1 「わたしたちの生活と国土」 ―限りある地球と日本の国土―

(小学校第5学年 社会科)

2 本時のねらいと題材設定の理由

 本単元では,世界全体の環境問題について関心を深め,環境保全のためには,地域の自然保護だけでなく地球規模の保護が大切であり,わたしたち一人一人がどうしたらよいか考えることが大切である。
 児童は,2学期の「これからの工業と環境」で公害について学習しており,これらの問題を地球規模に視点を広げて考えることで関心がさらに深まると考える。
(単元のねらい)
・環境問題について関心をもち,世界全体でどのような自然破壊や環境の汚染がおきているかについて,意欲的に調べようとする。
・環境保全のためには,地球全体の人々の努力が大切であることに気付き,自分たちにもできることを考える。
・コンピュータ等を活用し,環境破壊の実態や環境を守ろうとする人々の努力や工夫について情報を集めると共に,学習に必要な情報を選択する。
・世界中でおきている環境破壊の実態を知り,それらを守ろうとする人々の努力や工夫がわかる。

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名

「わたしたちのエネルギーと環境」 (コンピュータ教育開発センター)

(2) 利用ソフトの概要

 「わたしたちのエネルギーと環境」は,現在の生活に欠くことのできないエネルギーの利用と環境問題の両方を扱っていて,いくつかの課題を結びつけて考えたり,調べたりする学習に活用できる。また,大きく分けて以下の4つの機能を持っている。

1) 探検機能
メニューマップと呼ばれるイラスト地図の中をクリックすることで,目的に関係した画面に次々に進み,色々な資料を探すことができる。
2) ツアー機能
 特定のテーマについてまとめて解説している。本時では,「環境紹介コース」と「酸性雨コース」を中心に活用した。
3) ノート機能
 探検機能やツアー機能で調べた写真や解説を,パソコン上のノートに張り付けて,後で修正したり,追加したりして整理,分析することができる。
4) 事典機能 
 わからない用語を調べ,すぐにその画面へとぶ検索機能を持っている。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本単元のねらいは,世界全体でどのような自然破壊や環境の汚染が起きているかに気付き,問題意識をもつと共に,環境保全のためにはわたしたち一人一人がどうしたらよいのかを考えることにある。児童は見学をしたり,課題について調べたり,まとめたりといった活動には興味をもって学習を進めている。しかし,社会的事象に関しては,そのものの意味まで深く理解しているとは言えない。アンケート結果からも「環境破壊」という言葉からイメージするものとして,空気や水の汚れ,その他酸性雨等を挙げる児童はいるが,それに対する自分なりの見方や考え方については十分育っていない。
 そこで今回は,学習計画の「つかむ」段階でコンピュータにより現実に起こっている様々な環境問題をとらえ,課題を明確化できるようにと考えた。

(2) 利用環境

使用パソコン NEC PC-9821CX13 10台

5 本時の展開

(1) 単元の指導計画

・現在,自然環境を取り巻く問題にはどのようなものがあるか知る。 (2時間)
・地球の自然環境が破壊されている実態や原因を探ると共に,自然保護のための努力がいかに行われているかを調べる。(2時間)
・自然を守るために自分はどのようにしていけばよいか,自分の考えをまとめる。(1時間)

(2) 本時の目標

・世界全体でどのような自然破壊や環境の汚染がおきているかを気付き,問題意識をもつことができる。
・コンピューターの機能を生かし,調べる道具として意欲的に使うことができる。

(3) 展 開

学 習 活 動 活動への働きかけ 準備・資料
1 資料(映像)を見て,気付いた こと,考えたことを発表する。
○海洋汚染に関するTVニ ュース等,児童の興味を引きそうな資料を用意する。
○実態,原因,人々の努力などの観点について触れる。
・資料を提示する
.地球全体の自然環境には,どのような問題が おきているのだろうか。
2 地球上でおこっている問題について,コンピュータから情報を集め,わかったことをワークシートにまとめる。
熱帯雨林の破壊
砂漠化
酸性雨
地球の温暖化
オゾン層の破壊
大気の汚染
海洋の汚染
ゴミ公害
○ソフトウェアの使い方を 説する。
○各グループを見回り,ソフトウェアの操作でわからない点について助言する。
○図を書くなど工夫してまとめるように助言する。
○できるだけ多くの課題について調べ,全体像がとらえられるようにする。
○疑問点や十分わからなかったことについてもまとめるようにする。
○事典機能を活用し,検索できることを助言する。
・ソフトウェアの操作についてはPCSEMIを活用 する。
・マウスの操作に慣れさせておく
3 収集した情報の中からもっと深く調べてみたい課題を考える。 ○どのような内容について調べるか,理由も含め て具体的に書くようにさせる。  
4 自分の調べる課題について発表する。    

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

地球規模で考えなくてはならない環境問題であるが,温暖化や砂漠化等,児童にとっては身近なこととして考えにくい題材である。しかし,今回は単元の導入部分で本ソフトのもつ様々な情報(図,写真,文字)を検索する活動を通して,環境問題の全体像をとらえることができ,課題を明確にすることができた。

(2) コンピュータ利用上の成果

 本学級の児童は,これまでに絵カード作りやキーボードでの文字入力は経験があるが,コンピュータの特性である情報を検索する活動はほとんど経験がなかった。本実践により子どもたちは,操作になれることでより効率よく情報を収集することができるようになり,調べるための有効な道具であると認識することができた。また,単元全体を通してみて,より詳しく調べてみようと意欲的に取り組む児童が多くなった。
(実践者 板橋区立向原小学校 福留正也)


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