェアを提供します。また、この環境を活用した各学校等が行う自主的な企画を支援したり、事務局側が提案する共同利用企画の推進をすることにより、教室での授業が持つ制約を超えた教育、学習を実験し、その教育的効果を検証します。

(B)先進的教育用ソフトウェアの開発と教育用ソフトウェアの利用促進
 思考活動を支援する先進的な教育用ソフトウェアを開発し、その利用を通じて創造力 、思考力や表現力といった学習者の能力を向上する能動的な学習を実験する。また、市販の教育用ソフトウェアのカタログ情報とデモソフトやベータ版をデータベース化してネットワークを通じて広く一般に公開することにより、ソフトウェア開発業者、教員、生徒児童等が広く検索・利用できる環境を提供し、教育用ソフトウェアの利用を促進します。
 さらに、情報基盤センターのエデュケーションスペースに教育用ソフトウェアやマルチメディア教材が作成できる環境を整備し、教育関係者に開放して、教育用のソフトウェアやマルチメディア教材の自主製作を支援します。

教育ソフト開発・利用促進センター:システム構成図
 

2.3 ネットワーク利用環境提供事業(通称:100校プロジェクト)

 ネットワーク利用環境提供事業(以下「100校プロジェクト」という)は、情報処理振興事業協会の「教育ソフト開発・利用促進プロジェクト」の一環として、主要な実験テーマの1つである「学校のネットワーク化による情報活用の高度化」の実証実験を具体的に実施するために、情報処理振興事業協会と(財)コンピュータ教育開発センターとの共同事業として、平成6年8月その対象校の一般公募を行いスタートしました。
 公募に先立ち(財)コンピュータ教育開発センターに、学識経験者を中心として構成する「教育ソフト開発・利用促進センター推進協力者会議(座長:坂元 昂(日本教育工学会会長(当時)))を設置し、100校プロジェクトを初めとする今回のプロジェクトについての諮問をして頂くこととしました。
 事務局では当初、インターネットという当時はまだ耳慣れないネットワーク環境や、サーバクライアントなど、それまでの学校でのコンピュータ利用では想定されていない先進的な情報技術を導入するために、多数の応募は期待していませんでした。したがって、募集もAグループ(30校):パワーユーザ、Bグループ(70校):一般ユーザに分けて応募しました。しかし、実際には1543校もの応募があり、提案内容もレベルが高いものが多く、当初の予定を変更して、Bグループにもサーバを貸与して、すべての学校で独自の情報発信ができる環境としました。
 応募結果は平成6年12月に各教育長などを通じて各校などに通知いたしました。対象校などの内訳は以下の通りです。対象校などは全部で111ヵ所です。

○小学校     18校
○小・中学校    1校
○中学校     29校
○中・高等学校  10校
○高等学校    40校
○特殊教育諸学校  8校
○視聴覚センター  3ヵ所
○その他の学校   2校

 平成6年2月から回線、通信機器、クライアント/サーバ機の設置が開始され、平成7年3月には、100校プロジェクト説明会を、対象校の担当の先生、地域ネット関係者に集まっていただいて、東京新宿の工学院大学で開催しました。
 平成7年6月には、ほとんどの対象校のインターネットへの接続とサーバの稼働が確認されここに名実ともに100校プロジェクトはスタートいたしました。
 

3. 100校プロジェクトの活動報告

3.1 対象校の自主的な活動について

 対象校の自主的な活動については、午前中の分科会での発表及その資料に詳しいので、ここでは、あらましだけをご報告いたします。また、さらに詳しく各校の活動状況をお知りになりたい方は、「100校ホームページ:www.cec.or.jp/es/kyouiku/100/100.html」もしくは「(財)コンピュータ教育開発センターホームページ:www.cec.or.jp/CEC/」を通じて各校のホームページをご覧ください。

(1)対象校のホームページの公開状況
 平成8年2月8日現在の100校プロジェクト対象校のWWWサーバホームページの公開状況は以下の通りです。((財)コンピューター教育開発センター調べ)

○学校独自のデータを公開しているサーバ             97校
○内英語で情報が公開されているもの(英語のみもあります) 26/91校
○工事中(ホームページのみ)のもの                4校 


 工事中も含めると111ヵ所中101ヵ所、すなわち、91%の学校で何らかの情報が発信されています。

(2)自主的な活動の一例
 対象校では、それぞれに特徴のある自主企画を運営していますが、その一例を紹介いたします。

 この他にも海外の姉妹校などとの電子メールの交換や、物語の共同製作、Cu-see-meを使った生徒同士の交流などの、自主企画が運営されています。

(3)活用環境の自主的な拡張状況
 プロジェクトで提供した機器(サーバ1台、クライアント1台)に学校の既存の機器などを接続して利用環境を独自に拡張していく活動も進行しています。(財)コンピューター教育開発センター調べでは平成7年12月時点での各校のクライアント台数の分布は以下の通りです。半数以上の学校で利用環境の拡張が行われています。

○51台以上     6校
○41台以上     6校
○31台以上     0校
○21台以上    11校
○11台以上    12校
○06台以上    11校
○02台以上    23校
○01台及未回答  42校

3.2 主催者(事務局)側の支援活動報告

 100校プロジェクトでは、その活動を対象校に限定することなく、ネットワークを通じて交流が可能な学校や、これからネットワークの教育利用を検討する学校などを幅広くサポートしてます。また、その成果はネットワークを通じて広く一般に公開しています。

○100校ホームページ:www.cec.or.jp/es/kyouiku/100/100.html
○(財)コンピュータ教育開発センターホームページ:www.cec.or.jp/CEC/

 平成7年度の100校プロジェクトの事務局の主な活動は以下の通りです。

(1)ネットワーク利用環境導入支援:平成7年4月〜9月
@サポート窓口の開設:madoguchi95@woo.mri.co.jp
 ネットワークを通じて様々な問題に回答します。これまでの主な質問内容は、障害に関する問い合わせ、利用環境の拡張に関する問い合わせ、機器ソフトの利用に関する問い合わせなどです。

A導入資料の配布

○インターネット利用者マニュアル(サーバ編、クライアント編):対象校
○インターネットガイド(ビデオ、CD-ROM):対象校及応募校(1543校)
○WWWサーバガイド:対象校及応募校(1543校)
○インターネットにつなごう:対象校及応募校(1543校)、全国の教育委員会、教育センターなど

Bニューズレターの発行
 平成7年4〜8月の初期導入期間に、その時々でネットワーク上や電話での問い合わせなどで話題になった内容やトピックスを取り上げたり、事務局側からの連絡事項などを紙面で提供しました。

Cインターネット利用者マニュアルQ&A
 インターネットに慣れていない先生を対象に「インターネット利用者マニュアル」に対する質問を受け付け、インターネット利用のレベルアップを計るネットワーク上の研修会を実施しました。

(2)メールリスト、ニュースグループの運営:平成7年4月から順次開始

@100校プロジェクト事務連絡用メーリングリスト

対象者 :各学校の正副担当者および事務局
参加登録:申請後審査
主な目的:100校プロジェクトに関する事務連絡

Aネットワーク教育環境に関するメーリングリスト:aimiteno@woo.mri.co.jp

対象者 :ネットワーク教育環境に興味のある者。特に参加資格に制限はない。
参加登録:電子メールによる申請後、自動的に受理
主な目的:ネットワーク教育環境に関する意見交換。

B自主・共同利用企画等に関連するメーリングリスト
 参加校同士の共同企画や、共通の興味を持つグループの情報交換などに活用して貰うため、代表者2名の申請により、自由にメーリングリストを作成するサービスを提供しています。

Cニュースグループ
○momo.announce

参加者:momo ニュースグループの全参加者
目的 :momo ニュースグループに関する事務局からの連絡
○ momo.general
参加者:momo ニュースグループの全参加者
目的 :momo ニュースグループに関する事項一般。
    特に、momo.announce に掲載された記事に関する議論、
    およびニュースグループの作成、削除に関する議論を含む。
○momo.test
参加者:momo ニュースグループの全参加者
目的 :記事の投稿練習、投稿試験。
○ momo.chat.teacher
参加者:学校の先生、および関連した意見を述べるもの
目的 :先生同士または、先生と他の者の情報交換、意見交換
○ momo.chat.high
参加者:高校生、および関連した意見を述べるもの
目的 :高校生同士または、高校生と他の者の情報交換、意見交換
○momo.chat.jinior
参加者:中学生、および関連した意見を述べるもの
目的 :中学生同士または、中学生と他の者の情報交換、意見交換
○ momo.chat.elementary
参加者:小学生、および関連した意見を述べるもの
目的 :小学生同士または、小学生と他の者の情報交換、意見交換
○momo.chat.misc
参加者:momo ニュースグループの全参加者
目的 :(4)〜(7)に当てはまらない者による情報交換、意見交換
○momo.sys.general
参加者:momo ニュースグループの全参加者。主に、技術的な興味のある者。
目的 :100校プロジェクトの導入システムに関する議論。バグレポートなど。

(3)インターネット活用研究会の開催:平成7年10月〜平成8年1月
 インターネット活用研究会は、インターネットの応用技術研究、校種別教育利用実践研究及び、情報交換会を通して、ネットワークの教育利用についての研修を、全国8ケ所、10回(小・中・高等学校各3回、特殊教育諸学校1回)開催しています。地域ネットワーク協議会殿と協力して、全国各地で開催しているのは、今後、ネットワークの教育利用を普及させていくためには、各地域での活動の活性化や拡大が不可欠であり、そのために100校プロジェクトの対象校を中心としたネットワークの教育利用の実践例を、地域に密着して広報していきたいという目的のためです。
 また、情報基盤センターでの開催では、このプロジェクトの母体である「高度情報化プログラム」を、「教育ソフト開発・利用促進プロジェクト」を中心に解説し、事業の全体像の紹介をしています。インターネット活用研究会の主な内容は以下の通りです。

○地域ネットワーク協議会推薦の講師による「インターネットと教育利用について」 の講演。
○対象校への機器納入業者による、UNIXの基礎とインターネットの応用が中心の技術講義。
○地域ネットワーク協議会推薦の司会者の進行による、事例発表とそれに基づいた討論。
○情報交換会

(4)インターネット専門研究会:平成8年2月9日〜11日
 ネットワーク管理者を目指す人のための技術研修と演習を中心とした3日間の研究会です。教育現場でこれからネットワークを活用していくためには、ネットワーク管理者が不可欠です。ただし、教育者自身がネットワーク管理者を兼務することは、現実的ではないと思いますし、アメリカなどで採用している専門指導主事制度などを今後検討していくべきと考えますが、今年は試験的に、参加校30校、参加者32名に限って実施しました。

(5)共同利用企画:平成7年9月〜平成8年2月
 共同利用企画は、事務局が提案するネットワークの教育利用の企画です。ネットワークの教育利用の研究者を中心に具体的な活動内容を、参加校(ネットワークを通じて対象校以外の学校にも広く参加を呼びかけます)と共に計画して実行していきます。カリキュラムへの応用を可能にする、様々な試みを実施していきます。これらの企画は元々100校プロジェクト対象校の応募時の企画提案を分析して原案を作成し、その後、調査等によって確定していきました。

@情報交換型利用企画

○生徒による自主的な情報交換:
 ネットワークを使いどのようなことができるかについて生徒自身の力で、計画を立て実施します。現在は高校生による活動をモデル的に実施していますが、他の校種へも広げていけると思います。先日、中心生徒によるオフラインミーティングが開かれ高校生の柔軟な発想には驚かされました。
○教育素材・教材の交換:
各種マルチメディアデータを集約し、先生が教材作成等に利用しやすいしくみを作成しています。現在は、日本全国の正月の様子のデータをテーマにしています。
○地域情報の交換:
月ごとにテーマを決め、異なった地域の特色、ローカルなニュース、生徒の考え方の違い等の情報交換を行なっています。

A共同学習型利用企画

○全国市場調査:
各地で品物の種類や価格調査を行い,物価や季節・地域による商品の違いをまとめています。
○データベース作成:
特定テーマを決めDBを共同制作しする企画です。現在のテーマは全国各地のゴミの収集や処理の仕方の違いについてのデータベースを作成しています。
○酸性雨の調査:
全国40箇所の降雨のPH測定を行なっています。得られたデー タをWWWにより共有しています。また、参加校以外の方も表計算のデータを取得することができます。今後は降雨のサンプルを専門機関でより詳しい分析も行なっていく計画です。
○生物生態調査:
各地の生物の生態の違いを調べる企画です。学校にある1本の樹を参加校が継続的に観察し観察記録をWWWにまとめました。今後は桜の樹をテーマにし共同観察を行ない桜前線の様子などを研究していく予定です。

Bネットワークカンファレンス型利用企画

○身の回りで起きている問題について:
自分達の身近の事柄について、学校種毎にテーマを決めメーリングリストで意見交換を行ないました。
○有識者との意見交換:
ごみ問題をテーマに専門家との意見交換を行ないました。メーリングリストによる意見交換に加え、Cu-SeeMeによるリアルタイム会議も行ないました。また、ゴミリスというゲームソフトを使い各地のゴミの収集方法の比較やゲームの得 点を競うなど多角的に意見交換を行ないました。
○ネットワーク講演会:
今回は「今後の高等学校(総合学科を中心に)」というテーマ の講演を元に質疑意見交換をネットワーク上で行ないました。

C特殊教育共同利用企画

○特殊教育での有効利用:
「障害による格差解消」を目的に、「特殊教育分野」においてインターネットの有効利用を図る内容のテーマを検討しました。 特定の障害分野に限定することなく全体的視点にたった活発な討議が特殊教育諸学校 の先生方により行われています。
○アクセシビリティ:
アクセシビリティの調査研究を行なっています。障害を持った方でも活発にインターネッ トを使いこなせることを目指しています。

Dネットワークコンテスト
 デジタル化が可能な児童・生徒の創作を対象に、ネットワーク上に 構築する仮想展示空間を使って、2つの部門を想定してコンテストを行いました。特定ツールを指定する部門として「幾何公園」(平成6年度情報処理振興事業協会が、「教育ソフト開発・利用促進プロジェクト」の一環として開発した、3次元図形のモデリングソフト)もの、およびコンピュータグラフィックによる「わたしたちの町の未来」部門を実施しました。

(6)成果発表会:平成8年3月9日
 対象校の担当の先生、地域ネット関係者やプロジェクトへの協力者の他、教育界、産業界などの方々に集まっていただいて、分科会形式による成果発表、主催者側の事業報告、成果発表を踏まえたパネルディスカッション、情報交換会よりなる成果発表会を開催いたします。
 

4. 今後の展開


 平成8年度の「100校プロジェクト」の活動は、現在の活動の継続の他に、以下の3点に注力していくつもりです。

(1)広報活動の強化
 平成7年度の広報活動は、ネットワークの教育利用とは何か。どんなことができるのか等を、対象校の先生方を中心に広報してきましたが、平成8年度は、7年度の成果を踏まえて、今後、ネットワークの教育利用を検討されている学校、教育委員会、地方自治体の皆様に、ネットワークを教育に利用するにはどうしたら良いのかと言うことを中心に広報していき、ネットワークの教育利用のさらなる普及に貢献していきます。

(2)教材情報の充実
 ネットワークの教育利用に関して、7年度の利用は、先生方の利用が中心でしたが、8年度は生徒や児童が学習に利用する局面を増やしていきたいと考えています。そのために、ネットワーク上に散在する学習に活用できる情報を整理、強化して、情報提供していきます。

(3)国際交流の促進
 ネットワークの教育利用に関しては、アメリカ等のK12活動などが先行しています。しかし、7年度の国際交流は、各校の電子メール等による情報交換が中心で、プロジェクトの企画などとしての、組織的な取組はなされていませんでした。8年度は、海外のプロジェクトとの共同企画等の実施による、国際交流の促進を行います。
 

5. おわりに


 日本のネットワークの教育利用は、まだ、途に着いたばかりですが、その中で、平成8年末まで続く、100校プロジェクトの活動が、今後の展開に貢献することを関係者の一人として願ってやみません。
 来るべき高度情報化社会は、来るべき未来を担う子供たちのものです。その意味からも、ネットワークの教育利用は必要不可欠であり、近い将来に、より多くの子供たちが、教室から世界中とコミュニケーションしながら学習できる環境が実現できるようになることを願います。
 100校プロジェクトは多くの人達に支えられて遂行されています。対象校の先生方、地域ネットワークの関係者の方、機器やソフトを納入した企業の方などに、この場をお借りして、感謝申し上げます。