100校プロジェクト成果発表会 分科会第2会場

100校プロジェクト津久見高校での取り組み

大分県立津久見高等学校

瑞木 圭二


 本校の100校プロジェクトの取り組みは、クライアントが少ない条件で何をするかということから始まった。考えられる方法は少人数でもできる卒業研究で、ホームページを作成することであった。さっそく設置場所である電子科の3年生「インターネット研究班」にホームページを作ってもらうことを決めた。以下はその生徒たちの奮戦記である。

5月10日 待望のインターネット接続開始
本校の創立記念日でもあるこの日に世界とつながったことは大きな喜びである。
7月5日 7名に学校案内などのコピーを配布し、フロッピーディスクに打ちこませる。
7月14日 以前提案していたホームページのレイアウトをやろうということになった。7人中2人が主に携わっていたが、それに2名が加わり4名が動きだした。
7月25日 津久見市のページも含め100パーセント完成した。ホームページ作成に関しては、パンフレットから写真の部分をイメージスキャナーから取りこんだり、文書データを手分けしてワープロ打ちしたり、HTMLを理解するなど、根気のいる仕事である。今回のホームページの作成にあたっては平松 政和君が大立て役者であり、彼の努力なしでは今回ここまでのものはできあがらなかったと思う。あとはサーバーの問題が解決すれば完成だ。
7月26日 クライアントからサーバーまでの転送がうまくいったので100校プロジェクトのメーリングリストに電子メールを送り、全国の方に評価をしていただくようにした。
8月4日 本校ホームページの電子メールでの感想は、たいへん評価が高かった。
8月10日 大分大学の宇津宮孝一先生のお世話による産学交流「バーチャルリアリティ研究班」研究会で、「津久見高校のホームページ」を紹介しながら取り組み状況を発表した。
9月27日 部活動のページを完成させる班は、自分達でアンケートのフォーマットを作成し、各部を回って調査をしてきた。全くの自主的活動が芽生えたことに驚き、課題研究の自ら考え研究するというテーマの理想に近づいた喜びを感じさせてくれた。また熊本県立小川工業高等学校の岩永 久幸先生を通じて生徒間の電子メール交換を始める。
10月4日〜6日 津高祭開催期間中は、100校プロジェクトの校舎紹介、野茂 英雄選手の画像データの展示やインターネット上の本校のホームページの紹介などを行った。
10月7日 津高祭の様子をリアルタイムで全国に発信する計画を立てたが、情報量が多く加工にも手間取ったためリアルタイムでの発信はできないまま終わった。
11月6日 一日体験入学に合わせて、インターネットの紹介コーナーを設けた。
11月7日 津久見市ロータリークラブのメンバーの方総勢43名が来校し、インターネットなどの施設を見学した。メンバーは地元津久見市の知名士で構成されており、かなりの興味を示し質問等で予定時間を越えてしまった。
11月12,13日 九州工業大学情報工学部での95’PCカンファランスの第2分科会:「100校プロジェクトとその周辺」で本校のホームページを紹介。好評を博す。
11月25日 第3回大分県産業教育フェアーで本校の取り組みを発表。
平成8年 1月9日 以前メールをいただいたことのあるイギリスのエレンウィルキンソン高校の先生からメールの返事が来る。とりあえず、2、3人の生徒の絵の交換をしそれぞれのホームページに掲載すること、何人かの生徒同志のメール交換をすることなどを決めた。
2月13日 大分県工業クラブ生徒研究発表大会で本校電子科3年生が研究成果を発表。
2月16日 11月に九州工業大学情報工学部で発表した本校の取り組みが評価され、CECの共同プロジェクトの「高校教育における生徒の自律的情報交換に関する実践研究」の全国9校のメンバーに選ばれた。電子科2年生3人を生徒のコアグループとして登録し、全国の高校生と情報交換を始める。             


 7月26日に仕上げたホームページであるが、クリッカブルマップを使った津久見市の史跡案内、CGIを使った文化祭の立て看板の投票プログラムなどの部分が、技術不足のため未完成のまま終わったことは残念である。ただ、卒業した3年生は文化祭などの行事の写真や文書など莫大なデータをファイル化しており、このデータを無駄にすることなく、今後のホームページの素材として活用していきたいと考えている。私自身、コンピュータリテラシーとしての活用を卒業研究としてとり組んできたが HTMLを使ったホームページの作成は、自らテーマを決め研究制作していく課題研究のテーマとしては最適である。また、生徒自身が学校や郷土のことを再認識する絶好の機会である。レイアウト決めといったデザイン的なセンス、HTML言語を巧みに操るプログラミング的センスなど様々な技術が要求されるが本校のホームページの特徴はすべてが生徒の手作りであるということで、この伝統は後輩の2年生にも引き継がせていきたい。ホームページの機能は日々絶えず進化しており、アニメーションやゲームなど、よりインタラクティブでリアルなページにも変身させたい。

 ホームページを通して多くの卒業生から電子メールをもらうことができた。NBUメディアセンターの安東慎一郎先生はメールから本校の卒業生であることがわかり、外部講師としてインターネットの講演をしていただいた。まさにヒューマンネットワークの広がりを実感できた。新年度からは1教室41台のインターネットを快適に使えるパソコン教室ができるので、様々な授業で活用してもらえるよう校内の委員会にもはかっていきたい。