1 「どーん!ガバチョ」に学ぼう −災害を最小限にするために−

(小学校第6学年 学級活動)

2 本時のねらいと題材設定の理由

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名

「どーん! ガバチョ」(埼玉県立南教育センター)

(2) 利用ソフトの概要

「どーん!ガバチョ」は様々な地震災害想定して,データベース編,ゲーム編に別れ て構成されている。データベース編では,
1) 映像データベースとして
ア,火災 イ,高速道路の倒壊 ウ,液状化現象 エ,ビルの崩壊 オ,ライフラインについて カ,マンションの崩壊 キ,地下鉄 ク,津波の様子 ケ,山間部の被災コ,鉄道の破壊 が収録されていて解説も付いている。
2) 震災体験談として
ア,津波から逃げた話 イ,デマに悩まされた話 ウ,津波に巻き込まれた話 エ,高速道路の落下を目撃した話オ,家の下敷きになった話 が集録されている。
3) 防災Q&Aでは
ア,びっくり災害辞典として
・台所の天ぷら油 ・恐怖の煙 ・火災 ・タンス揺れ実験 イ,被災して生き残る方法ウ,地震のメカニズム
がクイズ形式を借りながら収められている。
 今回はこの映像データベースを活用して,授業を展開した。操作はすべてマウスで済むようにできている。CD−ROMの大容量を活かした画像が,課題解決には有効である。

4.コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本題材のねらいは,様々な地震の資料や映像,音声から地震によって引き起こされるさまざまな災害について知り,それら災害から自分の身を守ることにある。学級活動での地震等から身を守る学習は,災害発生時を校内にいるときにしぼってきた。しかし,阪神淡路大震災に見られるように,災害の発生は,校内にいるときに限るとは言い切れない。そこで,まず,教師が非常用のリュックの中身を提示することによって災害に対する備えに目を向けさせる。さらに事前調査について指導することによって災害に対する備えの不十分さを指摘する。そこで各自の課題を明確にする。その課題の解決場面で,本ソフトを活用し,てさまざまな災害についての情報を得たり,疑似体験をすることを通して災害 に対する対応の仕方を考えさせさせたい。

(2) 利用環境

1) 使用パソコン NEC PC-9821CX13 10台 画像コンバータ1台29型TV1台

5 本時の展開

(1) 指導計画

1) 事前調査を兼ねたアンケート
2) 「どーん! ガバチョ」の映像データベース「巨大地震に学ぶ」を活用して,地震に対しての情報収集とそれに関わるソフトの操作技能を習得する。
3) 各家庭の防災および地震に際しての取り組みについての調べる活動をする。

(2) 目 標

自分が地震に遭遇した場合の行動や備えについて考え,正しい対応について理解する

(3) 展 開

は児童の確認したい事項。(T1,T2によるT.T形式の授業)
学 習 活 動 活 動 へ の 働 きかけ 準備・資料
1.問題をつかむ
・T2の身支度について考える
○地震などの災害に対する備えは物だけでよいか考えさせる。(T1) ・非常災害用リュク (非常食のみつめたもの
・白米 ・乾パン
・缶づめ ※水はなし)
・アンケートの結果グラフ
1) 2) 3)
1) 地震に備える
2) 命を守るために
3) 生きのびる方法
・地震などによって起こる災害についての知識
・起こった災害から命を守る方法 ・災害を最小にする方法
・災害から身を守るための方法についてのアンケート結果から日頃の備えについて知る。 ○事前調査の結果を示して災害を防ぐための方法が十分に取られていないことを指摘する。
(T2)
・火の始末 ・火の始末 ・建物の中での行動
・転倒家具の危険 ・災害に備ての準備品
・命を守る方法については全員が理解していなければならないこを説明する。   
地震にあったときの行動について見直そう。
2.見通しを立てる(見通す)
・事前調査のアンケートと比べさせる。
○自分が考えていたことで正しくなかっことをはっきりさせる。
○調べ方についての資料を示して調べ方をはっきりさせる。(T1)
○課題別に調べる場所を指定して同じ課題を持った児童同士が情報交換できるよう指示する。
・ワークシート
・資料一覧
・「どーん!ガバチョ」

T1:応急手当,防災の心得,転倒家具の危険,火の始末
T2:煙への対応,火災,被災したときの心得その他 防災用品
       は「どーん!ガバチョ」            カタログ
T1,T2に別れて課題別に指導助言を行う。
3.自力解決する
○自分の課題にあった解決方法で解決しよう。
(チャレンジ)
・分かったこと,見直したことをワークシートにまとめる。
・用意された資料で調べる
・グループで話し合って考をまとめる。
・課題別グループを編成し同じ課題について友達と解決できる場を作る。
・コンピュータ,資料の位置を明示する。
・各コンピュータでは,課題が解決できたら児童が移動して調べてよいこととする。
・「どーん!ガバチョ」
・資料
地震の時の10のポイント
地震に備えて防災用品カタログ
応急手当の手引き
4,発表し合う(わかる)
・生活班にもどって見直した考えやわかったことについて話し合う。
・班の中で意見が分かれたものについては,全体に出して確認するとともに
先生に指導してもらうように助言する。
・発表される意見に耳を傾 け,自分の意見を持たせるとともに,人命を大切にするという観点で判断させる。
・小黒板
5,まとめる
・見直した意見や気がついた意見についてまとめる。
○本時の自己評価 と感想を書く。
・よい発言は多いに評価し実践化に向けての意欲付けをしたい。 ・ワークシート
・自己評価カード

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 非常持ち出しリュックやアンケートの結果を提示した後で,他の資料とともにコンピュータを活用したことで,課題意識を明確にすることができ,多くの情報を意欲的に収集することができた。データベースとして画像や音声のソフトを活用する場合,ソフトの内容についての解説を用意することによって,利用目的や課題意識を明確にすることが必要である。 10台を数人がグループで活用することで,映像や音声から得た情報に対する意見や感想をその場で交換しながら活用できたことは,得た情報をより確かにする補強の面と曖昧な部分を明確にする効果をもたらし,一人一人が自信を持って授業に臨むことができた。

(2) コンピュータ利用上の成果

 事後のアンケート結果より,コンピュータの提示する映像や音声によって,災害に対する自分対の備えが不十分であったことが分かった児童が多かった。ビデオ画像を活用した「びっくり実験」を活用した児童は,事前の関心が高かったので,得た情報や知識が多かった。このことから事前の意識付けが重要であると考えられる。実際の対応は繰り返し多くの時間をかけて取り組むことによって定着していくと考えられるので,中学年から繰り返し利用できると効果が高まると考えられる。また,繰り返し見ることができたので,個々のペースに合わせた学習ができた。今回用意したソフトの内容をようやくした資料を活用することによって,繰り返し見たり聞いたりすることが少なくなり,他の情報に触れる機会を多くすることができた。CD−ROMによる映像は必ずしも映像資料としては優れた物ではないが,音響効果などと併用することで,その効果は十分高められいた。また,ソフトの設定が 学校という場ではないので,日常生活の中でより広い感覚で災害をとらえることができ たのが防災教育として効果があったといえる。
(実践者 狭山市立狭山台南小学校 T1: 佐野 美代子 T2:松澤 忠明)


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