新100校プロジェクト成果発表会
小学校部会

インターネットを活用したふるさと学習(総合学習)の実践

岐阜県輪之内町立大薮小学校 安藤 弘子

1,はじめに(ねらい)
 わたしたちの住んでいる輪之内町は,有数の穀倉地帯の、濃尾平野のなかにある。木曽三川が流れ,豊かな水に恵まれている反面,昔から幾度となく洪水に悩まされてきた。子どもたちは地元に生まれ育ちながらほとんどの子が,ふるさとの水害や治水の歴史・史跡などに気づいていない。それは,ここ十数年大きな水害が起きていないからである。
 社会科で、自分たちの地域のことを学ぶとき、はじめて輪中のことを学習する。「低地のくらし」で、濃尾平野がとりあげられ「輪中」のことを学ぶ。そこで、この特色あるわが町「輪之内町」をじっくり学ばせたいと考えた。ふるさと学習をするねらいは、
(1)先祖の人々が水害に苦しみながらも、工夫して水と戦ってきたこと
(2)地域の人々が助け合い、知恵を出し合って生きてきたこと
(3)治水工事のために多くの人々が命を出し合って、今の安全な町を作りあげてくれたこと
 こうした事を、年間を通して学習することにしたがって、郷土への関心や理解が深まり、ふるさとを愛する心を育ませていきたい、これがふるさと学習をするねらいである。

2,取り組む時間
 ふるさと学習は、「地域にふれ(低学年)、学び(中学年)、尽くす(高学年)」といったスローガンのもとに全校体制で取り組んでいる。
 取り組む時間は
・「低地のくらし」の学習がある社会科の時間
・見学にいくのは学校裁量の時間
・新聞にまとめるには国語の時間
・郷土の偉人(治水工事に携わった人々)について学ぶのは、道徳の時間
・イラストを描いたり,デザインをするには図工,及び学級活動の時間
 従来の教科の枠にとらわれず横断的・総合的な学習ができるよう,時間を生み出した。

3,取材活動
@1学期

A2学期

4,インターネットへの情報発信

5,まとめ
  <成果>
・学習のスタート時には,校区のことにあまり関心をもっていなかったが,見学等体験学習をしていくなかで郷土への関心が高まり,治水工事の歴史の中で,薩摩義士による宝暦治水工事やデ・レーケによる明治の河川改修のことが,農民の立場から理解できるようになった。
・電子メールなどを通して,「輪中」をテーマに交流できたことは,子どもたちのコミュニケーション能力を育成する絶好の場となった。
・自分が発見した郷土の宝物を自分の手でまとめあげ,インターネットを通して,自分の発信した情報が多くの学校で利用されたことに,おおきな充実感を味わうことができた。 
・社会科学習,道徳,特別活動,学校裁量の時間などを使い,総合的な学習を展開の方向性が見いだせた。
  <課題>
 今では,堤防も頑丈なものになり,排水機の威力もまして水害の心配は少なくなってきている。また生活様式も変わってきて車社会になり,輪中堤防も信号機のない快適な幹線道路として,本来の役目とは違った活用をされている。水屋様式の家も,いまでは新築する人はほとんどいない。このように輪中地帯といってもその面影は,どんどんきえつつある。しかし,水とたたかってきた先祖の人たちの苦労・知恵を忘れてはならない。まだ残っている施設,道具,地形を残しておくことが私たちの使命であると考える。今後の課題として
・4年生の「低地のくらし」の学習に役立つ情報を、自分たちで調べ、発信していくこと。それは、正しい情報でなければならない。