交流学習プロジェクトに参加した3校は、地図でも知られるように、道のりで数十キロメートル離れており、日常的な交流は情報通信網を利用せざるを得ないが、交通機関を使っての相互訪問は不可能な距離ではない。バーチャルな世界での交流を、直接体験で補完する実践上の問題を考えたとき、適当な距離である。
これまでに3校とも、身近な吉野川や近隣の用水を対象として、独自の「調べ学習」に取り組んでいる。各校の独自性が、交流学習にどう寄与するのか、あるいはどんな面で障碍になるのか、逆に交流学習が各校にどのような影響を与えていくのか、2学期から交流学習を始めるというスケジュールも本企画の注目するところであった。
まず、3校の自然環境、立地、規模、地域などの特色から簡単に各校を紹介する。なお、3校の校区とも吉野川の河川敷まで近距離であるが、安全上の理由から子ども達だけで川へ近づくことは禁止されている。
(1)上流域校:高知県長岡郡大豊町 豊永(とよなが)小学校
高知県北部、徳島県西部との県境に近い山間地域に位置し、上流域に当たる。豊永小学校(以下、豊永小)は深い谷をも見下ろす斜面を切り開いた地にある。
(写真説明)豊永小(写真ほぼ中央が校舎)は、吉野川が作った谷の斜面にある。校舎から吉野川(写真右下)を眼下に臨むことができる。吉野川の川幅は、対岸の人と話ができる程度である。
(2)中流域校:徳島県三好郡三加茂町 三庄(さんしょう)小学校
徳島県西部に位置し、吉野川では中流域にあたる。河岸段丘でできた平地のすぐ近くまで山がせまる。平地は農業地であるが、大規模店舗などがある商業地でもある。同町内には、小学校4校、中学校1校がある。三庄小学校(以下、三庄小)は、三好郡内でも比較的大きな規模の学校である。
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(写真説明)三庄小は、吉野川と川をはさむ山の間の平地にある。 学校からも川からも山の斜面が迫るように見える。 |
(3)下流域校:徳島県板野郡吉野町 柿原(かきはら)小学校
柿原小学校(以下、柿原小)のある吉野町は徳島県の北部板野郡の西部に位置し、北に讃岐山脈を望み、讃岐山脈から流れ出る宮川内谷川の扇状地に成り立っている。南には吉野川の清流が流れ、古くから東西交通の要所として栄えてきた。以前は純農村地域であったが、近年は兼業農家が増加傾向にある。
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(写真説明)柿原小は、平野部にある。校庭の大樹は、戦前にオーストラリアから移植されたユーカリの木。周辺は農地と住宅街である。右は、吉野川の堤防から水門を見学する児童達。対岸までは約1kmの距離がある。
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