100校プロジェクト成果発表会 分科会第3会場

共同利用企画「地域情報交換」報告
「地域情報交換」の活性化と世界平和

帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校

辻 陽一


 本企画概要は95年11月中旬に決定され、参加校募集・決定が12月、実質的な活動は96年1月から開始された。これまで地域紹介、95年ニューストップ5、初夢・将来の夢、他地域についてのイメージなどの情報交換やアンケート実施・分析を進め、各校のホームページに掲載してきた。3月はその総括として「とりわけインターネットを活用する中で世界平和」という大きなテーマを取り上げ、その最終段階として、3月9日、face-to-faceの会議を大阪で開催し、親睦を深めながら意見交換を行うというのが本企画の趣旨と具体的計画である。

・95年ニュース・トップ5

 企画担当者としてはローカル・ニュースを意図していたのであるが、大阪信愛女学院や他の複数の学校ではクラブ活動の成果や教員の慶弔など校内ニュースを取り上げたところが多かった。世界のニュースでは核実験を取り上げたところが多かったが、帝塚山学院の生徒がフランスの核実験をあげたのに対し、四条畷北高校では中国の核実験も取り上げていた。このあたりは、学校間での生徒の意識の違いが見られる。

・初夢

 パトカーに追いかけられたり、タレントの夢を見たり、あげられた夢は多様であるが、四条畷北の場合はクラブ活動やスポーツ関係の夢が多いのに対して、帝塚山では有名人の夢が多い。夢判断は難しいので一種のお遊び的なものになった。ただ各校の夢をお絵描きソフトを使って生徒が絵を描き、ホームページに掲載したが、これは生徒のコンピュータに対する愛着を深めるとともに、今後各校で絵を比べて、国や地方による違いが見られる可能性を持っている。

・将来の夢

 沖縄の美里高校では保母さんをトップにあげているが、帝塚山の場合は英語関係の職業が多い。美里高校では卒業後就職する生徒が大半で職業を強く意識しているが、帝塚山の生徒は国際科であるということと大学進学した後の就職を考えているために、違いが現れている。このあたりも生徒が分析して、ホームページに掲載している。

・日韓関係

 他地域に対するイメージ調査の中で、特に日韓関係に関する結果に生徒は注目した。韓国の2交流校と文通し、修学旅行で韓国を訪ねる帝塚山の生徒は韓国に関する学習を深めている。そこで大阪信愛女学院高校の調査結果を比べると日韓関係は良好かという質問に対して帝塚山の生徒は否定的な答えが多かった。修学旅行が韓国ではなく沖縄の帝塚山の男子生徒も4割程度回答者に含まれるので、もし国際科の女子だけであれば、もっとシビアな結果が出されていたかも知れない。生徒の分析もホームページに掲載した。
 またインターネット環境に無い韓国の高校はファックスで参加しているが、日韓関係については帝塚山の生徒とほぼ同じ結果が出た。他地域への関心項目については、韓国の場合項目数が各地域一項目と回答されているのに対して、帝塚山では多岐な項目をあげている。これはアンケートの回答方法に問題がなかったとすれば、韓国の生徒の対日理解や対外理解が片寄っていることを示すものかも知れない。

・世界平和

 このテーマについては、ハワイの平和センターなどの情報を紹介したいという意見がハワイから出されている以外は、まだ明確な活動をしていない。

・その他の活動と問題点

 参加11校教員間と3校生徒のメールグループを作り、情報交換を行ってきたが、ハワイが含まれるため英語が多用され、英語教師でない担当者が読みずらかったり、韓国とはファックスによる情報交換という制約があった。またハワイ2校や大阪信愛などインターネット環境にはあるがホームページが置かれていないため、アンケートなどの集約は帝塚山で行うという形になった。
 本企画に時間的余裕が無かったため、企画の全体像を理解するのに時間がかかったとプナホウのジャーナリズムの先生がメールに書いていたように、ようやくデータが揃ってきた帝塚山のホームページを見て、他の参加校が趣旨を理解してきたという面がある。できればこの企画をファースト・ステップとして、セカンドステージでは本格的な情報交換へ進めたい。

・生徒への教育効果

 トピックやその分析を絵を含めながらホームページに掲載し、電子メールでやりとりする中で、さまざまなアプリケーションソフトやHTMLなどに習熟するとともに、インターネットへの理解を深めてきている。参加形態については同志社国際や四条畷北、高取のように授業の一環として取り組んでいることもあれば、美里高校や帝塚山のように有志による参加など色々であった。企画のとりまとめてをしてきた帝塚山の生徒は取り組みの中で多くのことを学んできたが、今後、参加校の生徒がそれぞれインターネットを通じた学習をいっそう深めていくことになると思われる。