1 「図鑑おもしろ博士」で学ぶ −昆虫博士になろう−

(小学校 クラブ活動)

発明研究クラブ−4年生7人 5年生6人 6年生4人

2 本活動の背景と実践構想

 本年度の発明研究クラブには,生き物に興味を持ち,知識も豊富な児童と細かい工作など物づくりが好きな児童が多い。その中でも生き物に興味を持つ児童の多くが身近な昆虫に興味を持っていた。そこで本クラブの活動の一環として,継続観察の経験作りの意味も含めて,1学期より昆虫などの観察や図鑑などでの生き物調べを行ってきた。特に甲虫や蝶などをテーマにして調べる児童が多く,ありを飼って観察したりする児童もいた。そして,それぞれが調べたことについては,用紙に記録し,ときどき発表し合う機会を設けているが,一人一人興味や知識の量に違いが大きかったり,資料調べの経験が違っていたりするため,児童によってなかなかうまく調べられない場合もある。また,近くに見られる昆虫には限りがあり,実際の観察が難しい昆虫や必要な図書が見つからなかったりする場合もある。
 そこで,昆虫に興味を持たせ,より詳しい知識を持たせるために,以下のような実践構想を持って取り組んだ。
資料調べの充実化のために
 コンピュータソフトの活用により必要な情報を簡単に分かりやすく取り入れる。
上級生が下級生に図書の探し方や見つけ方のポイントを教える。
より高度な意欲化のために
 カードゲームを取り入れ,意欲化を図るとともに,遊びの中から知識を身につけさせる。
カード作りを通して自分の知識や考えをまとめる機会にする。

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト名 

「図鑑おもしろ博士 第1巻 昆虫1〜甲虫編〜」
「図鑑おもしろ博士 第3巻 昆虫3〜チョウガ編〜」 (NECインターチャネル)

(2) 利用ソフトの概要

1) 季節の昆虫
季節のイラストに置かれたカードから昆虫を探して,写真やビデオで特徴を調べる。
2) 検索
名前や科名,姿形から検索する。
3) 生態
昆虫の一生や特徴を調べる。
4) 育てる
餌をやり卵から成虫により卵を生むまで育てる。
5) クイズ
初級,中級,上級のクイズがある。
6) 言葉の説明
難しい用語の説明や体の仕組み参考文献などが書かれている。
7) スライド
フル画面の写真が音楽と共に見られる。
8) カード(付録)
表に写真,裏に特徴など書かれていてさまざまなゲームができる。
 このソフトは,基本的に1) の季節の昆虫の春が表示されており,右上にチョウやカブトムシの形をしたアイコンがあり,そこをクリックするとメニューが表示され,そこから必要な項目を選択する。それぞれの項目が終わり終了すると季節の昆虫のところが表示されるようになっている。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本時のねらいは,昆虫の冬の様子を中心に興味関心を持って観察,調べ学習を行い,冬の生き物に対する見方や考え方や知識を養っていくことにある。しかし,学校の周りでの観察や図書室での資料調べだけでは,冬という条件,参考図書の量,調べ方の技能などから考えて難しく,不十分さを感じる。また,どちらかというと昆虫に対して興味の薄い児童もおり,楽しんでできる活動も必要である。
 そこで,昆虫についての調べ学習や興味付けのために「図鑑おもしろ博士」やカード遊びを活用する。この場合,観察,図書調べ,カード遊び,コンピュータなどは平行して本人の必要性や興味関心に合わせて利用していく。このため,図書室のコンピュータを2台持ち込み,観察以外の活動はすべて図書室で個人の選択により行う。これにより,児童により楽しく,容易に昆虫調べをさせられるものと考える。

(2) 利用環境

1) 使用パソコン NEC PC9821CX13 2台

5 活動の展開

(1) 事前の活動

1) これまでの観察,資料調べのまとめの確認をする。
2) 今回のめあてを決める。
3) 活動計画を立てる。
4) 「図鑑おもしろ博士」の操作技能を習得する。

(2) 目 標

自己の課題に向かい,昆虫について興味を持って観察,調べ学習,カードゲームなどができる。

(3) 展 開

活 動 内 容 活動への働きかけ 準備・資料
1 挨拶,出席をとる。
2 本時の目当てと活動内容についついて知る。
・部長の進行で一人一人名前を呼んで出席をとる。
欠席の場合,同じクラスの子供に欠席の理由を確認
する。
・出席カード
・個人の計画
昆虫調べを,自分の計画に従ってしましょう。
  ・計画表により自分の活動内容を確認させる。
・個別活動が中心なので特に4年生は活動内容をし
っかり確認させる。
・校庭での活動の注意点を特に確認する。
3 昆虫調べをする。
1) 秋に昆虫を見かけた場所に行き現在の様子
を調べる。
2) 図書室へ行き,昆虫を図鑑等で調べる。
3) カードを使い,春夏秋冬ゲームを行う。
4) コンピュータを使い,冬の昆虫調べを行う。
・それぞれが選んだ活動を行う。基本的には個人だが
同じ内容の児童毎に教え合い励まし合いながら行う。
・特に6年生はリーダーとして下級生の世話をする
ように話す。
・一つの活動が終わったら次の活動に移ってよいこ
ととする。
・コンピュータは図書室に移動し,図書室で行う。
・教師は,校庭と図書室の2箇所を回る。
・カード
・コンピュータ
・ソフト
「図鑑おもし
ろ博士」
・記録用カード
4 本時の途中経過を発表する。 ・分かれての活動のため,確認や次回へのアドバイス
のため簡単に発表させる。
 
5 次回の連絡をする。 ・次回にもう1時間続きを行いまとめること休み時間等
個人的に活動してもよいことを伝える。
 

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 今回は,冬の昆虫の様子を調べることを目的として活用したため,学校の近辺で見かけない昆虫の方が多かったがいろいろなことを調べてきた。特に資料を調べるという意味では,子供達が図書室で本を探すより簡便に資料を探すことができ,資料調べの道具の一つとして使うには適当であった。このソフトを活用する上で事前の操作練習をしなかったが,すぐ使うことができよかった。このほか,図書室での利用のため様々な図書と共に資料として使えてよかった。
 しかし,実際に外で昆虫を観察したり,コンピュータで資料を調べたりといろいろな活動をするだけでは,このソフトの持つ機能をあまり使わずに終わってしまう。むしろ,このソフトは,ある程度の時間をかけて検索したり,クイズをしたりしながら知識を深めていく使い方の方があっているように思う。従って,検索での利用は,十分このソフトでゲームなどして楽しんだ後調べ学習に活用するようにするとよいと思う。
 また,今回は,それぞれ1台ずつの利用だったがなるべく多くの機械を用いた方がよいこともわかった。

(2) コンピュータ利用上の成果

 児童が昆虫について資料を調べる場合,どんな資料が必要なのか分からない,どこに資料があるのか分からない,資料のどこに書いてあるのか分からないなどの問題が起こることがある。クラブ活動なので,6年生が4年生などにやり方を教えるなどしているが,今回これらのソフトを利用することで比較的簡単に,目的の資料を見つけ,調べることができよかった。特に,甲虫編,チョウガ編と内容ごとに1つのCD−ROMになっているので必要なものを選んで起動させることができ,調べやすくよかった。
 また,内容的には,写真等多く,検索もしやすいので調べやすく効果的に使うことができた。これにより児童が短時間で目的の内容を調べることができるようになり大変よかった。
(実践者 狭山市立広瀬小学校 仲川 隆雄)


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