新100校プロジェクト成果発表会
中学部会

ネットワーク環境を地域にひろげる
学校・地域・行政における視聴覚センターの取り組み

春日部市視聴覚センター 山下 治郎  宮内 一男

1.はじめに
 春日部市視聴覚センターでは市民・教職員・行政職員を対象に生涯学習施設、情報発信基地として、地域に根ざした施設として、事業を行っている。オリジナル教育ビデオの作成、パソコンソフトの作成等も行っている。
 「100校プロジェクト」に参加しこれらの環境を生かし日常の業務を活性化し地域への展開を目指している。

2.インターネットで情報発信
 100校プロジェクトで導入された「インターネット」の運営については、スタッフだけでなく、学識者、市職員、教員を中心に組織している「春日部市視聴覚センター専門委員会」内に「学習情報部会」を設け、教育センター・学校・地域でのインターネット参加のあり方を検討している。
 ホームページを作成すると言うことで活動を行い、市の紹介、視聴覚センターの紹介、学校紹介の3本の柱のもとページの作成を行っている。簡単なページから出発しだんだんと充実したページになって来ている。

(1) 春日部市視聴覚センターへのアクセス方法
(2) 視聴覚センター各施設の紹介
(3) 施設の利用方法、講座の案内
(4) センター内の他施設の紹介
(5) 児童生徒の作品の紹介
(6) 学校の紹介
(7) 春日部市花、開花便り
(8) 春日部市内生涯学習施設のあんない(写真1学校開放講座案内)
(9) 学習に役立つ他のホームページへのリンク

3.学校への取り組み
 市内には小学校20校中学校10校がある。昨年度学校事務用パソコン(各小学校2台中学校3台)が入れ替わり、ようやく中学校にはパソコン室の40台が室内LANで結ばれインターネット接続可能な環境が出来た。しかし、インターネット接続校はコネットプラン参加校の1校、小学校の授業用のパソコン導入校は1校のみの現状である。
(1) 市内学校ホームページ作成
 校長会・教頭会を通じ学校ホームページの作成を呼びかけた。原稿を預かり視聴覚センターでHTMLで記述しホームページを作成した。各学校に届いたメールについてはプリントアウトし文書箱経由で送付している。
(2) 研修会の充実
 当センターで行っている教職員向けのパソコン講座に積極的にインターネット体験を組み込んだ。夏休みを中心に行われる校内研修会、パソコン初級研修会を行った。さらに当センターの特色を生かした夜間教職員研修会(自主参加)では「管理職パソコン研修会校長コース」「 〃 教頭コース」(写真2)を行い好評であった。ホームページ作成研修会も2年目になりより充実した。市教育研修会視聴覚主任部会と提携し「学校ホームページ作成・改訂研修会」も実施した。
(3) 学校への援助
 コネットプラン参加校のホームページ作りの援助、TV会議システムの公開実験(写真3)などを行った。市内学校の授業用に「雪国の生活」「暖かい地方の生活」等に使う資料をインターネットよりダウンロードし提供し活用の助言を行っている。
児童・生徒も調べ学習の資料収集に当センターのインターネットの活用を行なうようになって来た。市内教職員には当施設に来れば自由にインターネットにアクセスできるようにしている。これを利用し教員も種々な資料収集に活用している。AETは母国とのEメールの交換も行っている。 文部省にアクセスし答申等のデータ収集・提供を行っている。各学校でのインターネット接続を前に個人情報の保護等を盛り込んだ「春日部市情報教育の提言」素案作りも行っている。

3.地域へのとりくみ
 市民地域への取り組みは、パソコン講座の開催・体験コーナーの設置・ホームページでの地域情報の発信を行っている。
(1) 市民パソコンセミナーは定員20名で入門コースを年8講座、ワープロコースを4講座、表計算講座を1講座行っている。実施はニーズに合わせ平日・土日・夜間に実施した。各講座でインターネットの紹介を行っている。生涯学習の出前講座としてのパソコン・インターネット体験も受け付けている
(2) 体験コーナーは1F学習サロンにインターネット疑似体験用のパソコンを2台設置3Fの視聴覚体験ブースにて実際にインターネットに繋がるパソコンを公開している。日々に体験利用が増えている。利用に際しては業務に支障のない限り操作法等のガイダンスも行っている。
(3) ホームページにおいては、施設利用、講座案内等をはじめとして春日部駅時刻表、市花「藤」の花便り、所蔵16mmフイルムの所蔵リスト・新作ビデオの案内をアップしている。

4.行政へのとりくみ
 パソコンの活用と合わせ、春日部市役所の組織内の情報活用研修、情報収集を行っている。現在は各部署にパソコン、インターネット接続環境がまだ整備されていない。
(1) 市職員研修について
 市人事課と共催の形でインターネット体験を取り入れた「パソコン実務活用入門」を実施している。この研修はさらに「パソコン実務」表計算活用につなげている。本年度は「管理者(課長以上)パソコン入門研修」も行い好評であった。
(2) 情報収集に活用
「埼玉県学習情報ホームページ」をはじめ、自治体作成のホームページも増加している。各部署より来所し情報収集のために活用している。国際友好協会・青年会議所・ロータリークラブ等の市内ホームページ開設所とも交流を行っている。市ホームページ開設の企画やインターネットを使った情報公開も検討されるようになってきている。

5.おわりに
 100校プロジェクトに参加させていただき、先進の技術に関わらせて頂いた。全国の参加校の取り組みの中から大変多くのことを学ばせていただいた。当市においては、今までの研修等の啓蒙活動、パソコンの普及、インターネットが社会的トレンドに成るにつれて、ようやくネットワークの重要性・当センターの活動が認知されるようになってきた。現在、普及・活用を促進するキーワードは「経費」「人材」である。ハードの値段が下がったり。NTTのOCNが開設されたり。追い風はあるが税収落ち込みによる予算削減の現状は、インターネットがすぐに成果が上がらないものだけにかなり厳しいものがある。「人材」は2年間の研修積み上げにより少しづつ育ってきている。さらに広範囲を対象とした研修からより高度な研修が求められてきている。その中で担当者がオーバーワークになってしまうことはさけられない現状である。
 今後は視聴覚センターとしての「先進性」を維持し、全国の視聴覚センターネットを構築し視聴覚素材の分散型データベースの作成などさらに発展させて行きたい。また市内各学校・公民館・図書館を結ぶネットを構築し、施設の予約や講座・行事案内の情報を発信して行く構想が検討されている。館内ネットワークもインターネットに接続し、市民が自由に操作出来る端末を設置し、インターネット経由で「人材・行事情報データベース」の検索も可能になる様なビジョンを持って、ますます利用のしやすい施設、地域に根ざした情報基地にして行きたい。この構想実現の一助としてインターネットを活用していきたいと考えている。