1 「絵と漢字」(かんじ遊び)

(小学校第1学年 国語)

2 本時のねらいと題材設定の理由

 ひらがなを習い始めた1年生は,字を書く・読むことに強い関心を示し,進んで自分の名前や友達の名前,学校の名前,駅での看板や駅名などに興味を示し読んだり書いたりしようとている。このようなことをきっかけにして,子供のアサガオの観察日記や公園探検・絵日記などの中に漢字を使った文が混じるようになってくる。
 しかし,この段階の子供はまだ正しく読んだり書いたりすることは十分ではなく,間違った読み方をしたり,書き順を間違えて書いたりしていることが多い。
 この教材では,象形漢字を取り上げることにより,漢字が音を表すだけでなく,物の形や様子も表すことに興味を持ち,また文中の漢字を正しく読んだり,書いたりして漢字に親しみを持ち,漢字の表意性と正しい使い方を楽しく学習させたい。
 また,次の教材「かずとかんじ」とも関わりを持たせた指導計画を立て,漢字の学習のスタートをスムーズに進めていきたい。

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名

「漢字の森のロビンフッド」 CD-ROM 版 (NECインターチャネル株式会社)

(2) 利用ソフトの概要

 このソフトは,1年生から学習する数の漢字や曜日,同じ漢字を当てたりするなど20のゲームを楽しんで漢字の学習ができるように構成されている。単なる漢字のゲームだけでなく,連れ去られたマリアンをロビンフッドとその仲間が救い出すというストーリー性を持たせている。親しみやすいキャラクターに軽快な音楽や音声で楽しみながら漢字の学習に興味を持たせ,力をつけさせるように工夫されている。
漢字の森のロビンフッドの構成
橋     :数の漢字を一から順に並べる
一心同体  :指の名前を当てる
サルの身体検査:体の部分の漢字を当てる
福笑い   :顔の部分に漢字をおく
フクロウ・占い・パンダ・たこ焼き:漢字の一部が見えていてその漢字を当てる
バクダン  :言われた漢字のところへいく(迷路)
く ま    :漢字を矢で当てる
クレーンゲーム:いわれた漢字をクレーンでつり上げる
モグラ   :言われた漢字をたたく
モアイ   :言われた漢字のモアイを倒す
トランプ・ドラゴ:同じ漢字のカードを当てる
違う漢字  :違う漢字をクリックする
十二支   :十二支を順番通りに捕まえる
早押しクイズ:答えが漢字になっている
キュウカン鳥:曜日の物まねをする
漢字のパズル:指示された場所に漢字を移動する

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本教材のねらいは,漢字の特性の第1である表意性を理解させることである。そのために,象形文字の成立を説明と絵とひらがなとの対比から考えさせるようにページ構成がなされ,文章中の絵文字を漢字に書き直させる学習活動がしやすいようになっている。また次の教材「かずとかんじ」では,漢数字の読み方(音・訓),物の数え方と使い方を学習する。このような学習活動をより楽しく子供にとって興味あるものにするために,このソフトの活用を考えた。
 このソフトを使って,前時までに学習した漢字の性質を理解しながら,正しく漢字を読んだり,並べ替えたりして漢字の学習へ興味を持って取り組むようにしていきたい。
 また漢字に興味を持つことができない子にとっては,ゲーム感覚でできる・友達と一緒にできることで漢字に対する意識を変え,興味を持つようにしていきたい。

(2) 利用環境

1) 使用パソコン
NEC9821 V7 2台
FUJITSU FMTOWNS 1台
IBM PS/V VISION 3台

5 本時の展開

(1) 指導計画

1) 漢字の持つ性質に気づき,漢字を正しく使う ・・・3時間
2) 「漢字の森のロビンフッド」を使って漢字のゲームを楽しむ・1時間
3) 漢字を正しく使って読んだり書いたりする ・・・1時間

(2) 目 標

・漢字のゲームを楽しみながら,漢字に興味を持つことができる。
・友達と仲良く協力しあって漢字のゲームを楽しむことができる。
・ゲームを通して,マウスや機械の操作になれることができる。

(3) 展 開

子 供 の 活 動 支 援 備 考
1 知っている漢字を画用紙に書く
大 犬 白 赤 黒 黄 色
月 火 水 木 金 土 日
一 二 三 四 五 六 七
八 九 十 東林小学校 北
南 西 父 母 学年 音
相模原市 台 先生の名前
子ども達の名前など
○画用紙1枚に1字書くこ とができるように八切の4分の1の大きさの画用紙と太いマジックを人数分用意をしておく。
○知っている字を全部書く ようにする。
字にはふりがなを振るよ うにする。
画用紙
太いマジック
2 出てきた漢字をみんなで読んだり,違う読み方を探して読みあう。 ○友達の名前や親の名前などをどのように読むかを思い出させてみる。  
漢字のゲームをしよう
3 グループでゲームをする順番を話し合って決める。
○CD-ROMのセットはあらかじめ済ませておく。
○起動してアイコンをクリックするまでは一斉にさせる。
○できるだけグループの中で決めるようにさせ, 決まらないときは助言をする。
使用ソフト
「漢字の森のロビンフッド」
CD-ROM版 6枚

コンピュータ
CD-ROMが動作するコンピュータ 6台

4 ゲームをする。
・東西南北のコースを決める。
・難しい漢字は友達と協力して解答する。
○「挑戦」と「バイバイ」の違いを知らせ, 難しい漢字はバイバイして良いことを知らせる。
○みんなで協力してクリアするように助言をする。
○楽しかったことを自由に 発表させ,漢字を読んだり書いたりする意欲を持つことができるようにする。
  
5 楽しかったことをお話しする
・楽しかった,難しかったこと, 新しくわかったことなどをみんなに発表する。
  
   

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 絵文字が漢字に書き換えられ,正しく読むことを学習した後に,漢字を読むことを中心としたコンピュータでの学習を組んだことは,子供の漢字に対する興味や意欲を強く刺激していった。
 子供達は読めない漢字やコンピュータの操作などをお互いに教え合い,協力しあって学習を進めることができた。また,ゲームにでてきた読めなかった漢字を先生に聞いたり,調べてみようとする意欲を高めることができたし,自分たちの身近に出てくる漢字,たとえば黒板に書かれる月日や曜日に注目を示したり,自分の名前を漢字で書く子もでてくるようになった。
 この読むことを中心とした学習から漢字を書くことへ目を向けさせ,日記や作文の中で使うことができるようにしていきたい。

(2) コンピュータ利用上の成果

 下記の子供の感想に見られるように,子供はこのゲームの中にでてくる同じ漢字を繰り返し読むことによって自然に覚えていく。このソフトのストーリー性,クイズと音と動きのある画面が子供達を夢中にさせていった。このコンピュータを使った学習を行うことで,子供は漢字に対する興味や関心を高めていくことができると考えられる。
 また,漢字があまり好きでない子にとっても,このソフトを2.3人のグループで取り組んでいく場を設定すると漢字をあまり意識しないで学習することができ,効果が期待されるのではないかと思う。
子供の感想
・「火」っていう字がおもしろいよ。
・下,上,日,土,木,水 こんな漢字を覚えたよ。
・漢字の違うのを探すのがすごくおもしろかった。
・「もぐらたたき」と「ユーホーキャッチャー」が楽しかった。
・ぼくはやり方がわかったから楽しかった。
・ぼくはみんなと力を合わせていろんなゲームをしたのが楽しかった。
・東とか西とかやったらおもしろいのがでてきたよ。ほんと楽しかったよ
・いろんなことができて楽しかったよ。
・みんなで力を合わせて楽しかった。漢字を探すゲームが楽しかった。パンダのテレビを直すのが楽しかった。
・わたしは月・火・水・木・金・土・日のぽんぽんとたたくのが楽しかったよ。
・「えのぐ」のゲームが楽しかった。
・「ばくだんめいろ」が楽しかった。
(実践者 相模原市立東林小学校 坊野博範)


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