1 計画的な食事作りをしよう −究極のメニューを作ろう−

(小学校第6学年 家庭科)

2 本時のねらいと単元設定の理由

 5学年の調理では,材料の選定や計量,洗い方,切り方等調理の方法を,たまごや野菜などの単品を取り上げて学習してきた。
 本単元では,6学年の目標の一つである「計画を立てて手順よく調理できること」を学習するために「米飯」と「みそ汁」の二品を取り上げ,それを同時に行うために,計画を立てて手順よく調理できるようにし実践する。さらに,実習を通して,日常食の栄養になるとり方や食事のしかたを理解し,日常の簡単な1食分の献立を工夫してたてることができるようにする。これらの活動を通して,日常の食生活に関心をもち,より望ましい食事がとれるよう実践する態度を育てていきたい。また,家族の一員として家庭生活に生かしていこうとする心も育てていきたい。
 アンケートの結果から,栄養のバランスの必要性は理解していても,実際の食事でのバランスを考えるまでには至っていないことがうかがえる。栄養を考えた食物のとり方が理解できるよう,給食の献立や各家庭の一食分の献立の食品を調べ,不足する栄養素とその補い方を考えて,食事のとり方が健康や成長に関係することを知らせる。その上で,栄養のバランスのとれた献立の必要性がわかり,1食分の献立を作ることができるようにしたい。その際,パソコンを使っていろいろな料理の中から献立をたて,その栄養素を瞬時に分類し考察するという過程を取り入れることで,栄養のバランスを考えた献立作りを通してより興味をもって取り組めるようにしていきたい。
 以上のことから,日常の食生活に関心をもちより望ましい食生活を実践しようとする態度を育てていきたい。

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名

   みんなの食たく(東京書籍)

(2) 利用ソフトの概要

 料理のイラストや食品の実際の写真を見ながら,食事の栄養バランスについて考えることができ,操作はマウスだけで簡単に行うことができるソフトである。
 メニュー画面で,1) 食べ物調べ2) こんだて作り3) さまざまなデータ集の3コースをの内からいずれかを選択する。さらに,料理選択画面(作りたい料理や食べた料理を探し,テーブルに配膳する。)→6つの基礎食品群への食品分類画面(料理ごとに材料がまな板の上に表示され,食品を6つの基礎食品群へ分類することができる。)→6つの基礎食品群の分類表示画面(作りたい料理や食べた料理の栄養バランスを見ることができる。)の順序で,作りたい料理や食べた料理の栄養のバランスを知ることができる。
 また,いろいろな調理画面では,同じ食品でも調理の仕方を変えると,いろいろな料理ができることを知ることができる。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 5年生で学習した食物を六つの基礎食品群に分けて調べる過程は,献立作りには欠かせないものである。しかし,分類に手間がかかり,本時の学習活動である献立作りに十分時間をかけることができなくなることが予想される。そこで,パソコンを使いその過程を簡素化することによって,栄養のバランスを考えた献立作りに,集中して取り組めるようにしていきたい。

(2) 利用環境

1) 使用パソコン
IBM Aptiva Vision 8台(児童機)
Master 1台 (先生機)
2) 周辺機器 OHC,35型ディスプレイ・35型TV各1台

5 本時の展開

(1) 指導計画(8時間扱い)本時7/8

第1時 米やみその栄養とその特性がわかり,ごはんのたき方とみそ汁の作り方を知る。
第2・3時 「ごはん」と「みそ汁」の調理を組み合わせて,手順よく協力して行えるよう,実習計画を立てる。
第4・5時 実習計画に従って,能率よく調理する。
第6時 食事調べを通して,六つの基礎食品群のバランスを考えて食品を組み合わせることがよい食事のとり方であるを知る。
第7・8時 栄養素を偏りなくとるために六つの基礎食品群を活用して簡単な1食分の献立を作る。

(2) 目標

・栄養素を偏りなくとるために,六つの基礎食品群を活用して簡単な1食分の献立を作ることができるようにする。
・日常の食事を栄養素的な観点から見直し,望ましい食事に改善しようとする態度を育てる。

(3) 展開

学習活動 教師の働きかけと予想される 指導上の留意点 時間
1.バランスのとれた献立の必要性を確認する T.食事を作るとき,どういうことに気をつければよ いでしょう。
C.味 好み 栄養 費用 季節 時間 手間 調理方法 六つの基礎食品群
・献立調べをもとに集計した食品群
を掲示して十分とっている栄養素不足している栄養素に注目させる
・偏りのある食生活は,健康や成長の妨げになることを思い出させる
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2.1食分の献立をたてる
究極のメニューを作ろう
T1.みんなの好みに合った,バランスのとれたメニューを考えましょう
<条件設定>
ごはんとみそ汁は決定副菜3品まで(デザート可)夕飯とする
・六つの基礎食品群に1品目以上は入るように考えさせる
・好みや季節にあったもの,予算や調理方法を考えさせる
・極端に栄養素の差がある場合は少ないものを少しでも増やす方法はないか,実態に応じて検討させる。
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コンピュータを使ってのグループ活動
C1.どこから選んでいいかわからない。
T.まず主なおかずを魚・貝・肉たまごの中から選び,それが決まったら野菜・いも・まめ・海草・きのこのおかずの中から選ぶようにすすめる。
C2.選んだ食品に偏りがある。
T.成分表で確認し,偏りに気づかせ,不足しがちな食品に着目させる。
C3.材料を付け加えたい
T.どの食品群に入れたいのか,確認し食品を選ばせる。
C4.早くできあがった
T.成分表で確認させ,他の献立も考えさせる。
T2.班で考えた献立に六つの基礎食品群がもれなく入っているか調べましょう。 ・献立の成分の確認は,献立が完成しなくても行ってよ
3.班で考えた献立を発表したり,他の班の発表を聞く
T.班で考えた究極のメニューを発表しましょう。
C.献立の内容,六つの基礎食品群に分けられて いる内容,なぜそうしたかについて発表する。
・栄養素の他にどんなことを考えて献立を作っ たのか,発表させ,他の条件にも目を向けさせたい
・献立を作るときは栄養素や好みだけでなく,手間や季節感など,いろいろなことを考えるとよいことを押さえながらまとめる。
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4.本時の学習のまとめと次時の予告 T.今日の学習で,考えたことやわかったことを発表 しましょう。
T.次の時間は1人ひとりで考えた,究極のメニュー を作りましょう。
・献立を作るときは栄養素や好みだけでなく,手間や季節感など,いろいろなことを考えるとよいことを押さえながらまとめる。

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 パソコンを使うことによって,いろいろな料理の中から献立をたて,その栄養素を瞬時に分類し考察することがでる。そのため,児童は,いろいろと工夫して栄養のバランスを考えた献立作りに,意欲的に取り組んでいた。

(2) コンピュータ利用の成果

 食物を6つの基礎食品群に分けて調べる過程は,献立作りには欠かせないものである。しかし,児童にとっては,分類に手間がかかる。そこで,パソコンを使いその過程を簡素化することによって,効率的に栄養のバランスを考えた献立作りを行うことができた。
( 実践者 幸手市立緑台小学校 遠藤 真里 ,協力者 内田 文雄 )

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