1.はじめに

 全国の小学校、中学校、高等学校ではコンピュータが導入され、インターネットを活用した授業、課外活動が展開されています。新学習指導要領においても総合的な学習の実施や高校情報が必修化され、コンピュータ、インターネットの活用が教科の枠を越えた横断的な取り組みとして実施されます。実際に学校でのインターネット活用が盛んになったとは言え、まだ始まったばかりです。まして、インターネットを使っての国際交流活動を行っている学校は限られています。それでも多くの困難を乗り越えて国際交流活動の実践を行っている学校があります。では、国際交流は何を目的としているのか、考えてみましょう。

 中学生から習いはじめた英語、映画やテレビで接する英語、どんな生徒でも「あんなにしゃべれたらいいな」と思いながら、授業を受けていることと思います。単語も覚え、文法も習い、しかし、学習をした英語を試す場がありません。「通じた!」と喜びを体験できる場が今までありませんでした。

 ある高校2年生。彼女は授業でコンピュータの使い方やインターネットのアクセス方法は習いましたが、専門用語が多く、インターネットにも興味が持てませんでした。電子メールも難しそうで、どう書いていいかも分かりません。しかし、授業で初めて英語でメールを送ってみました。その日の内に返事がきたのです。インターネットって速いんだ!そして自信のなかった英語が通じています。彼女のインターネット体験が始まりました。交流を通していろんな事が見えてくるようになりました。その国に生きている人の声はその国を正確に伝えてくれます。多くある共通点、将来についてのビジョン、同じ世代の持つ喜び、夢・・。いつの間にか教科書やテレビの情報で得た「国」から「私と日々インターネットで接している人の住む国」となりました。また何気なく聞いていたその国の出来事、経済状態や事件などもすべてあの人の生活と結びつくこととなりました。「大きな台風があったようだけど?」「すごい!マラソンで優勝したんだ!」と心配したり、喜んだり、メールの機会もどんどん増えていきました。

 小学生もいろんな国のことを学習します。コーヒーの産地、いろんな気候の国々、でも実感がわきません。教科書の中の「国」は教科書を閉じると同時にその国の扉も閉じてしまいます。しかし先生が英語を訳してくれるボランティアの人を見つけてきてくれました。その人は自宅にいながら私たちの質問や感想を英語に直してくれるのです。インターネットの機能が「質問してみたい」という私たちの願いを実現してくれ、国の扉が応援してくれる人の手で開いたのです。ボランティアの人によって、自分の海外への質問の返事がどんどん届けられるのです。海外の人との日常的な交流によって子どもたちは何を手にするのでしょうか。

 今までほとんどの生徒にとって、外国は遠く、「国際化」は文字だけの世界のようでした。しかしパソコンの前に座るとき、画面の向こう側は「海外」です。インターネットによって、全ての生徒に「生活圏の中に外国」が実現され、新しい視点を得ることができるようになったのです。

2.国際交流のねらい

 インターネットを用いた国際交流を行いたいという希望が多くあります。また、すでに実践を行っている学校もあります。これらの実践を通して何が得られるのでしょうか。

<交流自身に意義があること>

 日本のある学校は、アメリカの学校とテーマを決めて、電子メールで交流しています。これを、英語で表現します。授業の中で、この実践を行っていますが、この実践も興味深いです。
語で交流することは、生徒にとっては簡単ではありません。辞書を何度も引きながらようやくメールを書きました。そして、初めて相手から返事のメールをもらった時、自分の英語のメッセージが相手に伝わったんだという驚きで、感動したという感想を、生徒は素直に述べています。コミュニケーションは、それだけで意義があります。外国に行って、はじめて英語が通じた時の喜びを誰もが体験しているに違いありません。交流とは、そのこと自身に意義があります。それは、相手が物言わぬ教科書ではなく、生きている本物の人間だからでしょう。

<相手を知ること>

 先の生徒の交流は、学校制度や教育システムの違いについて話が盛り上がりました。やがてテーマが若者の宗教観になったと言います。現代の日本の若者が宗教に興味を持っているとは考えられません。しかし、外国の同じ世代の若者が、自分はこのように考えるという意見をしっかり持っていることを、日本の生徒が学んだと述べています。教室の講義でいくら説明しても、なかなか実感として理解しにくいものです。しかし交流を通して、考え方の違いを学ぶことができます。それは、相手の考え方、つまり文化を知ることに通じています。

 さらにテーマに関連したホームページはあまり読む気がしませんが、自分に向けられたメールは早く読みたい、書いてあることを早く知りたいという気持ちになったと、生徒は述べています。生きている相手がいることが、交流の原動力と言えます。

<自分を知ること>

 やがて、この学校では生徒達が交流の内容を分析して、レポートにまとめる学習にまで発展しました。レポートを書く段階になって、改めてこれまでの電子メールの内容を見直しました。その時、いくつか気付くことがありました。これをコミュニケーションについてというテーマにまとめ、レポートにしたと言います。これは、気付くことの素晴らしさを、教えています。

 そうか、こういう意味だったのか、こういうふうに考えれば良いのかという気付きが、もう一度自分を見直すことに通じるのです。

 現代の教育では、自己評価の重要性が強調されてきました。これは、自分で考え、自分で評価せよということです。評価するという行為は、これまで教員の仕事であって、生徒のする学習活動ではありませんでした。しかし、自分で自分を知ること、内省することの意義を見出したのです。生きた相手との交流を通して、自分を知る学習まで結び付けたいと思います。

<協同学習によって発展させること>

 上記の実践は、学期の終わり頃になって、ホームページを作成することまで発展しました。日米で共同のホームページを作成しようということになりました。そのホームページを作成する段階になって、生徒達が相互に教えたり教えられたりする風景が見られるようになりました。これまでの授業にはなかった光景です。生徒達が意欲を持って、活動に取り組むようになりました。生徒達はこのことに意義を見出し、多くの生徒達が積極的に取り組むようになりました。協同して学習することは、そのこと自身から多くのことを学びます。クラスの相手がこんな特技を持っていたのかという驚きがありました。点数や偏差値で評価されることに慣らされてきている子どもたちにとって、美術の作品などはみんなに展示されることで得る、友達同士の「あいつはこんなすごい絵が描けるんだ」という評価はとても新鮮です。表現は心のひだを垣間見させてくれます。実は子どもたちは、誰に見られても恥ずかしくない自分を作りたいのでしょう。ですから納得がいくまで手をいれたり練習をするのでしょう。コンピュータやインターネットを使ってコミュニケーションしながら作品を作ることによってこれと同じ効果が得ることができます。そして、やがて海を超えた共同作品が出来上がったと言います。

 これまでの教育は競争でした。入学試験という競争によって、生徒を勉強に駆り立てるという傾向がありました。ネットワークの活用は、競争から協調に変えました。もちろん競争も重要ですが、協調して学習するという環境を、インターネットは提供していると言えます。

 国際交流は、実践です。生きている相手や現実にぶつかることによって、本物の学習をさせようとするねらいがそこにあります。

3.学校での取り組み

(1)導入に当たって

 インターネットで国際交流を行う上で大切なことは、長く、深く交流が続けられることです。そして長く続けるにはお互いが共通のテーマや目的意識を持つ必要があります。現実には、小学校からは、「何をやりとりすればいいの?」「言葉はどうすればいいの?」「子どもたちにコンピュータが使えるのかな」などという声が聞こえてきます。そして、やってみたいけれど自分は英語もコンピュータもできないから、できる人がうらやましいとあきらめていないでしょうか。小学校では、担任がほとんどの教科を担当していますので、特定の「できる」教師だけで交流を行うと、クラスが変わったり、担任が移動しただけで全く交流が行われなくなってしまい、あまり好ましくありません。学校をあげて取り組んでいくことが大切です。中学校などでも相手校との交流を密にするためには、学校をあげて交流に取り組んだり、何人かの先生方でチームを作って交流を行ったりしていくことが必要です。導入するときにいくつかのポイントをクリアーすれば比較的簡単に交流できるのです。

 主なポイントは以下のような項目です。学校の中で取り組む体制作り、学校での位置づけ、教職員のまとめ方、交流内容の検討などがあります。以下これらについて述べていきます。

1)位置づけを明確に

 学校をあげてインターネットを使った国際交流に努めていくためには、すべての教職員が一致協力して、スムーズに交流できる雰囲気づくりが必要です。このためには、教職員が国際交流の有効性と大切さをよく知り、積極的に行おうとする意識の向上とその意識を有効に生かしていける組織作り、学校の全体計画への国際交流の位置づけ、年間指導計画への位置づけ・組み込みが大切になってきます。

 つまり、国際交流が学校の中でどのように位置づけられているかにより、交流の深まり方が違ってきます。インターネットを使った無理のない交流ですと、息長く苦にならずに楽しく続けられます。学校全体で盛り上げていくことが大切です。

2)国際交流の位置づけ

 国際交流は普通、国際理解教育の中に位置づけられます。国際理解教育は、これからの国際社会で生きていく上で必要な世界の人々や文化に対する理解を深め、互いに尊重し合い「世界の中の日本人」として国際社会に積極的に貢献する態度を育成するために、教育課程全般で行うものです。

具体的には、基本的人権の尊重

自国及び他国の文化理解

国際協調・国際協力の実践的態度

の育成の3つの観点を目指しています。

 国際交流は、どれにも当てはまりますが、特に二つ目、三つ目に位置づけられます。そして、特定の教科として割り振られておらず、全教育活動を通して行うことになっています。従って、国際交流は、すべての学校で特定の教科に偏ることなく行わなければならないものと考えて差し支えありませんし、すべての教職員が率先して行う必要があります。また、インターネットは直接相手と交流ができるので、国際理解教育のためにうってつけの手段(道具)となります。

(2)計画の立案から実践までの手順

1)全体計画

 インターネットで国際交流を続けていくためには、曖昧なまま活動を続けていくのではなく、きちんと教育活動に位置づけておく方がうまくいきます。このためには、国際理解教育の全体計画の中に、インターネットを使った国際交流の重点や目標などを入れていきます。全体計画は、学校における国際交流の基本になるので大切なことです。具体的には、各教科、道徳や特別活動の重点に入れる、その他それと並列に国際交流の推進の項目を作り、その中に入れるなどが考えられます。その上で、各教科、領域等の年間指導計画の中にもどのような単元や領域で扱うか入れていきます。   

 特に必ずインターネットにふれ、具体的に使用していく方が実際の活動がしやすくなります。この中で、特別活動の児童活動や学級活動の中にも目標を入れておくことが学校全体で交流につとめたり、活動の時間を確保したりしやすくなります。また、総合活動の一環として計画的に、教科などに当てはまりにくい内容を位置づけていくことは大変有効です。特に中学校では、どの教科で、どんな活動をいつ行うかの内容の計画をたて、総合的にみていく必要があります。総合的にみていかないと活動内容が重なったり、一時期に多くの活動をするようになったり、活動がない時期が起きたりすることが考えられ、相手校に対しても迷惑になります。

2)組織作り

 学校の中で誰が中心となって推進するかを明確にすることは、職員全体で取り組むためにも必要なことです。基本的には、国際理解に関する部が中心となることが適当です。その中でも深く進めていく場合、いくつかの班に仕事内容を分担した方が円滑に活動できます。そこでは、活動内容や授業方法を研究する班や翻訳者や相手校とのやりとりの中心となる班など決めた方が機能しやすくなります。特に相手校との窓口になる人は複数いた方がよいなどとしっかり決めておくとよいと思います。これは、相手校や翻訳者と絶えずきちんと意志の疎通を図り、思い違いを起こしたり、迷惑をかけたりしないために必要です。

 職員の組織は、小学校では、学年を中心に、中学校以上では、教科を中心にメンバーの構成を考えていくことになります。

3)職員研修

 もっとも大切なのは、各教職員の交流に対する意識の向上で、インターネットを使った国際交流の意義についての研修などが必要です。そして、教職員をしっかりまとめるためには、すべての教職員が意欲的に積極的に活動できるような組織作りと目的や内容をはっきりさせていくことが大切です。また、コンピュータやインターネット、メールなどについての研修を直接体験することを中心に行っていくと、理解力が深まり、授業での活用も期待できます。小学校や中学校の教科により、コンピュータなどにまだ慣れ親しんでいない場合に、インターネットを難しいものと考え、交流に二の足を踏む場合が多いからです。また、自分で使ってみることで、活動に対する理解も深まり、新しい発想の考えが浮かんでくるものです。また、実績のある他校の参観なども有効です。

4)留意点

 基本的な計画を立て組織を作ることが最初に行わなければならないことですのはもちろんですが、その先何をする必要があるのでしょうか。当然考えられるのは、相手校探しと翻訳者の確保です。特にこのとき注意が必要なのは、校内に英語が得意な教職員がいない場合、相手校との定期的な打ち合わせに翻訳者が必要になることです。子ども達に円滑に交流させるためには、相手校との十分な打ち合わせが必要で、このときのやりとりがほとんどの場合、英語で行うことになるからです。従って、子ども達の作品の翻訳だけでなく、打ち合わせにも翻訳者は必要なわけです。また、相手国の生活習慣や社会の様子などについても教師は、調べて知っていた方が円滑に交流を進める上で役立つと思います。又、中学校の場合、どの程度のことが校内で翻訳可能なのか、あるいは、子ども達が自分でどのくらいまでなら翻訳できるのか、など考えておく必要があります。

4.活用の手順

(1)準備段階

 交流を始める前にいくつかの準備が必要です。スムーズなスタートを切るためにも、事前の調査、交流プロジェクトなどの情報収集、メーリングリストへの参加など、先生の側の準備が必要です。さらに基本的なインターネット利用の留意点も生徒に把握させたいものです。

1)国際交流型プロジェクトの概要を知ろう

 いろいろな団体、ボランティア組織が国際交流のプロジェクトを用意しています。CECなどの昨年までの国際交流の実践研究をチェックし、その流れをまずチェックしておくべきでしょう。そこには、活動の主旨、一年間の大まかな流れ、電子メールの使い方、アンケートの活用法など、国際交流を始めていく上で押さえるべきポイントが提示されています。

 これらを把握し、独自で始められるのも結構ですが、これらのプロジェクトに応募して、交流の基本を体験することもできます。

2)教育用メーリングリストに参加

 メーリングリストとは登録者全員に、会員からのメールが配送されるシステムです。教育用とは主に学校教育に関心のある人たちの集まるメーリングリストのことです。メンバーの多くは大学、小、中、高の先生方ですが、このほかにも企業、主婦、あるいはボランティアの立場から意見をいただくこともできます。

 メーリングリストは情報の収集ということだけでなく、電子メールの速さ、メールの適切な文字数、質問の仕方、返事の書き方(引用文の活用)の学習をまず先生が行い、その機能のすばらしさを先生自身が学習するためにも必要です。メーリングリストには個性がありますので、複数登録して、自分にあったものだけに参加すればいいでしょう。

3)英語版のホームページを作成しよう

ホームページは交流を進めていく上で重要な働きをします。その内容には大きく分けて2つの要素があります。

です。

では、ホームページ作成の留意点を簡単に書いてみます。

<バイリンガルにするべし>

 インターネットは世界に張り巡らされた情報網です。英語で表記することによって海外からのアクセスは飛躍的にのびます。日本への関心も高く、日本の学校も海外のホームページコンテストの審査員を頼まれたりもします。

<不完全でいい>

 完璧なものを求めるあまり、英語版がどうしても遅れがちになってしまいますが、海外の人は「とにかく英語でないと読めない」のですから、少しの英語と写真でいいからとにかく作っておくべきでしょう。

<indexは親切に>

 最初のページは引き込むため、工夫が必要なところです。見に来る人が必要だろうと思われるものをすぐに検索できるようにしましょう。

 校長の挨拶や、学校沿革史を知りたくてアクセスするわけではありません。

授業の様子や、授業の資料、これらの情報が1ページ目からすぐに検索できるようにすべきでしょう。

<画像ファイルを軽く>

 絵があると見る方は楽です。図のような画像を一つ貼るだけで多くの情報を「国際的」にアピールできます。まず小さな画像を貼り、そこをクリックすると大きな画像がでてくる工夫も大切です。

<施設・設備を紹介しよう>

 どのような施設・設備があるのかを相手に知らせるのは重要です。共通のソフトを持っていれば交流も進みやすいものです。また十分な施設が無ければ相手側のサーバーにプロジェクトのホームページをおかせてもらうこともできます。

<Webを登録しよう>

 みなさんと同じで海外の人も交流相手、あるいは教材を捜すとき、検索エンジンを使います。たとえは「国際交流」「高校」この2つでヒットするようにします。

 特に海外版には「こんな交流がしたい」と簡単に書くだけでその効果絶大です。

<メーリングリストやバーチャル会議室の設置>

 日常的な交流を確実にするにはメーリングリストやWeb会議室を利用する方法が良いでしょう。 

(2)生徒の準備

 実際に交流を行うのは子どもたちです。交流がうまくいくように生徒の指導も事前にしておきましょう。

1)ネチケットの指導

 インターネットは基本的に人々のボランティアによって成り立っています。このことをよく理解し、ネットワーク社会に参加する基本的な資質を身に付けさせたいものです。

2)技術的な指導

(3)実施段階

1)どんなコーディネータがいいのか

 交流の申し込みはどんどんやってくるでしょう。しかしすべてに参加する事は無理です。教育効果の上がるものを選択するにはどの様な基準があるのでしょう。

 継続性のあるプロジェクトを進めて行くにはコーディネータの働きが重要です。次のような相手であればこのプロジェクトは成功したも同然です。

<一日一回は必ずメールを開く人>

 打ち合わせ、あるいは、交流のための授業準備など電子メールは重要な手段となります。このように考えると一日一回はメールを開く人でなければ連絡が取れません。

 そのため最初は毎日メールを送り連絡を取り合いながら、こちらの熱意を伝えるとともに、相手の反応も見ていくことが必要です。

<インターネットのおもしろさを知っています人>

 やはり、いろんなツールを使って、交流を試みる人がよいといえます。交流の基本は電子メールですが、その交流をさらに豊かにするためにビデオメール(画像を簡単に送ることができる)やチャット(表情のでるチャット)などで生徒のやる気を引き出すような工夫が必要でしょう。

2)起こりやすい問題

 せっかく始まった交流も学校行事などによって中断されることもあります。約束通り返事が書けないケースも起きてきます。大まかな年間行事をお互いに確認することによってこのような事態を回避したいものです。

3)プロジェクト成功の要件

計画──

大まかでもいいから決めておくと、お互いに心の準備ができます。取り組むプロジェクトがどのうな成果を生みだしたのかを明確にするためにも重要です。アンケートなど少なくとも最初と後にとると生徒の意識の変化もよく分かり、教育効果を計ることができます。

打ち合わせで決めたいこと──

生徒は週何回メールを送るのか

定期の打ち合わせ(国際職員会議)は毎週いつするか

(Cu-SeeMe、NetMeetingあるいはチャットで)   

 「生徒がメールを送ったから返事をください」と依頼ばかりお互いにするのはちょっとまずいものです。日常的な教師同士の交流が生徒の交流の土台となります。指導から支援へという教師の役割の変化に対応したいものです。また、メールの届かない生徒の相手を変えるなどの配慮も教師の仕事です。

4)いくつかのステップ

 項目を埋めていく方法なら生徒も抵抗感無く書き込むことができるでしょう。その中にちょっと国際比較できそうな項目を入れると意外な事実が浮かび上がってくることがあります。

 例へば、下記の様ないくつかの項目を書き込みます。

 また、英文メールのやり取りは回数を多くすることによって、英語力も付いてきます。10行程度のやり取りを相手側とも話し合って決めておくと、生徒の負担も少なくなります。短時間で読めることが交流を進めていく上で重要です。

<テーマの決定>

 テーマが何であれ、交流の中で多くのものを生徒たちは発見していきます。テーマはあくまで論議の土俵として設定し、生徒の取り組みやすいものにしましょう。

(例)「私の国に来たらここに連れていきたい」

   「あなたの国で知っている都市」

   「高校生のおもしろグッズ」

   「どんなに使うおこづかい」

<ゴールの決定(プロダクト)>

 最後に何か作品ができると、その作品完成に向けてがんばることができます。調べたり交換した情報をどのように残したらいいのでしょう。国によって学年の終了時期が違うこともあるので、とりあえず早い方に合わせて何らかの作品を具体化したいものです。

(例1)共同資料作り

 あるテーマに関する情報を提供しあい、分担してWeb上に掲載していきます。

 このような作品がプロダクトとして他校の教材になることもあります。

(例2)共同マガジン

 共同で本を作り、それを世界に向けて発信してみるなどいいでしょう。生徒の間ではやっているものなど、画像をつけて共同でページを作成すれば、それは立派な作品になります。 それぞれのページにリンクを張るだけですばらしい「共同マガジン」の完成です。

<レポート>

 作品制作、交流の流れなどWeb上に公表して行けば、それはすばらしい生徒のレポートとなります。まとめることによって生徒自身も自分のやったことが整理され、学習活動を自分自身の知識として把握できることでしょう。

5)交流の形態

 電子メールだけではコミュニケーションもなかなかうまくいかない場合があります。そこで月に1度はCu-SeeMeやNetMeetingなどのリアルタイムの交流を入れると活動に変化がもたらされます。メーリングリスト+メール+Cu-SeeMeやNetMeetingが基本形といえます。

 例えば、交流校と CU-SeeMeでクリスマスパーティを共同で行って、変化をもたせることもできます。また、インターネットだけでなく、手作りのクリスマスカードやビデオレターなどを送ることも交流を支える重要な手段といえます。

(4)有効な活用ツール

1)ソフトの取得

 インターネット上には交流に活用できる便利なソフトが多くあります。これらを利用して交流をより良いものにすることができます。ソフトの入手は思ったより簡単です。

ブラウザからURLを入力
ダウンロード項目をクリック
保存先の指定
ダウンロードソフトの展開
実行

という作業を行うわけです。

2)リアルタイム会議ツール NetMeeting

 国際交流では、電子メールやWebが基本ツールとなりますが、普段は顔の見えない相手との交流になりますが、NetMeetingなどのビデオ会議システムを使えば、お互いの顔を見ながら直接話し合いを進めることができます。もちろん高速な専用回線を使えば文句ありませんが、ISDNであっても音声と画像がよく通り、打ち合わせなどにも支障はありません。共同で何かやるとき姿が見えるというのは、参加意欲を高めますし、何よりも相手の姿が見えれば、なぜか、いい加減に出来ないものです。顔のないメールやメーリングリストはどうしても、他の用事に邪魔されてしまいます。

 

<使いこなそう>

 ビデオ会議を行う場合、音声と画像の両方を配信することになりますが、基本は音声を通す、ということでしょう。相手との交信を行う場合、64kの場合、参加者が2名であれば、30k位の幅でお互いの通信レートを設定します。出来れば画像を極度に低くします。また、顔が見えたらその画面をフリーズさせて、音声だけを流すという工夫をすれば、会話をスムーズに行うことが出来ます。

<まずテスト>

 このことによって、音声の受信具合、画像の映り具合をチェックしてみます。

 音が出なければ、音声関係のチェックが必要ですが、まずスムーズに行くと思います。

またチャットのテストもあわせて行います。画面に文字を入れ正しく表記されるかをみます。

<交信テスト>

 通話メニューから「通話先」を選んで、相手のIPアドレスを入力してみましょう。また通話先の相手がいない場合は「ディレクトリ」を選んで、リストアップされた会議室に入ってみましょう。会議室はいつも多くの人が参加していますので、画面がついたり消えたり、大混雑ですが、チャットだけはしっかり通ります。このテストでは、通信する相手を増やしてみたり、一人に限ってみたり、人数による通信状態の違いを把握してみます。

<どんな機器を使うのか>

 ビデオキャプチャーボードと一般のカメラを使えばほぼ満足のいく画像をとることが出来ます。

 カメラだけでもそのままプリンターの端子(ポート)につなげば可能です。しかしボードを使うことを考えるとどうしても画質・音声の質が落ちてしまいます。また、最近のコンピュータにはUSB端子が標準でついています。USB接続のCCDカメラですと、WindowsでもMacintoshでも使えますし1万円くらいで購入できるものもあります。

3)動画をホームページに

 動画・音声は魅力的ですが、なかなか圧縮技術が進まず、インターネット上にはのぼることはありませんでした。ちょっとした30秒の動画でも20M(フロッピー20枚分は必要なのです。このように動画は送ることも出来なければ、ホームページに貼ることも出来ない代物でした。「動きや表情を送ることが出来れば日本の生徒の英語力をカバーできるのに・・」「動画が送れたら、あたらしい国際交流が可能になる・・」そんな思いでいっこうに圧縮技術の進まない「動画」にあきらめ気分だったのですが・・。

しかしここ数年で圧縮技術やソフトウェアの開発によって、RealVideo、QuickTime、MP3、MP4などは小さなファイルとしてインターネットで配信できるようになりました。このような規格で配信するためにはビデオ画像をコンピュータに読み込みソフトウェアでエンコードする必要があります。ほとんどのソフトはインターネットから無料でダウンロード出来るのです。

<簡単にソフトが入手できる>

 リアルプレイヤーはリアルオーディオのビデオ版です。画像サイズによっても異なりますが、1分程度の動画が500KB程度に圧縮されインターネットで配信することができます。図の様に画面が現れ、動画とともに音声も実にクリアに再生してくれます。

<ダウンロードサイトにアクセスしてファイルを取る>

http://www.jp.real.com/player/index.html

日本語で解説されていますので簡単にダウンロードできます。名前やメールアドレスなど画面に指定してある必要項目を入れ、後はダウンロードするだけです。大きなソフトではありませんので、モデムからも短時間でダウンロードできます。

<展開する>

 ソフトをダウンロードしたら展開です。基本的にはnextを押していけば問題はありません。途中でどのブラウザに入れるかと聞いてくるので、入れたいブラウザを確認して(自動的に全てにマークがつきます)nextを押します。自動的にwww.real.comに接続されますので、その中から楽しみたいサイトをクリックすれば動画、音声共に再生されます。手順については
http://www.jp.real.com/navi/index.htmlを参照してください。

<さあ楽しもう>

 セットアップが完了すると自動的に起動されるリアルプレィヤーのサイトをクリックして動画+音声を楽しむことが出来ます。

例えばCNN.comではHeadline Newsを楽しむ事ができ、英語の教材としても利用できるものです。

4)IRCチャット

 IRCとは、Internet Relay Chat の略で、インターネットでのチャット(ネットワークオンライン会議システム)の一つです。IRCの特徴は、サーバ同士が互いにリンクし分散処理によって非常に多くのユーザに対処が出来ることです。リアルタイムで文字ベースで交信できるチャットは臨場感にあふれ、是非使いたいツールです。どんなソフトを使っていても同じチャットサーバ(会議場)に入れば自由に話すことができるからです。これはマッキントッシュとウィンドウズの組み合わせでも可能です。

http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/free/chocoa/

http://irc.kyoto-u.ac.jp/

にはCHOCOAという日本語で使えるチャットソフトやソフトの一覧などがあり、無料でダウンロードすることができます。


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