1.いろいろなこん虫

(小学校第3学年 理科)

2.授業のねらい

 この単元は「チョウの一生」との関連単元である。この2つの単元の学習を通して,昆虫を育て,成長の過程や体のつくりを調べ,見いだした問題を興味・関心を持って追求する。昆虫についての理解を深め,生物を愛護する態度を育てるとともに,生物の体のつくりや成長のきまりについての見方や考え方を養う。

3.利用ソフトについて

(1) 利用ソフト

「小さな演奏家」 (株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリー)
「森の人気者」 (株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリー)

(2) 利用ソフトの概要 機能について

「小さな演奏家」(鳴く虫たち) 「森の人気者」(樹液に集まる虫たち)
 鳴く虫たちの様々な世界,森の樹液に集まる虫たちの生活・食べ物・鳴き声・虫の一生など子どもたちがのぞいてみたい世界が画面を通してを紹介されます。操作はマウスでクリックするだけなのでだれでも簡単に5つのコースを体験することができます。
 このソフトは CD-ROM で提供されているので,画像や音声がきれいに入り,内容も豊富なため,低学年から高学年まで学習内容にあわせて利用することができます。
1.虫を探しに:
草原や田んぼの中から鳴く虫を探します。
森の中で生活している虫たちを探します。
2.見て聞いて:
鳴く虫の一生や泣き方の違いなど,鳴く虫についていろいろなことを知ることができます。
森で生活する虫の一生や餌の食べ方など樹液に集まる虫についていろいろなことを知ることができます。
3.ミニ図鑑 :
鳴く虫たちを絵やナレーションで説明します。
樹液に集まる虫たちを絵やナレーションで説明します。
4.ミニ写真 :
あっと驚く鳴く虫たちの写真です。
あっと驚く樹液に集まる虫たちの写真です。
5.クイズ  :
鳴く虫のクイズです。
樹液に集まる虫のクイズです。

4.コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 子どもたちが虫に対して持っている興味はとても大きいものである。学習や生活の中で体験しきれない部分をカバーするコンピュータソフトの力は大きい。子どもたちが課題を持って学習にはいるとき,コンピュータの機能を生かしたこのような検索ソフトは,子どもの学習活動をより広げ,子どもの興味・関心をふくらませてくれる。虫の鳴き声がよく聞かれる季節,子どもたちは虫の声を身近に聞いてはいるが,その声が何という虫なのか,どんな姿をしているのかを知っている子は少ない。実際に自分で飼ってみた子はもっと少ないのである。課題を持って学習を積み重ねていくことで,虫に対する興味が高まり,自分で虫を探したり,森や畑に行ったときに虫との対話が生まれるようなそんな子どもを育てていきたい。

(2) 利用環境

1)使用ハード 台数
FUJITSUFM−TOWNS 1台
MARTY + 29インチ TV 1台
2)周辺機器・設置形態 マウス 教室

5.実践

(1) 指導計画 (3時間+ゆとり1時間)

1)いろいろな虫の体 (2時間)
2)昆虫の一生 (1時間)

(2) 本時の目標

・身近にみられる昆虫に関心を持ち,いろいろな観点から調べようとする。

(3) 本時の展開

子 ど も の 活 動 支 援
○鳴く虫について知っている事を発表しよう
・夜鳴いているよ。うるさいくてねられないよ。
・草のところで鳴いているよ。
・公園のところでも鳴いていたよ。
・家の中にいるよ。
・家の庭で鳴いているよ。
・スズムシを飼っているよ。
・コオロギを飼っているよ。
・キュウリを食べるよ。
・今度持ってくるよ。飼っていい?
・子どもが日常体験していることを中心に発表すると良いことを知らせる。
・いろいろな場所にたくさんの虫がいることを押さえる。
虫の探検隊を作ろう ・調べてみたいことをいくつかあげて,グループ作りをする。
・探検隊グループを作る。
 どんな方法で調べていくと良いかをグループで話し合う。
・コンピュータ,図鑑,VTR教科書,親からの聞き書きなど調べ方がいろいろあることを知らせる。
・虫のどんなことを調べたいか話し合う。
◇虫の鳴き声を調べよう
・家の庭でいつもジージージージー鳴いているよ
・スズムシはリンリンリンリンだよ
・こおろぎはちがうよ
・公園に行く道でルルールルーって鳴いていたよ
◎コンピュータで調べてみよう
鳴き声で調べよう
・調べる虫が森に住む虫でもよいことを知らせる。
◇虫の口っておもしろいよ(からだ)
・ぼくたちの口と違うよ。なんでかな
・体はどうなっているのかな
・足もおもしろいよ
・手はあるのかな
◎コンピュータで調べてみよう
◎図書館に図鑑があるよ。ぼく,図鑑を持ってるよ
 教科書にものってないかな
体はどうなっているの
・調べる観点をはっきりさせるようにする。
◇虫のすみかはどうなっているのかな
・虫はどこにすんているのかな
・どんなうちにすんでいるのだろう
・虫のふとんてあるのかな
◎図書室の図鑑で調べよう
◇なにをたべているのかな
・スズムシはキュウリを食べるよ
・スイカも食べるよ
・公園の虫はなにを食べているのかな
◎コンピュータで調べてみよう
◎図書室の図鑑で調べてみよう
◎うちの人に聞いてくるよ
なにを食べるのかな

・調べ方をグループごとに発表する
 調べること
 調べる方法
・調べる方法,調べる観点をはっきりさせて発表させるようにする。

6.今後の実践のために

 子どもの昆虫に対する興味は高く,学習に意欲的に取り組んできた。学習材が普段何気なく聞いている虫の声であったことがより一層子どもの興味を引き立てていった。
 コンピュータソフトが CD-ROM であるために,画像,音声を含めた資料が豊富で十分に子どもの調べ学習を成立させることができた。特に,声は聞いていても姿がわからない虫を声を頼りに検索し,何気なく聞いていた虫の正体を突き止めていくことに子どもは楽しさと喜びを感じていた。
 コンピュータソフトを利用することだけではなく,図書室との連携をはかり,昆虫に関する図鑑や本を紹介したことによって,積極的に自分の問題を調べたり,昆虫に関連することがらを調べていく姿勢がみられた。
 このように学習材に適したコンピュータソフトを利用し,図書との関連をはかった学習環境を整備することによって,こどもたちは進んで虫を飼ったり,森に行って虫を捕ったり,冬越しをさせたりといった昆虫に対する理解が深まり,それに伴う学習の広がりや深まりがみられてきた。
(相模原市立東林小学校 坊野博範)

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