1 「森林ってすばらしい」
― 森林を守る活動を通して,人の工夫や努力を探ろう― 

(小学校第5学年 社会)

2 本時のねらいと題材設定の理由

3 利用ソフトの概要

(1)利用ソフト

 「 スーパーYUKI」 (NEC)

(2) 利用ソフトの概要

 「 スーパーYUKI」は,絵を描いたり文字を打ち込んだりすることから,図形を書いたり音楽を作曲できたりするなどもできる総合ソフトである。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 今回の森林の学習では,本ソフトのデータベース機能を活用して,教室に置いてある数多くの参考図書・冊子・パンフレット・ビデオ・新聞の切り抜き記事・インターネットで収集した情報などの内容を検索できるようにした。
 また,資料などから分かったことを相手に分かりやすく伝えるために,コンピュータを活用して発表資料に加工していき,プロジェクタでスクリーンに投影することにより分かりやすい発表ができると考えた。
 ワープロ機能,絵を描く機能,写真やビデオや音声を取り入れる機能,関連する項目や写真を直ぐに画面に提示する機能などをもつので,児童は内容に応じて効果的な表現手段を選択していけると考えた。

(2) 利用環境

1) 使用パソコン NEC PCー9821CF 7台 NEC PCー9821V12 1台
2) 周辺機器 プロジェクタ1台 イメージスキャナ2台 ビデオデッキ1台
パソコン切換機1台

5 本時の展開

(1) 指導計画

1) 木に関心をもたせる。
2) 森林の働きについて調べる計画を立てて調べる。
3) 森林の働きについて分かったことを発表する。
4) 森林で働いている人の仕事や工夫・努力,各地の森林を守る運動などの「森林を守る活動」について調べる   計画を立てて調べる。
5) 「森林を守る活動」について分かったことをコンピュータなどを活用して発表する。 (本時)
6) 地球環境にも目を広げ,熱帯雨林の減少の原因を探る。
7) 今までの学習を振り返り,環境問題について自分の意見をまとめる。

(2) 目標

・ 森林を守る活動をしている人の工夫や努力などについて理解するとともに,林業のかかえる問題点に気付く。
・ 森林を守る活動について調べた内容をコンピュータなどを活用して分かりやすく表現する。

(3) 展開

学 習 活 動 活動への働きかけ 準備・資料
1 本時の学習問題と進め方を確認する。 ○本時の学習問題と進め方を確認し,解決方法を示唆する。
森林を守る活動について調べたことや考えたことを発表しよう
2 自分たちの計画に従って発表準備をする。
○必要な資料を探して情報を取り入れているか
・内容が分かりやすいか・人の工夫や努力について考えているか・自分の意見が入っているかなどについて確認させ,支援を行う。
○コンピュータの必要な機能を助言する。
・本
・冊子
・パンフレット
・ビデオテープ
・ビデオデッキ
・モニター用のテレビ
・新聞記事の切り抜き
・インターネットで集めた記事
・森林組合の方の助言
3 今までの学習を生かして,森林を守る活動について発表する。
○発表する児童以外はスクリーンの前に集めて座らせる。
○大事なところ,新しく知ったこと,疑問などを簡単にメモさせる。
○発表の児童には,発表画面と説明の言葉が合うようにグループで協力してコンピュータを操作させる。また,教師が操作の児童に寄り添い支援を行う。
・ワークシート
・コンピュータの切換機
4 森林組合の方から話しを聞く。 ○本時の発表や他のグループの資料作りで良かった点,児童がまだ気づいていない点,森林を守る人の願いなどの話をしてもらう。
○疑問点について質問をする。
・ランドサットの日本地図
5 グループごとに自分たちの計画を検討し,計画を発表する。 ○今何について調べているのか,今どこまで進んでいるのか発表することで自分たちの計画を自己評価させる。

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 今回「スーパーYUKI」のデータベース機能を活用した。教師や児童が集めた関係図書,冊子,パンフレット,ビデオなどの数は合わせて数十にのぼる。それを一つ一つ見て内容を確認していくのでは時間がかかるだけでなく,同じ資料は複数揃えていないので,ある資料を誰かが見ていると他の児童が探せないことも出てくる。そこで,資料の内容をデータベースに入れて,誰でも簡単に探せるようにしたのは学習の効率化に有効であった。また,必要な資料があるのかないのかがすぐに分かるので,児童の意欲の高まりが持続した。
 表現方法の一つとしてもコンピュータの活用は有効であった。もちろん今まで行ってきた表現の良さもあり,コンピュータ以外の表現を選んだ児童もいた。しかし,コンピュータを活用した発表は,今までのものとは質的に異なっていた。画像をそのまま取り込むことにより視覚に強く訴えることができた。しかも映像だけでなくリズムよく木の枝を切る音,チェーンソーで木を倒す時の大きな音なども重要な発表資料となった。
 また,文字を書いて発表の資料を作ることにおいても,文字を大きくしたり,強調したい文字に色を付けたりして効果的な資料作りが進められた。写真の位置をどこにするかなど,画面構成が容易に変えられるので,自分たちが納得するまで手直しができ,児童も満足していた。

(2) コンピュータ利用上の成果

1) 意欲の高まり
 「少しずついろいろなことが分かってきたので,もっと詳しく知りたいと思いました。」という感想からも分かるように,資料から一つずつ新たな発見があり,知的興味をもって学習を進めることができた。
 これは,体験的活動を2回取り入れるなど学習活動そのものを工夫したということもあるが,コンピュータを活用して調べたり発表したりしたことも大きいと考える。
2) 思考力・判断力の高まり
 森林は様々な働きがあり,一つの働きを知るともっと他の働きもありそうだと考え,資料を探していった。また,森林を守る活動でも,なぜこんなことをしているのか,意外な事実からことの本質を見抜いていった。一人一人の学習問題がはっきりしていたために,データベースを活用して必要な情報を探していったことは,思考力や判断力を高めることに役立った。
3) 情報収集能力の高まり
 児童はデータベースを活用して,多くの資料の中から自分の目的に合ったものを選び,自分の考えをまとめ,発表の資料として加工していった。このことを通して,情報収集能力が磨かれ高まっていった。
4) 表現力の高まり
 今までの新聞,劇,模造紙や画用紙を使っての発表などの表現の他に,コンピュータが加わったことで,表現手段が一つ増え,質的にも高まりを見せた。
( 実践者 品川区立杜松小学校 鈴木 茂雄 )


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