100校プロジェクト成果発表会 分科会第1会場

ツールからメディアへ
教室に世界の窓を開く、手作りのインテリジェントスクール

滋賀県大津市立平野小学校

石原 一彦


 本校では100校プロジェクト参加が決まって以来、「一人の百歩より、百人の一歩」を合い言葉に全校でインターネットの教育利用に取り組んでます。今年度は次の二点を中心に取り組みました。
 まず、自分たちでケーブルを引っ張って、校内に自称「インテリジェントスクール」を作り上げたことです。高学年の8つの教室とコンピュータ室、保健室、障害児教室そして職員室のコンピュータをイーサネットでつなぎ、合計25台程度がインターネットに接続されています。本校の子どもたちは日常的にインターネットに触れることができ、生活の場でインターネットに向き合っています。


 具体的には、当番の児童が新聞社のサーバーからその日のトップニュースをあらかじめチェックしておき、朝の会で発表するという取り組みや、休み時間にコンピュータ室を開放し、遊びに来た子どもたちが自由にネットサーフィンを楽しむような取り組みを行っています。また、高学年の児童一人一人が電子メールのアカウントを持っているので、休み時間などには他のクラスの友達に手紙を書く児童もいます。なかには大学の研究室に勤めている自分の お母さんに電子メールで「今日の晩御飯は何?」と書いたところ、「野菜カレーよ」という返事を もらった子もいました。
 二点目は1年から6年まですべての学年と障害児学級で「インターネットの利用」をテーマに研究授業を行ったことです。実際の授業でインターネットの利用が始まったのは9月からです。9月に1年、10月に4年の研究授業を行い、11月にはささやかながら授業研究会を開催しました。そこでは3・5・6年の授業を公開し、多くの方から貴重なアドバイスを頂きました。その後も、12月には2年、1月には障害児学級の研究授業を行いました。

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 学年    教科    単元名         インターネットをどのように利用するか
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 1年    生活科   うさぎのひみつ     奈良県高取高校の杉崎先生にメールで質問
 2年    生活科   町に冬がやってきた   北海道の学校に冬の様子を教えてもらった
 3年    社会科   お店と私たちのくらし  日本各地の産物をWWWで調べる
 4年    社会科   湖と道の国、滋賀県   自分たちで調べた滋賀県の様子を発信する
 5年    理科    気温の変化と天気    気象衛星ひまわりの画像から天気の予報をする
 6年    学級活動  バーチャルワールドオリエンテーリング 世界中のWWWサーバーへ仮想旅行へ出発
 障害児学級 生活    コンピュータで遊ぼう パート4 滋賀大付属養護学校「ひらがなどうぶつえん」を利用
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 海外との交流も始まりました。5年のあるクラスではカナダの小学校と手紙のやりとりを行っています。また、昨年末には、本校のホームページを見たアメリカの方が、はるばる訪ねてこられたこともありました。
 「100校プロジェクト」二年間のうち、最初のこの一年は「試行」の年とされています。実質的には半年間の取り組みの中で、具体的な成果を披露するところまでには至っていません。ただ、この間感じた「インターネットの良さ」をここでまとめ、来年の「本格運用」に向けた土台にしたいと思います。

@既存の各教科のなかでインターネットを使うことによって、今までの学びをより深めることができる。たとえば理科の天気の学習で気象衛星ひまわりの画像を利用したり(http://www.is.kochi-u.ac.jp/weather/index.sj.html)、惑星に関する様々な情報や画像を見ることができ(http://www.cec.or.jp/es/mirrors/9planets/TNPJP/nineplanets/)、子どもたちは大変意欲的に学習に取り組むことができました。インターネットを利用することで今までできなかった学習活動を行うことが可能になるのです。

Aインターネットを利用することで地域や校種の違いを越えて幅広く交流することができる。
 社会科の水産業の学習では、鹿児島水産高校の生徒さんにメールを出して、本校の子どもたちの質問に答えてもらいました。また、各地のサーバーからその地方の特産物を発信していただき、子どもたちは居ながらにして日本各地を旅行したような気持ちで各地の特産物を調べる学習ができました。(http://www.hirano-es.otsu.shiga.jp/products.html)

B海外とも容易に交流が可能である。
 英語版のホームページを立ち上げたところ、すぐに海外からの問い合わせやメール交換の希望などが届きました。今まで遠い存在に思われた海外の学校がこんなにも身近に感じられるとは思ってもいませんでした。

C何より嬉しかったのは人と人との連帯が生まれたこと。
 インターネットがなければ出会うはずのない様々な方とお出会いすることができ、インターネットの教育利用という一つの目標に向かって助け合いながら共に歩んでいる、という何とも言えない充実感を持つことができました。この気持ちをぜひ来年度は子どもたちにも味あわせてあげたいと考えています。