3.4.6 コンピュータ室から職員室へのネットワーク工事

(1)はじめに

 大津市立瀬田小学校では手作りのネットワーク工事で校内LANを構築している。LANの敷設は専門家 による工事が必要のように思われがちだが、実はいくつかのポイントを押さえれば学校の職員の手で作業ができるほど簡単である。ここでは、本校で行ったLAN工事のうちで、コンピュータ室から職員室までの様子を紹介しながら、LAN工事におけるポイントを紹介することにする。

瀬田小学校の校舎全景。左端の本館2階にコンピュータ室(C・センター)がある。 LANで接続された職員室の2台の端末。この職員室のハブまでケーブルを引く。

(2)経路の確認

 最初に行うことは経路の確認である。コンピュータ室から職員室まで、どのようなところにケーブルを通すか、よく観察して複数のアイデアからよりベターな経路を選ぶようにするといい。必要があれば、配電盤や天井を一部開けてみるのも大切である。特に防火壁がある場合は、そこをどのように通すのか実際の様子をよく観察した方がいい。

 本校の場合、本館2階に「C・センター」と呼ばれているコンピュータ室があり、そこから別棟の北校舎1階にある職員室までケーブルを引くことになる。このため、まずコンピュータ室から北校舎への配線を考えなければならない。幸い、今は使われなくなった本館へのテレビ配線用の配管があったので、コンピュータ室から北校舎の弱電配電盤へは、このパイプを利用して通すことにした。北校舎の外壁にある弱電配電盤から内側の職員室へは途中に防火壁があるので、いったん外を伝って職員室前の廊下までCD管を配管した。そこから廊下のアルミサッシを越えて天井にモール処理を施し、職員室のアルミサッシに穴を開けて内側に通すことにした。(下図参照)

(3)部材や道具類の調達

 工事の際に必要な部材や道具類を調達する。今回必要となる部材は、カテゴリー5のUTPケーブル、CD管、モールなどである。道具類としては、脚立、電動ドリル、ペンチ、かしめ工具、ケーブルストリッパ、ケーブルテスターなどが必要である。作業時は必要に応じて軍手をし、脚立に乗る際には運動靴を履き、誰かに脚立を押さえてもらいながら作業を進めることが大切である。

(4)実際の工事の様子

1)コンピュータ室に隣接しているサーバー室のハブが一方の端になる。

2)ハブの置かれているサーバー室に設置してある配電ボックス。職員室に向かうケーブルと普通教室に向かうケーブルの2種類がある。

3)コンピュータ室の天井にはこのような配電ボックスがあり、壁を越えて本館の壁面にある配電ボックスにつながる。

 

4)本館の壁面に設置してある配電ボックス。ここから、北校舎に向かう。

5)本館と北校舎とを結ぶ大きな配電ボックス。

6)職員室のある北校舎の壁面に設置されている配電ボックス。この箱までケーブルが引きこまれ、この箱の側面に取り付けられたCD管から職員室方面に向かっている。

 

7)北校舎の壁面を配電ボックスから職員室の方へCD管を這わせている。

8)CD管は校舎の突起物に固定されている。

9)職員室前の廊下に取り付けてあるアルミサッシの外側。CD管は雨水抜きの穴を通ってここまで来ている。

 

10)アルミサッシを開けて上から見たところ。アルミサッシの隅に電動ドリルで穴を開けている。 11)アルミサッシの穴を通って、ここからケーブルはモール処理をして上に向かっている。本校ではむき出しになっているが、できればモール処理をした方がよい。 12)アルミサッシの上の段差はケーブルをむき出しにしている。

 

13)廊下の天井はモール処理をして渡している。

14)職員室の外側のアルミサッシ。穴を開けて、廊下の天井から職員室の中にケーブルが入る。

15)職員室の内側。アルミサッシを下に向かってケーブルが進む。ここもモール処理がしてある。

 

16)職員室のアルミサッシの床の部分。床はU字型のモール材を使ってけつまずかないようにしている。

17)職員室に置かれているパソコンラックまでたどり着いたケーブル。

18)ケーブルは職員室のラックに置かれている100BASEのスイッチングハブにつながっている。

(5)参考資料

※ネットデイに関しては次のページを参照してください。

福島あぶネ研(http://www.abu.ne.jp/

ネットワークサポートセンターinかんさい(http://www.nes-k.gr.jp/

インターネットつなぎ隊(http://www.tsunagi.org/a/

※ 参考となる書籍 「学校にLAN入しよう」(http://www.nes-k.gr.jp/manual/index.html


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