1.修学旅行学習発表会

2.授業のねらい

 修学旅行という校外の豊かな自然や文化,歴史に触れる体験を通して,調べたりまとめたりしたことを,さまざまなメディアを用いて発表しあい,表現力を養うとともに,今後の学習活動への関心意欲を高める。

3.利用ソフトについて

(1)利用ソフト名

LinkLive!(IBM)

(2) 利用ソフトの概要

 オーサリングソフト「LinkLive!」を使って,下記のソフトを作った。
 今回学習のために教師側が用意したソフトは2本である。1本は,授業の第1・2時に児童が自分たちの調べているテーマに関する資料を収集する活動の場で活用してもらう資料データベース型のソフトである。これは,会津・猪苗代地方の歴史・自然・文化についての7つの選択肢をもうけ,それぞれに4ー6個のデータを用意し,研究の視点・現地での活動のポイントについての情報も加えたものである。
 もう1本は,授業の第3時の学習発表会用ソフトの計画を立てる活動の場で活用してもらうために作った資料データベース型ソフトである。これは,作成の仕方の例として作った磐梯山についてのモデルソフトと,画面構成を考えるためのメニューや説明画面のレイアウトのパターン集,さらにグループごとのソフト作成のための部品集によって構成されている。まずモデルソフトをみて全体の見通しを持ち,次に,いくつかのパターンの中からと説明画面を決め,それぞれの画面に張り付ける動画・静止画をデータ集の中から選んで決める。最後に部品集から必要な部品を選び,計画をもとにしてグループごとにソフトを作っていくというように,本時の児童の活動をそれぞれの段階ごとに支援できるようになっている。

4.コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本教材は,コンピュータを「児童の自発的な学習を支援するための道具」として,また,「児童の思考活動を支援するため道具」として,さらに「児童の自己表現活動を支援するための道具」として活用できるように考えて開発したものである。
 事前に現地の自然や歴史,文化などの中からグループごとにっしらで対テーマを決めて,集めたたくさんの資料の中から得たい情報を選び,まとめていくことで,目的地への興味関心や向学心・探究心を持って現地での活動を意欲的に取り組めるようにしていきたい。そして,この事前学習でまとめたものに,現地で調べてきたことを加える事後学習を行い,最終的には,自分たちがまとめたことを表現し,お互いの学習成果を確かめあえる場としての学習発表会を計画したい。この一連の学習にコンピュータその他の教育機器を取り入れることで,児童の学習に対する興味・関心をいっそう高め,意欲的に学習に取り組ませることが出来ると考える。

(2)利用環境

1) 使用機種 IBM AptibaVision 8台 Masuter1台
2) 周辺機器 マウス,パソコン室内LAN
OHC・液晶プロジェクター(学習発表会で使用)

5.実践

(1) 指導計画(18時間扱い 本時16・17時間目)

1) 事前学習1=必要な情報の収集・選択・整理・再構成=(2時間)
2) 事前学習2=ソフトの構成を考えて入力用原稿を書く=(1時間)
3) 事前学習3=現行を元に発表会用ソフトを作る=(2時間)
4) 現地学習=修学旅行=
5) 事後学習=現地の情報を加えて発表会用のソフトを作る=(2時間)
6) 学習発表会=土曜参観=(1時間)
※授業時数の扱いは,1)が社会,2)・3)が学級活動,4)が学校行事,5)・6)が国語となっている。

(2) 本時の目標

 修学旅行事前学習で作ったソフトに現地学習でわかったことや思ったこと,もっと調べたいこと,感想などを加えて,発表会用ソフトを作る。

(3) 本時の展開

学 習 活 動 活 動 へ の 働 き か け 備考
1.学習問題を確認しよう。
事前学習でまとめたものに,現地で調べたことなどを加えて,発表会用ソフトを完成させる。
・今日作るソフトは,学習発表会の時に使うだけでなく,来年以降の修学旅行事前学習のモデルとなることをはなし,本時の学習への意欲を高める。
2.自分達が作るソフトの構成を確認しよう。
・ソフトの構成を話し合い確認する。
メニュー画面
・自分達のグループがどのようにして発表会用のソフトを作っていくのかをしっかり自覚させる。
・歴史関係のテーマについては増田,事前関係のテーマについては,内田が中心となって児童の学習を支援する。
・2,3で現地で撮ってきた写真やビデオを使う計画だった班には,コンピュータへの画像取り込みを行う。
入力用原稿

モデルデータパターンの各ソフト

3.データの種類とその作り方を確認しよう。
・班ごとに作りか他や役割分担を確認する。
・コンピュータのソフトの作り方について指導する。主にワープロによる文字データの作成が中心となるが,グループで入力の順番等をしっかりと決めさせ,全員が作成に参加できるように配慮する。また,役割分担のし方について例を挙げて指導する。 入力用原稿
1) データの種類
・文字(ワープロ入力)
・音声(マイク入力)
・動画(読み込み)
・静止画(読み込み)
データ入力の様子
4.現地で調べたことを元に,発表会用ソフトを完成させよう。
・ワープロやマイク等を使って発表会用ソフトを作る。
完成したソフト
・入力の仕方がよくわからない児童には,適宜指導する。
完成したソフト
現地で調べてきたこと
5.今日の授業の反省をまとめ,感想を発表しよう。
・作った感想を整理して発表する
・友達の感想を聞く。
・それぞれのテーマについて調べた児童の中から何人かを抽出し,発表させるようにする。 作った発表用ソフト自己評価表

6.今後の実践のために

児童の反応

(1) 発表用ソフトづくり・修学旅行後の児童の感想

・修学旅行に行ってきた感想や調べたことがうまくまとまったのでよかった。
・現地でわかったことや感想を楽しくコンピュータに入力できた。
・みんなが調べたことをうまくまとめあって,動画や静止画を使ったりして,よりわかりやすくしていてよかったと思います。
・自分達が調べたことを3分間にうまくまとめるのは大変だったけど,みんなで協力してできたので,うまくまとめられた。
・私は,予想していた以上によくできたと思います。コンピュータを使ってソフトを作り,文字も自分たちで打っていきました。初めての体験だったので少し不安だったけっど,とても楽しくできたのでよかったと思います。私は,こんなに楽しい発表会はあ,初めてです。これからまた機会があればいいなと思いました。
 現地で調べてわかったこと・思ったこと,もっと調べたいこと・感想についての入力だったわけだが,背つめ映画面のレイアウトに懲りだして,こちらで用意したパターンをさらに改良してほしいという要求を出してきたグループもあった。学習発表会では,液晶ビジョンを使ってコンピュータで作ったソフトを出力し,時々切り替えてOHCの方で,現地で撮ってきた写真や拾ってきた落ち葉,作ってきた赤べこなどの実物を投影したが,よく工夫した発表が多かった。
(実践者 幸手市立緑台小学校 教諭 増田敬一・小林喜美代・内田文夫)

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