100校プロジェクト成果発表会 分科会第2会場

インターネットを楽しく利用する中学正課クラブ活動        
「Russia Japan Summer Computer Camp School」 国際共同作業から

清水国際中学・高等学校

井 柳 強


1)はじめに

 インターネットを教育に利用しようとするとき、このメディアとしての特性のひとつとし て「距離感をなくし、教室の中にいながらにして国際共同作業を可能にする。」をあげると ができる。インターネット上で世界の子供たちが力を合わせることによって国境、民族、人 種、文化の壁のない世界(小さなユートピア)を作ることも可能になるからである。本校の 中学正課クラブの時間を利用してインターネットで国際交流するパソコン通信「地球クラブ 」を例にレポートする。

2)パソコン通信「地球クラブ」とは

このクラブ活動は、インターネットを利用していろいろな国際共同作業を体験することを 目的に、週1回50分の授業と放課後の国際パソコン通信部(中高一貫)の部活動の時間を併 用している。中学1年から3年生、全員が参加、IDは、プロジェクトごとに発行共同利用 している。地球クラブは、パソコン通信利用2年、インターネット利用3年、計5年の歴史 があり、独自に企画したものや他のネットワークの主催する国際プロジェクトにも参加して いる。例えば、七夕プロジェクト、Russia-Japan Summer Computer Camp School、Forest Project、Christmas Project、 国際絵本共同編集 Projectなどであり、交流国はアメリカ、 イギリス、フランス、ロシア、ニュージーランド、オーストラリア、ぺルー、南アメリカな どである。

3)Russia=Japan Computer Camp Schoolとの交流

 モスクワ近郊 Preslavl-Zalessky の湖畔にユネスコの援助で建設された設備で夏休みだ けの Camp School であるが、3年間に渡って本校と交流が継続している。ロシア側は参加 生徒の年令は9歳〜15歳で言語は英語が主であるが、担当者が日本語を話すことから日本語 での交流も可能となっている。私たちが交流するロシア側の Internetグループは約8名程度であるが約1か月の集中交流をしている。

4)'95 Camp School交流プログラム

  1. 野草によるハンカチーフの共同デザイン
  2. 似顔絵のハンカチーフの共同デザイン
  3. 両国の野生動物スケッチ交換
  4. 七夕祭り短冊交換による国際七夕祭り
  5. 手書き日本語メール交換
  6. 英文メール交換
  7. 創作絵本の共同編集 
  8. Diana & Heda-Go 国際絵本共同編集
  9. 伝説「はごろも」物語の共同編集
  10. ロシアと日本のこけし共同デザイン
  11. ロシアの木製スプーン共同デザイン
  12. ロシアと日本の蝶の画像交換<共同デザイン・ハンカチーフ>
  13. フラワーカレンダー作成
  14. 日本で描いた絵にロシアの子供たちが英文物語をつける絵本編集
  15. 第1回からの継続、ロシアの民話「金の魚」の文字絵の絵本編集
  16. お別れ花火大会

5)利用機器、ソフト

 昨年の夏には、LHA,ISH を利用してテキストベースでモノクロ、カラー画像、メ ールの交換があり300ファイルの送受信に成功した。この交流は供与機器のサー バ、クライアント1台とオフラインのWindows2台で参加した。

6)成果と問題点

 100校プロジェクト参加以前には、メールの交換だけしか出来なかった私たちの活動を 大きく飛躍させ、長い間、「いつかカラー画像を交換しようね」と願ってきた夢を実現、カ ラーの国際絵本共同編集作業までも可能にしてしまった。生徒は「私たちは、ロシア語はで きないけれど、言葉の壁を越え、カラー画像で日本の野草とロシアの野草をテーマにハンカ チーフの共同デザインができるなんて夢みたい。」と話している。このプロジェクトは、私 たちだけでなく世界の子供たちにも夢を与える可能性を示した点で大きな成果をあげつつあ る。しかし、インターネットでの交流は相手があってのコミュニケーションであり、よい交 流相手を探し国際間の信頼関係を構築することは1年や2年ではできない。このプロジェク トがさらに発展継続されることを祈っている。