100校プロジェクト成果発表会 分科会第2会場

少数台設置校におけるインターネットの活用

北海道札幌市立幌南小学校

藤村 裕一


1.はじめに

 本校には,インターネットに接続されたクライアントは,100校プロジェクトで貸与された1台しかなかった。また,スタンドアロンのパソコンも,3台あるのみであった。そこで,このような状況下で,インターネットをいかに無理なく有効に活用できるかを研究してみた。

2.少人数のクラブで習熟した子を核とした自然発生的広がり

 本校の端末は,管理の都合から,職員室内に特設されたインターネットコーナーに置かれた。そのため,スペースの関係から少人数で活用するしかなく,「インターネットクラブ」を発足させ,以下のように活動の仕方を工夫した。  このように,子供たちがおもしろいと思う情報やそれを得るための操作方法は,遊びと同じように教師が特別指導するまでもなく広がっていった。今後は,現在試験的に一部(6年生)で行っている休み時間の自由な活用を,来年度4月から全校に広げるため,全校の児童に対する指導内容(マナー・留意点等ネットワーク社会への導入期に指導すべきこと)を整理していきたいと考えている。

3.姉妹校交流委員会による「北国情報サービス」

 本校では,インターネットクラブの他に,月2回の委員会活動でも,インターネットを活用することにした。しかし,委員会の特性上少人数に限定することはむずかしいので,約20名の子供で姉妹校交流委員会を組織した。
 クラブよりも短い時間で,さらに人数が多いため,直接操作することよりも,内容面で交流を深めることに力点を置くようにした。活動内容は次の通りである。  子供たちは,札幌市電独自の除雪用電車を撮影するために,朝4時に起きて撮影に出かけたり,カメラを持って学校や街の中を宝探しのように歩いたりと,本当に夢中になって活動を行った。 「へえ,北国ってそうなんだ!」とか「へえ,頭いいね!」と自分たちの情報を受け取った人たちに言ってもらいたくて,「雪や寒さは宝物」と考える「逆転の発想の知恵」について,教師の予想以上に研究を深めていった。これは,インターネットという大きな情報発信の場があったからこそ,成しえたことである。

4.図書館設置クライアントの解放

 本校では,これ以外にも社会科の国際理解単元や理科での皆既日食観察なども試みたが,転送速度の遅さからかなりむずかしく,予めキャッシュにデータをため込んでおくなどの支援が必要であった。また,職員室では子供たちが来ずらいこともあり,より多くの子供に自由に操作してもらえるように,図書館にクライアントを2台増設し,2台のスタンドアロン機とともに,休み時間に自由に操作してよいこととした。今のところ,図書館は人の出入りも多く,職員室の前にあるため,心配なデータにアクセスする子もなく,インターネットを子供たちに解放する場としては,よい環境のようである。

図書館でインターネットを楽しむ子供達