1.「脳と神経」

(中学校 第1学年 理科)

2.授業のねらい

3.利用ソフトについて

(1) 使用ソフト名

「F386BASIC」 富士通

(2) 子供と楽しみながらのパソコン利用

 マルチメディアパソコンの機能は,音声,動画と,どのパソコンの機能も同等のようにも見えるが,その構成を見ていくと大きな違いがあるようである。音声が利用できるからといっても,その利用までに大変な苦労が必要なマルチメディアパソコンがある。また,子供が利用した後に,後始末に追われてしまうものもある。ここでは,FM−TOWNSのシステム環境と「マルチ・アルバム」(開発言語:F386BASICによる自作)を利用することによって,準備〜利用〜後始末までが簡単にでき,子供と楽しみながら行えるマルチメディアパソコンの教育利用に取り組んでいる。

4.コンピュータ利用の意図

(1) 利用環境

なぜ,マルチメディアパソコンを利用するか
マルチメディアパソコンで作品づくりを行うことで,話す活動,発表する活動,見る活動,メディア利用の活動が活発になるだろう。
子供と楽しみながらの条件
・ 子供の利用方法が簡単で繰り返し利用できる。
・ 子供が操作を誤っても,すぐに復旧できる。
・ 作品の保存が簡単で,いつになっても,取り出して利用できる。
・ プログラミングの負担が少なく,余暇の時間に楽しみながら開発できる。
条件を満たす,パソコン環境
1)フロッピーディスクで利用できる教材→バックアップ,保存管理が簡単
2) FM−TOWNSでTOWNSーOSの利用
→フロッピーディスクの環境で動作するマルチメディアのシステム
3) F386BASICでプログラミング
→短時間でマルチメディアの利用ができるコンピュータ言語

(2) 「マルチ・アルバム」の開発

 「マルチアルバム」は,子どもと先生,または,親子が簡単に映像に合わせて,録音再生ができるようにしたシステムである。コンピュータの画面をマウスでクリックすることによって,自然な会話風に録音,再生が行われるように,簡単な人工知能的な動作を行うシステムである。この「マルチ・アルバム」は,教材を用意してから利用するパソコンシステムではなくて,作品を作る教材であり,作った作品も教材として利用できるパソコンシステムである。
・ 開発環境:FM−TOWNS
・ 開発言語:F386BASICコンパイラー
 「マルチ・アルバム」FM−TOWNSの環境とF386BASICの機能を利用することによって,マルチメディアのソフトとして,短時間に制作された。特筆すべきことは,TOWNS−OSの環境を利用することによって,Windowsの環境と異なり,システムや教材が小さく,フロッピーディスクでマルチメディアの利用が可能となることである。

(3) 「マルチ・アルバム」の主な機能

マルチ・アルバムが起動すると最初に3つの画像(0.TIF A.TIF B.TIF)が提示される

A アの位置を左クリックするとこの画像の音声の録音状態になる。録音されている場合は
B 音声が再生される。
イの位置を左クリックすると 1.TIFの画像が提示される。

  同様にウ,エ,オの位置を左クリックすると,それに応じて,2.TIF 3.TIF 4.TIF の 画像が提示される。  AとBの画像は,人物画で,AとBを交互に左クリックすることによって,人工知能風に会話ができるように機能する。Aの人物を左クリックするとAの音声を録音(録音した後なら再生)し,次にBを左クリックするとABの順で選択したときのBの音声の録音(録音した後なら再生)になる。その次にAを左クリックするとABAの順で左クリックしたときのAの音声の録音(録音した後なら再生)になる。同様にBから選択した場合もB,BA,BABの録音(録音した後なら再生)となる。また,AA,BBのように続けて左クリックした場合は,A,Bの1回目に初期化される。
 これらの音声ファイルは,右クリックすると直前に再生した音声のファイルが消去される。

5.実践

(1) 「マルチ・アルバム」利用の意図

 「脳と神経」の学習では,用語として,神経,脳,延髄を扱い,グラフィック資料を利用したいところであるが,適当なグラフィック資料が無い。そこで,手持ちの科学図鑑の図版をコンピュータ画像として,授業の一過程で利用することにした。

(2) 「脳(マルチ・アルバム)」の作成

1) 「人体の図詳図鑑」から利用する画像を選択した。(約10分)
2) TOWNSペイントとイメージスキャナーで画像を読みとり,256色モードの
TIFF画像で保存した。(約30分)
保存した画像は,
神経図 → 0.TIF
脳の外見 → 1.TIF
脳の断面 → 2.TIF
延髄 → 3.TIF
延髄の細胞→ 4.TIF
※ 同様にして,反射,筋肉のマルチ・アルバムを作成。正味2時間程度の作成時間だった。

(3) 本時の目標

 脳,せきずい,感覚神経,運動神経に関心をもち,これらのはたらきによって,外界の刺激から,反応が起こるまでの仕組みを説明できるようにする。

(4) 本時の展開

学習活動 活動への働きかけ 留意点・評価
○ 飛んできたボールをつかんだりするときは,どんな仕組みが働くのかを話し合う。 脳,脊髄
神経。
★マルチ・アルバムで神経,脳,脊髄の提示
脳と神経の仕組みを調べよう
○実験3
刺激による信号が伝わる速さを調べる。
・15人〜20人で手をつなぎ,手を握る刺激を伝わる時間を計る。
感覚神経〜脊髄〜脳〜脊髄〜運動神経
反射と行動。
感覚神経,運動神経。
・紋筋,平滑筋。
<評価> 計算して一人あたりの時間が計算できたか。
○熱い物に触ったときに手を離すときの動きを比べる 骨格を動かす筋肉として横紋筋の説明を加える。
★マルチ・アルバム
反射,筋肉
○学習のまとめ
・日常的な行動について,意識による
行動と反射による行動の例を挙げる。
<評価> 例をノートに書き出すことができたか。

(5) 備考

6. 今後の実践のために

(1) 実践による評価

1) F386BASICの環境で写真と声を使ったマルチメディア教材を数日間で出来た。
2) 「マルチアルバム」では,生徒の注目度が高い。
3) 「マルチアルバム」で生徒,TV,教師がTVを中心にして学習に集中できる。
4) 機械(マーティー)が軽いので運搬が楽にできる。
5) 「マルチ・アルバム」が,フロッピーディスク1枚で利用できるために,教材の管理が楽にできる。
6) bQ,bRの教材に切り替えるときには,ディスクを入れ替えてから,画像の外でAボタンを押すだけで良く,リセットが不要のため,連続的に利用ができた。

(2) 問題点


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