特許の仕組み


 日本では、発明をしただけではそのアイデアは保護されません。アイデアは、特許や実用新案などで特許庁に出願することにより保護されます。ここでは、特許を受けるための仕組みを説明します。

○特許はどんな人が申請できますか
 特許を受ける権利は、「発明者」にあります。この権利は、発明を完成した人なら一部の外国人を除いて、誰でも受けることができます。発明は人間個人の頭脳によって生み出されるものですから、「発明者」は、必ず個人となります。また、法律上「人」としての地位を認められている「法人」にも認められています。

 特許を出願するためには、法律上の権利と義務を持つ資格が必要です。その為、未成年者が特許を出す場合には、法定代理人(普通は親)に出願手続きをしてもらうことになります。
 しかし、未成年者であっても、結婚をしている場合や営業を許可されている者であれば自分で特許を出願することができます。

特許の出願手続を自分でする時間が無い場合は、弁理士または弁護士に手続行為の代理をしてもらうことができます。弁理士は特許出願などの手続きを代行できる国家資格を持った専門家です。

○特許出願はどんな手続でするのですか
特許出願の手続きは、2つの方法で行うことができます。
  • 書面による出願
  • パソコン出願

 昔は、出願書類を邦文タイプで清書してから特許庁へ提出していたのですが、近年の情報処理技術の発達と事務処理のOA化の普及を背景に、平成2年12月1日より、オンラインを通じた電子続きによる出願を受け付けるようになりました。
 現在、特許庁への特許及び実用新案登録の出願手続は、電子出願が原則になっています。

 ・書面による出願

 書面による出願は、特許庁の出願課窓口に直接持参する方法と郵送する方法の2つがあります。出願書類は、以前はタイプで打ち込む必要がありましたが、今は電子出願が原則なので、書面による出願は財団法人工業所有権電子情報化センターに対して、電子化に必要な手数料を別途納付する必要があります。

 ・パソコン出願

 これまで電子出願をするためには専用端末機を使用する必要がありましたが、平成10年4月1日より、市販のパソコンでも出願できるようになりました。このための専用ソフトは特許庁から無償で交付されます。なお、自宅のパソコンからオンライン出願を行うためには、ISDN回線やスキャナーが必要であったり、事前に「電子情報処理組織使用届」などを特許庁に提出しなければならないなどの、初めて出願する場合準備に時間と費用が、かかります。もし、頻繁に特許出願をしない場合には、全国各地に設置されている共同利用パソコンを利用すると良いでしょう。

○出願から特許取得までの流れ

 特許は出願しただけでは権利を取得することができません。出願後に、特許庁において、方式審査、審査請求、実体審査という審査を行い有効と認められて(特許査定)、特許が成立します。
この特許査定がなされ、所定の特許料を納付された後、特許庁長官による特許登録原簿への特許権設定の登録がなされて初めて、特許権が成立し、発明の権利が保護されます。
特許成立までの流れ

○外国での特許の取得

 日本で特許権を取得したからといって、世界の他の国でも特許の効力が認められる訳ではありません。外国で特許権者になるためには、アメリカならアメリカ、ドイツならドイツに出願して特許を取得しなければなりません。特許権の効力はその国にしか及ばないのです。
外国に特許を出願する場合、パリ条約特許協力条約(Patent Coopeeration Treaty)を利用して出願するのが一般的です。

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