1 人の体のつくり −「わたしたちのからだをしらべよう」−

(小学校第3学年 理科)

2 本時のねらいと題材設定の理由

 これまでに児童は,生活科の学習や学校生活の中を通して,自分や友達の顔の様子や体の動きなどをよく観察をしてきている。また,小動物の飼育を通して体のつくりやそのしぐさなどを見てきている。その結果,運動をするときには各部分を巧みに動かしていることに気づいている。
 そこでこの単元では,体の各部分の働きについて学習する。ここでは,導入部分で視覚を使わずに,教えられた木を探し出すゲームから入る。そこで視覚以外に,いろいろな感覚が体にはあることを理解させ,それぞれの感覚について詳しく調べていく。さらに動物や友達の動きから体を動かすにためは,体の動きをよく観察したり動く部分に触れてみたりして,骨や筋肉のしくみに気づかせ,それらから体の内部のしくみを追求させる。これらの活動を通して,人や動物はそれぞれの生活に適応した体のつくりを持ち,そのつくりを生かして巧みに生きているということを理解させたい。
 本時では,ウサギやニワトリなどの小動物の動きを観察して骨や筋肉のしくみを理解する場面だが,人以外の動物の動きはすばやくて,思うように観察をすることができない。それを補うために,ここではコンピュータソフトの利用をおこなう。実物を見る前でも後でもこのソフトの利用は効果がある。ウサギなどの動物の動きが動画を通して分かり,体の各部分のしくみや利用も理解することができる。そこで,コンピュータで学習した後に実際に観察させる時,動物が動くときに使うからだの部分をしっかり見るようにさせたい。

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名

    たのしい理科3年「わたしたちのからだをしらべよう」 (大日本図書)

(2) 利用ソフトの概要

 このソフトは,ソフトのほかにワークブックがついており,ソフトを利用するときに一緒に使うようになっている。ソフト自体はフロッピーディスク2枚で,マニュアルレスでコンピュータに入れ起動させると,後はマウスのみで操作ができるため,簡単に授業の中に取り入れることができる。内容は次の3つに分かれている。
・からだのうごかすしくみをしらべよう
・目のしくみをしらべよう
・耳のしくみをしらべよう
また,それぞれに人を含め,5・6種類の動物のしくみについて調べることができる。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 このソフトの利用については,動画の部分を利用する事が一番であろう。いくらよく観察してもなかなか人や動物の動きは観察しにくいものである。また,ビデオ等で見ても自分の知りたい部分を何度も見ることは困難に近いと思う。その点このソフトでは,何度でも繰り返し見ることができる。また,このソフトを利用した後,実際に腕や足を動かしたり,動物の動きを見て確認をすることにより正確に理解することができる。

(2) 利用環境

NEC PC9801RX 10台

4 本時の展開(第2次 4/4時)

(1) 単元の指導計画(8時間扱い)

第1次 皮膚・目・耳調べ 4時間
・ネーチャーゲームをやろう(1)
・体で感じる所はどこだろう(3)
第2次 体で動くところを調べる 4時間
・運動するときの体の動きを調べる(1)
・人の体はどのようにして動くのだろう(2)
・動物の骨と筋肉はどのようになっているのだろう(1)本時

(2) 目 標

・人や動物の体の動くしくみについて興味を持ち,進んで調べようとする。(関心・意欲・態度)
・人や動物の体の筋肉・骨・関節のつくりや働きと,行動とを関係づけて考えることができる。(科学的な思考)
・体の中で曲がる部分を調べ,図に表すことができる。(観察・実験の技能・表現)
・骨には関節があり,骨についている筋肉の働きで,体を曲げたり伸ばしたりすることができることがわかる。(自然事象についての知識・理解)

(3) 展 開

学 習 活 動 予想される児童の思いや願いと教師の支援 留意点・評価
1 課題を知る。     
サギやトリのほねときん肉はどのようになっているのだろう
2 話し合いをする。
T:人とウサギやトリなどの骨や筋肉に違いがあるのかな。
C:同じだよ。
C:いや,四つ足動物と鳥では違うよ。
C:動物と鳥の違いだけだよ。
T:何を比べたらいいだろう。
C:骨格図。
C:骨格図と筋肉図。
C:模型があるといいな。
C:コンピュータで調べたい。
・ウサギ・ニワトリの拡大図
・ウサギなどの身近かな動物の筋肉や骨のつくりに興味を持たせる。
・骨格模型
・骨格図
・筋肉図
3 コンピュータを使って調べる。



T:コンピュータを使ってうさぎの動きを調べてみよう。
C:後ろ足が長いんだね。
C:足を順番に出すんだ。
C:後ろ足に筋肉がいっぱいついているみた い。
「うさぎの動き」コンピュータ画面
T:コンピュータを使って動物のほねのようすを調べよう。
C:ウサギは後ろ足が長いね。
C:鳥の足はずいぶん細くて変だ。
C:腕は人に似ている。
C:指のつくりがおかしい。
「うさぎの骨格図」コンピュータ画面
・コンピュータ
・ウサギの動画を見て体のつくりや足の運び方をしっか りとらえる。
・コンピュータ
・動物の骨格の様子を比べて似ている 所,違う所をはっきりとらえる。
4 実際にさわって調べる。 T:ウサギやニワトリにさわって確かめてみよう。
C:やはり固い骨とやわらかい筋肉がある。
C:ウサギの後ろ足は筋肉がいっぱいついている。
C:ニワトリのももには肉があるけれど,足は細いね。
T:これらのことからどんなことがいえのだろう。
C:ウサギは後ろ足が発達してきた。
C:ニワトリの足は筋肉が要らなくなった。
C:鳥は手のかわりにつばさを持った。
C:住むところによって体が変わった。
・強くさわらないように十分注意をしておく。
・学習カードに記録をする。
5 学習のまとめをする T:今日の勉強をまとめてみよう。
C:人や動物も骨・筋肉を持っていて,住むところや活動によって発達のしかたが違う。
・各自まとめさせる
【評価】
[科学的な思考]
 骨のつくりと筋肉の働きをもとにして人や動物の体の動くしくみについて考え自分なりに説明できたか。

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 動物の体にしくみを調べると言われても,どこを調べたらよいか分からなかった子ども達が,観察の視点がコンピュータで確認することができることで,動物の観察の時も迷うことなく自分たちでしっかりと動物の体を確認することができた。

(2) コンピュータ利用上の成果

 動物の観察なのにコンピュータ室に行き,初めは戸惑っていた子ども達もコンピュータの画面に映し出された動画を見て驚いたようであった。ビデオで見たときよりも,今回は何度でも自由に繰り返し見ることができたためか,進んで腕や足を動かしてみたり,動物の動きを必死に見て確認をすることができた。
( 実践者 栗橋町立栗橋西小学校 青木 博 )


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