1.2 調査の内容

1.2.1 プロキシ型フィルタリングソフトの特徴とその要件調査

上谷 良一 兵庫県立教育研修所

 Webサイトをフィルタリングする方法として、フィルタをするWebサイトを選別するために次の方法がある。

(1) URLリスト

 見せたくない情報を含むWebページのURLをデータベース化しておき、そのWebページにフィルタをして見せなくする方法である。URLリストは、フィルタリングソフトに付属し、そのメーカのサイトからインターネットを通じて更新するのが一般的である。

 見せたいWebページの情報だけを見せる"ホワイトリスト" と呼ぶ、URLリストでフィルタする方法もある。

(2) キーワード

 暴力やセックス等の子どもたちに好ましくない情報が含まれることが予測できる言葉をデータベース化しておき、その言葉を含むWebページにフィルタをして見せなくする方法である。言葉によるフィルタリングは、同じ言葉が使われていても有効なページが多くあることからこの機能の選択には実際に運用して確認をとることが大事である。

(3) セルフレーティング

 Webページの作成者がよくないと判断したとき、決められた法則(RSACiが有名)のもとにページを自己評価してWebのコンテンツの中に埋め込み、その情報に基づいて見せなくする方法である。

 市販のプロキシ型フィルタリングソフトウェアは、URLリストだけ、もしくはURLリスト+キーワードを使う方法が多い。市販のプロキシ型フィルタリングソフトウェアの導入を検討する際には、次の内容を検討し、フィルタリングを行う対象に適したものを選択する必要がある。図1.2.1-2はプロキシ型フィルタリングソフトの比較表である。

(a) URLリストの件数と更新

 URLリストは、「暴力」、「SEX」等とカテゴリに分類されている。カテゴリを選択してフィルタリングの内容を決めることができるので、目的に合ったカテゴリがあるかを調べることが必要である。また、利用者が独自にURLを追加できるので、特定のURLを解除できることも必要である。

 URLリストの件数は、制限しているページの量を表している。しかし、各社基準が異なることから多さでは判断できない。更新には、契約が必要で初年度分は購入価格に含まれるが、2年目以降、使い続ける期間分の経費が必要となる。

 さらに、契約がきれた時にフィルタリングができなくなるソフトウェアもあるので、注意すべきである。

(b) ログ機能

 プロキシ型の場合、アクセスされたWebページのログ(記録)機能が一般的に備わっている。このように、見せないページにアクセスしようとしたコンピュータを記録する機能も重要である。

(c) 制限をしたときの表示

 フィルタリングにより見せなくしたページを利用者に知らせるときに特別な画面を表示するものと単にプロキシサーバがページを見つけられないと同様なエラー表示するものがある。また、どちらかを選択できるものもあり、表示による教育的な配慮を検討する必要がある。

 図1.2.1-2 プロキシ型フィルタリングソフト比較表

項 目/ 製 品 名

SFS

SurfWatch

WebSENSE

Cyber Patrol

AD GUARD

SmartFilter

サポートするクライアント プラットフォーム

すべて

すべて

すべて

すべて

すべて

すべて

開発元/国内販売代理店

(財)ニューメディア開発協会

Spyglass社/スカイ・シンク・システム(株)

NetPartners社/アルプスシステムインテグレーション(株)

The Learning社/(株)アスキー ネットメディア部

(株)アィキュエス、(株)電通テック

SecureComputing社/(株)バーテックスリンク システム事業部

サポートするサーバ プラットフォーム

Solalis、Windows95、98/NT、Linux、 FreeBSD (JDK/JSDK)

WindowsNT 、 MSProxy NetscapeProxy

NT/Unix、Firewall-1、SecurIT、Unix

WindowsNT、

Microsoft Proxy Netscape Proxy、 FireWall-1、SecurIT 、CISCO PIX、NetRoad TeamInternet、 NetScreen、GNAT

WindowsNT、

MSProxy Server、Win Gate、Solaris、Linux、NovellBorderManeger

WindwsNT、MSProxy、

PROXY97、

ProxyMail、他

WindowsNT、NetScape Proxy、Microsoft Proxy、Sidewinder Boaderware、Cyberguard Middleware、Cached Firewall-1

フィルタリングの形式

プロキシ

プロキシ

プロキシ

プロキシ

プロキシ

プロキシ

データベース更新期間

定期

毎日

毎日 (ユーザ側は曜日指定可能)

週1回

1〜3回/月

週1回

フィルタリング方法

レイティングラベル、URLリスト

URLリスト (IPアドレスもフィルタリング可能)、単語マッチング

URLリスト (IPアドレスもフィルタリング可能)

URLリスト 単語マッチング

単語・文節マッチング URLリスト、評価システム

URLリスト

フィルタリング対象 プロトコル

HTTP

HTTP、IRC

HTTP(HTML) 、 HTTPS 、 FTP 、 Gopher 、 NNTP(News) 、 IRC(Chat) 、 TELNET 、 RealAudio

HTTP 、 IRC 、 NNTP 、 FTP 、 Gopher

HTTP 、 TELNET 、 IRC

HTTP 、 NNTP

フィルタリング対象カテゴリ数

PICS準拠

21+ユーザ定義

30+ユーザ定義

13

15

27

カスタム用フィルタリングリスト

あり

あり

あり

あり

あり

あり

提携セルフレイティング

PICS

RSACiやPICS登録サイトを目視確認し、データベースに登録

RSACiやPICS

RSACiやPICS等ユーザが指定

時間別フィルタリング

あり

あり

あり

あり

あり

あり(UNIX系のみ)

通信レポート

あり

あり

あり

あり

あり

あり

グループ別・個別設定

あり

あり

あり

なし

なし

なし

レイティングラベル

あり

なし

なし

なし

なし

なし

プロファイル

あり

なし

なし

なし

なし

なし

個別プロファイル

あり

なし

なし

なし

なし

なし

プロファイルの共有

あり

なし

なし

なし

なし

なし

ライセンス形態(ユーザ数)

無制限

25/50/100/250/1000/無制限(サイトライセンス)

25/50/100/250/1000/無制限(サイトライセンス)

25/50/100/250/500   無制限

25/50/100

50/250/無制限


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