1.詩の広場

(小学校3年 国語科)

2.授業のねらい

 詩的な表現能力を育てる初歩的な段階として大切なことは,感動をありのままに述べる素直さや率直さである。思ったことを,自分の言葉でのびのびと表現する力をさらにのばすことが主なねらいである。感動を生き生きと表現するには,感動を受けた対象をよく見て,自分の目や体などの五感や心でとらえた個性的な感じを,具体的に表現できなければならない。よく見ると言うことは,概念化・規制化を打ち破ることにつながるのである。また,生き生きとした表現を支えるものとして,散文とはちがった表現法による効果にも気づかせたい。語句の繰り返しや対比的表現,個性的な擬態語や擬声語,適切な比喩表現などさまざまな表現方法を使って自分の感動をうまく伝え,ねらいに適した作品を書くことができるようにさせたい。

3.利用ソフトについて

(1) 利用ソフト名

ロゴライター2 (ロゴジャパン株式会社)
ハイパーキューブジュニア (鈴木教育ソフト株式会社)

(2) 利用ソフトの概要

1)ロゴライタイー2
 リターンキーを押すと,子どもたちの目に飛び込んでくるカメ,歓声がわき上がり興味をかき立てる。キーボードからカメに簡単な命令を与えると,色,形,字を書くなどの操作が自分の目の前でカメが行っていく。
 このソフトの良さの1つは,コンピュータに自分が積極的に関わらないとなにも起こらないということである。自分が考え,作業をしていく過程の中で,友達との教え合い,ふれあい,そしてコンピュータとの対話が生まれる。
 2つ目は教師がプログラム(簡単なプログラム)を組む事に抵抗を覚えないことである。教師が考えたことを,日本語で小さな固まりを作っていくと簡単に一つの作品ができあがる。このような機能を使って子どもが詩を書きやすいように簡単なプログラムを組んでみた。
・詩の題名(4倍角の大きさ,位置は指定),名前(全角文字,位置は指定)
・背景色は白 ・線を引く,色を変える,ぬるをマウスのクリックで設定し,画面に自由に詩や絵を描くことができるようにした。
2)ハイパーキューブジュニア
 ワープロ,お絵かき,表計算,データベースの4つの機能を併せ持った小学校向けの統合ソフトである。ワープロに絵を貼り付けたり,お絵かきの画面で字を書いたりという作業がマウスを使い,誰でも簡単に操作ができる。画面のレイアウトも,低学年の子どもにとっては見やすく,メニューの意味や言葉もわかりやすく作られている。
 リターンキーを押すと,「ピポッ」という音ともに最初の画面がで,子どもの気持ちをそそる。このソフトは,ワープロ,ペイントの画面間で自由に張り付け・縦書き・横書きができ,マウス主体の操作なので,子どもたちにとって楽しく簡単に学習に取組むことができる。

4.コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

・コンピュータのワープロ機能を使うことで,修正,訂正が比較的容易にできる。
・今までの画用紙やノートだけではなく,自分の思いや考えをいろいろな表現方法によって表現できることを知り,活用することができる。
・コンピュータを活用することで,国語の苦手な子,文章表現の苦手な子でも興味を持って取り組む事ができるようになる。
・年間を通して取り組み,フロッピーに保存することによって,自分の作品をいつでも取り出したり,振り返ったりすることができる。
 以上のようなソフトの特性を生かしながら,この学習では詩の作成の部分から利用をしてきた。作成の部分から利用することで,思考の深まり,推考,友達との練り合い。お互いの批評などが楽しく学習の中でみられ,活発に授業を進めることができた。

(2) 利用環境

1)使用機種 NEC PC9801EX 40台 サーバー NEC 9801RA 1台
2)周辺機器・設置形態 マウス 教室内 LAN

5.実 践

(1) 指導計画 (5時間扱い)

第1次  3編の作品を読み,それぞれの表現の工夫に気づき,詩作に対するめあてを持つことができる。 (1)
第2次  見たり聞いたり感じたりしたことを,いくつかの方法で表現するなどして,詩的表現力を高めることができる。 (1)
第3次  自分の生活に取材して,表現を工夫して詩を書くことができる。(3)

(2) 本時の目標 (4.5/5)

・表現を工夫し,自分が感じた様子や気持ちを生き生きと書き表すことができる。
・友達の発表を聞き,自分の表現と比べて良さを見つけることができる。

(3) 本時の展開

こ ど も の 活 動 支 援 備考
言葉の響きを大事にして,詩を書こう
 
・ノートに書いておいた中から,詩に表してみたい題材を一つか二つ選ぶ。
・感動の中心になる部分を決め,書く。
・素直な言葉で,表現を工夫してその時の自分の感動がでるように書く。
・詩を見直し,簡単な修正をし,内容にあった絵をデザインする。
・自分が表現しやすい,また使いやすいソフト選んで書く。
・題材にないりそうなことをノートに書いておくとよいことを知らせる。
・決まらない子供にはノートを見ながら一緒に話し合い,書いた時の様子を思い起こすようにさせる。
・中心にしたい言葉をここに確認し,その言葉を中心に書くようにする。
・LOGOは字や絵を書きやすいように簡単にプログラムを組んでおく
・友達同士見合い,教え合いながら自由に制作をしてよいことを知らせる。
HYPER
CUBEJR

LOGO
WRITER 2

《HYPER CUBEJR.》
・起動し,F1を押してキューブワードかペイントを選ぶ
「詩を書く」
・題名と名前を書く。
全体のバランスを考え字の大きさや位置を決める。
・本文を書く。
字の形や飾りなど自由にレイアウトをする。
・絵を描く。
詩のイメージにあった絵をかきいれる。
《LOGO WRITER2》
・起動し,目次から「詩のページ」
を選ぶ。
「詩を書く」
・題名の名前を書く。
・本文を書く
全体のバランスを考え,字の位置や間隔を工夫する。
・絵を描く
詩のイメージにあった絵を書き入れる。
・全体をみながら修正をする。
「カラー印刷をする」


[ロゴを使って書いた私の詩]

[ ハイパーキューブを使って書いた私の詩]
作品を鑑賞しよう
・題材と中心になる言葉をはじめに発表する。
・自分の作品と比べ,よい点を見つける。
・友だちのめあてにあった作やよい表現を中心に鑑賞するようにさせる。 プリンタ用紙

6.今後の実践のために

 「難しいけど楽しかったなあ」「楽しかった,おもしろかったよ。」「もっと作っていい?」「こんどまたやろうよ」などの声が飛び交い,詩をもっと書いてみたいという意欲が子どもから感じられた。失敗しても簡単に消したり,修正したりして楽しんで学習に取り組み,できるだけ良いものを作ろうとする意欲,もっと作りたいという意欲がもてたことは次の学習へつながる。詩の学習だけではなく,作文,感想文,紙芝居づくりなど国語の学習の中でも視点を変えてみるといろいろな利用が考えられてくる。特に,学習の結果や詩や作文を自分のフロッピーに保存しておくことで1年間の学習の成果や学習の振り返りをする事ということは,コンピュータの大きな強みである。教育用市販ソフトを授業の中に有効に取り入れる工夫をすることによって,子どもたちも変わり,授業の質も大きく変わっていくと考える。
(相模原市立東林小学校 坊野博範)


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