1 「とけいのよみかた」

(小学校第1学年 算数科)

2 本時のねらいと題材設定の理由

 第1学年では,「分の単位までよむことができるようにする」ことを目標とする。
 指導にあたっては,児童の日常生活との関連を配慮し,必要な時刻を読むことができ,時刻を守り規則正しい生活ができるようにしたり,まわりの人に迷惑をかけないようにすることに重点を置いて取り上げることが大切である。
 指導計画では,1学期に「なんじ なんじはん」が1時間,3学期に「なんじなんぷん」が2時間扱いである。
 実際に児童にとって時計のよみかたを3時間でマスターすることは難しい。ふだんの授業の中で,休み時間や給食の活動の中で時間を意識させて生活したり,朝,家を出る時刻,好きなテレビ番組の時間などを身近な生活と関連させることが大切である。その時に,分単位で時計をよむ必要性をもたせ,何時何分のよみ方まで拡張する。

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名

「わくわくランド」(スズキ教育ソフト)

(2) 利用ソフトの概要

 このソフトは,幼児と小学校低学年を対象にして「遊びながら数や言葉のおけこ」ができる。内容は,「もじあそび」「かずとすうじ1・2」「なんばんめ」「あわせていくつ」「のこりはいくつ」「とけいとじこく」など15コースに分かれている。1年生でも授業の中で,楽しみながら十分活用できるソフトである。操作は,全てマウスで行うことができ,クリックしたところを音声で繰り返してくれる。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本時である2月末の「なんじなんぷん」の学習では,何時何分という時刻をよむことのよさを感じとらせたい。2人の児童の登校の時刻を比べてどちらが早いか調べたり,その違いを比べようとすると,どうしても分単位で時刻をよむ必要性が生じ,分単位までよむことのよさがわかる。
 実際の時計と時計模型とコンピュータを用いて指導する。個に応じた指導を行うために,理解できる児童には,コンピュータの練習問題をどんどんさせたい。間違いやすい児童もコンピュータのヒントをもとに問題を解くことができる。さらに,理解できるようになったら,時計模型を用いて問題をお互いに出し合うようにする。その時間で教師は,個に応じての指導が十分できる。

(2) 利用環境

・使用パソコン NEC PC-P821Cx 11台
PC-9821Na12 1台

5 本時の展開

(1) 指導計画

(2) 目標

○ 時計を見て,時刻を1分刻みで読むことができる。

(3) 展開

学 習 活 動 活動への働きかけ 準備・資料
1 問題をつかむ
今朝家を出たのは何時ですか。
時計模型を合わせてください。
・7時30分 ・7時35分
・今日は寝坊しちゃって7時50分
・昨日の学習の最後に家を出る時刻を覚えておくように話しておく。
・机間指導し,合わせられない児童には「7時40分はこうだね。」と支援する。
・教授用時計 (2個)
・児童用時計 (32個)
あつし君とよしこさんの家を出る時刻は,どちらがどれくらい早いでしょう。
 
2 見通す
○どちらが早そうかな。
・長い針が5より前だからあつし君が早い。
・針は右回りに進むからあつし君 が早い。
・教授用時計であつしとよしこの家を出た時刻を表し,教卓の上にのせておく。
あつし

よしこ


3 解く
○どれくらいあつし君が早いのかな。
・4分 。
・1めもりが1分だから4分。
・時間は同じ。分が違う。
○あつし君は何時何分に家を出ましたか。
・7時23分。
○よしこさんは何時何分に家を出ましたか。
・7時27分。
・時間は7時で,同じ。
違うのは分で,長い針が違うということに気づかせる。
・教授用時計で23のめもりを児童と一緒に数える
・各自の時計で7時27分を表す。
4 まとめる
○1めもりが1分だと長い針が1のところまでくると何分ですか
・5分
・教授用時計の針を操作しながら,5,10,155とびで数える。
・わくわくランド
5 練習問題を解く
○コンピュータの問題を3人1組で解きましょう。
・1時間単位
・30分単位
・15分単位
・5分単位
○できたよカード(自己評価)を書きましょう。
・マウスの操作は3人が順番に行う。
・1学期の復習から,5分単位の時計の読 み方までを理解できるようにする
・自分の生活と関連づけて考えられるよう助言する
・できたよカード
第2時の授業
・ 教科書の問題を解く。
・ 好きなテレビ番組の開始時刻。
・ 隣の人と児童用時計で問題を出 し合う。
・1日の生活の中で時刻を 考える。
・問題を出し合うゲームを通して,楽しく活動する
・番組VTR
・児童用時計

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

1年生に45分間集中させることは難しい。15分間の3セットに授業を分けると効果的である。本時では,1) 全体で学習する。2) 児童用時計を操作する。3)コンピュ ータで練習問題を解く。これら3つの活動を通して,児童は意欲的に学習に取り組んだ。マウスで操作でき,3問で1ステップが終了する。間違えた場合は,わかりやすいヒントを表示してくれる。音声が聞きやすく,児童が簡単に操作でき,1年生でも意欲的に取り組めた。

(2) コンピュータ利用上の成果

 時計の学習は数時間でマスターできるものではなく,毎日の生活の中で1回は「今何時かな。」「あと1時間30分たつと何時かな。」という意識を持たせる質問を行うことで,だんだんとわかってくる児童が多いと思われる。コンピュータによって,3時間扱いの「とけいのよみかた」の算数授業が楽しいものとなり,「時計がよめるよ。」という児童を増やすのに効果的であった。
何にでも興味・関心を示す低学年の児童に,絵が動き,音が出て,ヒントや問題を出してくれるコンピュータはすばらしい教具ではないだろうか。「操作が難しい。」という理由で低学年ではあまり活用されていないようであるが,「わくわくランド」のようなソフトが増えることによって,一層活用されると思われる。
( 実践者 狭山市立山王小学校 大舘 信浩 )


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