1 星の動き方

(小学校第6学年 理科)

2 授業のねらい

 「星」の学習において有効な教具として使われてきたものに,写真,スライド,星座早見盤,簡易プラネタリウム等がある。しかし,これらの教具は視野があまりにも狭すぎたり,逆に広すぎたりして,代表的な星が小さすぎたりクローズアップされすぎたりして,実際の夜空とはかけ離れている。そこで,実際の夜空に似ていて,星の動きを確かめることのできる道具としてコンピュータの活用が考えらえる。またコンピュータを使うことにより,児童の興味・関心を高めることもできる。

3 利用ソフトについて

(1)利用ソフト名

「超高速天文シミュレーション」 アスキー出版局

(2) 利用ソフトの概要

1)星の明るさや色が実際の星に近い。
2)視野を広くしたり,ある星に焦点を当て拡大して見られる。
3)星座の名前,線,絵図を表示したり,消したりすることができる。
4)観測地や時刻を自由に設定できる。
5)時刻の変化にともなった星の動きを見られる。
6)自動解説,マーク機能を使い自由な星座をつくることができる。
マウスによって全ての操作が可能であり,児童にも簡単な説明で操作ができる。ソフトの流れを以下に示す。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本単元では,星座の名前や形を覚えることや各方位の星座の動き方を知ることが目的ではない。児童の主体的な活動を通して,時間や空間の概念を身に付ける事が大切である。しかし,この単元は以前より扱いにくいと考えられていた。まず,そのわけを列挙してみると。
1)学習活動の中心となる星の観察が夜間になるため,学校での直接体験がしにくく,家庭での観察が不十分になりやすい。
2)よく分からないものを観察させられるため,意欲が持続しにくい。
3)児童にとって星や星座は身近ではなく,名前は知っていても夜空を注視している事はほとんどない。
4)多くの星の中から星のかたまりとしての星座を理解し,観察するべき星座を見つけるのに苦労する。
5)季節や天気によって観察が左右される。
6)児童にとって星を学習しなくてはならない理由が把握しづらい。
そこで,これらの問題点を改善するために次のような方法を考えた。
・2),3),4)を改善するために,夜空を見上げて見つけた星の中から,自分の星を選び,またいくつかを結び付け自分の星座を作って学習を進める事にした。
・1)を改善するために,観察した星座の発表会を何回か繰り返し,自分の星座を友達に説明する機会を多く取る。この活動を通して正確に人に伝えるためには,方位,高さ,目標物,色,明るさ,時間などの情報が重要であることが理解できるようにした。
・発表の場で画用紙,TPシートの他にコンピュータを使うことにより,どの星を使ったのかよく分かるようにした。
・3)全天に連なる星を理解させるために,夏・秋・冬の3つに分け,高まりのある単元構成にした。

(2) 利用環境

1)PC9801FX 1台

5 実践

(1) 指導計画

第1次 わたしの星座 (3時間)2/3本時
・わたしの星座を作ろう
・わたしの星座を発表しよう
・わたしの星座を友達に知らせよう
第2次 星の動き方(夏) (2時間)
・わたしの星座の動き方を調べる方法を考えよう
・わたしの星座の動き方を発表しよう
第3次 星の動き方(秋) (3時間)
第4次 星のまとめ(冬) (4時間)

(2) 本時の目標

・夜空の星を観察し,わたしの星座を友達にわかりやすく説明したり,友達の星座を知ることができる。
・わたしの星座の観察結果を,方角,高さ,時間といった観点から,友達に分かりやすく説明することができる。
・友達の観察結果を,興味を持って聞くことができる。

(3) 本時の展開

児 童 の 活 動 活動への働きかけ 備 考
1,「わたしの星座」を発表しよう。
三角座の説明画面
・僕の星座は,三角定規座です。
・僕は一番明るい星を中心に星をつないだら
・星座になりました。
・わたしは,明るく見える星を使って星座を作りました。
・僕が調べなかったところを調ベている人がいるのだな。
・色の違う星もあるんだね。
`発表を聞きながら,気付いたことなどメモさせる。 ・画用紙
・TPシート
・コンピュータ
・掲示板
2,気づいたことを発表しよう。
・いろいろな星座があった。
・D君やY君は,明るさとか方角とかいろいろなことも
調べてあった。
・H君やM君ほ,色の違う星を調べていた。
・似ている形の星座があった。
・あれっ,似ている星座があるのだな。
・明るさとか書いてないからどうかな。
・見た方角が同じならそうかもしれない。
・見た時間や方角が分からないと,はっきり同じと言えないよ。
・友達の星座を見て,気付いたことを発表させる


・掲示板
3,共通な星か調べてみよう。
・よくわからない。
・見た時間が違うかも。
・「似ている形の星座は,同じ星だと言っていいですね。」と問いかける。  
4,友達に分かりやすく知らせるために必要なことを話し合う。
・星の明るさを書いてこよう。
・わたしも色をよく見てこよう。
・方角も書いたほうがいいな。
・角度は書いてもいいですか。
・明るさや方角を書こう。
・時間も書こう。
・発表のよかったD君たちの作品をもう一度取り上げて,友達に分かりやすく知らせるのに必要なことを確認させる。  
5,観察の視点をはっきり持って,観察の計画を立てる。

家 庭 観 察
・方角を方位磁針で調べたいという児童には,貸し出す。
・角度は必要と思えば書くことを伝え,こぶしを使って高さを測ることができ(こぶし一つ約l0゜)ることを知らせる。
・方位磁針
・画用紙
・TPシート

6,今後の実践のために

参考資料
平成6年度日本初等理科教育研究会中央夏期講座発表資料
「わたしの星座」第2年次 埼葛初等理科研究会
(実践者 栗橋町立栗橋西小学校 青木 博)

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