1.「水のたび」

     (小学校第4学年 理科)

2.授業のねらい

 常温で蒸発した水が雲・霧・霜・雨などに変化していく過程を書物や映像などの2次情報を活用しながらまとめられるようにする。この2次情報のひとつとしてのソフトウエアーを作成した。このコンピュータ用ソフトウエアーを活用することで、子ども一人一人に対応した学習を展開できるようにする。

3.利用ソフト

(1) 利用ソフト名

「水じょう気はふしぎ」 相模原市教育委員会
PCSCAI NEC

(2) 機能から考えられる利用場面

 本ソフトは、テンキー及びリタンキーの入力だけで活用できるようになっている。また、子供達が調べ学習で用いる図鑑や事典と同じよう役割をはたせるようになっている。ただし、図鑑や事典と異なっている点は、情報をアニメーションで表現しているので、事象をより視覚的にとらえることができるということである。また、文字による情報も子供の立場に立ってまとめているので、内容を容易に理解することができるという利点もある。
 しかし、PCSCAIというソフトの描画能力では、どうしてもアニメーションの動きがぎこちないというところが難点でもある。

(3) ソフトの全体構造

4.コンピュータ利用の意図

(1)本時の利用場面について

 水蒸気が雲・霧・霜・雨などに変化していく過程については、直接に事象に働きかけながら調べることができない。どうしても書物や映像などの資料を活用しながら、水蒸気の変化についてまとめていくことになる。そこで、雲・霧・霜・雨などに関する情報をデータベース化し、コンピュータの中に図鑑としてまとめる。そして、子どもたちが自由に調べたいことを、図鑑を開くような形式で調べることができるようにしたいと考えこのソフトを作成した。また、このソフトは、図鑑のように文字と絵によって情報を提供していくが、アニメーションで絵を表示ていくので、水蒸気の変化をより視覚的にとらえられるようになっている。さらに、ソフトの操作方法は、リターンキーとテンキーだけで動かすことができるので、子どもが容易に操作することができる。また、メニューの中から子どもが必要とする情報を選びながら、繰り返し調べることができるようしたことで、子どものペースで学習することができるようになっている。

(2)利用環境

1)使用機種 PC9801UX

5.実践

(1)指導計画 (10時間扱い)

第1次 空気の中の水蒸気 3時間
第2次 自然界の水の変化 5時間 (本時2・3時間目)
第3次 水のめぐり 2時間

(2)本時目標活動

空気中にある水蒸気が、雲・雨・霧・霜に変化することを映像や図書資料などで調べることができる。
学 習 活 動 活動への働きかけ 備 考
水蒸気が雲・雨・霧・霜に変わるのだろうか。
1.水蒸気が雲・雨・霧・霜に変わるときの水蒸気の変化について予想する。
・水蒸気は、空に上がると温度が低いので雲に変わるのかな。
・水蒸気がたくさん集まると雨になるのかな。
・霧も水蒸気が変わったものなのかな。
・霜は水蒸気がこおったものなのかな。
○日常生活のなかで、体験したことをもとに予想できるようにする。  
2.自分の問題を調べる計画を立てる。
・本を使って調べよう。
・ビデオを使って調べよう。
・コンピュータを使って調べよう
○図書検索表を用意して貸し出しの状況わかるようにしておく。 コンピュータ
6台とビデオ4台用意する
ソフトは起動しておく
3.空気中の水蒸気が変化していく様子をコンピュータのソフトや図書、ビデオの映像などの資料を活用して調べる。
・水蒸気は、空に上がると冷やされて、水のつぶに変わり雲ができるようだ。
・霧は水の小さなつぶなんだ。
・水蒸気が冷やされて小さな水のつぶに変わる。それがたくさん集まると落ちてくるんだ。
・海にできる雲は、たくさん水蒸気が集まるから大ききくなるんだ。
・霜は、気温が0℃よりも低くなると時にできるんだ。霜柱は、土の中の水が凍ったものだ。
・霧も雲も同じものなんだ。
・いろいろな場所に霧ができるんだ。水蒸気が霧に変わるんだ。
○コンピュータやビデオの扱い方について説明する。
○資料から得た情報と自分が立てた予想とを比較しながらまとめられるよう助言する。
○コンピュータ・図書・ビデオを自由に活用して調べて活動できることを確認する。
ソフトは起動しておく
4.水蒸気の変化について調べてきたことをまとめる。
・水蒸気が雲になるんだよ。
・水蒸気が雲になり、さらにたくさんの水のぶが集まると雨に変わるんだよ。
・水蒸気が凍ったものが霜なんだよ。
・雲を調べたけれど、雲と霧は似ている
・霜は、土の水が凍ったものだと思ったけれど水蒸気が凍るとできるんだ。
水蒸気は、温度が下がると水のつぶに変わり、雲や雨や霧・霜になる
○水蒸気が温度に変化によって水のつぶに変わることに目を向けられるようにする。
 

6.今後の実践のために

(1)コンピュータを事典的に活用することについて

 図鑑や図書を利用して調べ学習をすることは、子供にとってなかなか容易なことではない。用語の意味がよくわからなかったり、内容を十分に読み取れなかったりするからだ。しかし、図鑑や書物とともにビデオやコンピュータ用のソフトを活用することによって、子どもが必要とする情報を容易に得られるとともに主体的な学習を進めることができた。

(2)コンピュータを用いて問題解決を進める上での留意点について

 主体的な学習を進めていくためには、常に自分の問題に対して、「何を」「どのように」という解決の見通しをもって取り組めるようにすることが大切であった。特に、調べ学習では、事物・事象へ直接に働きかけながら活動することができないだけに、自分が得た情報を実感しにくい。ところが、子どもが解決への見通しをもって取り組めるようにすることで、自分が得た情報を実感できるようになっていった。また、2次情報を使って調べたことを検証する活動を取り入れることが子どもの見方や考え方をより深めるためにも必要である。

(3)学習の形態について

 今回は6台のコンピュータと4台のビデオを活用して活動を進めたが、常時これらを設置しておく場所がない。今後は、図書室と視聴覚室の両方の機能を備えた教室の設置が望まれる。
(実践者 相模原市立大野台中央小学校 中島保夫)

CEC HomePage平成7年度市販ソフト実践事例集