新100校プロジェクト成果発表会
中学校部会

地域展開をめざすホームページづくりについて

山梨大学教育学部附属中学校 井上公彦/秋山哲夫

1.はじめに
 本校は昭和58年度より数台のコンピュータを導入し、グループでの使用を前提に授業においてコンピュータを効果的に活用するための研究を重ねてきた。また、昭和63年度からはコンピュータ室に21台のコンピュータを導入し、主に自作のソフトでの活用を中心に教科で積極的に活用してきた。
 平成6年度、山梨大学のインターネット施設網の工事に伴い附属学校園にも専用線をひいてもらった。時を同じくして本校は100校プロジェクトに参加し、サーバーを設置してサブネットを構築した。
 現在の本校においての状況は本校ホームページの中にある『平成9年度実施状況』にある。また、平成7年度・8年度の成果についても本校ホームページにリンクを張ってある。

2.本年度の活動
 本年度は本県の教育センターを中心として地域展開プロジェクトが立ち上がった。本校もその1つの活動として、本県の中学校の特色や学校の所在地・規模、またその地域の様子などを中心に、学校紹介のページを開こうと考えた。
 本県は、公立99校、私立3校、国立1校の全部で103校という比較的少ない学校数である。しかし、南は静岡県と面しおり、気候も年間を通じて雨が多く暖かな地域であり、北は長野県と面していて冬は寒さの厳しい地域である。また、本校が所在する甲府盆地は、夏は日本一暑くなるときもあり、また冬の寒さは厳しい。このように小さい県ではあるが、それぞれの地域での特色が色濃く出ている県でもある。
 そこで、県内すべての中学校に協力をお願いし、地の様子やそれぞれの学校の特色ある活動などを紹介するページを作成し、全国に紹介しようと考えた。
 昨年の10月にすべての中学校に協力以来の文書を送付し、約半数の学校から返送されてきた。また、すでにその学校でホームページを公開している学校にはリンクのお願いをして、登録作業を進めた。
現在この約半数の学校の登録作業を終了し、2月に再度協力の依頼文書を残りの中学校に出し帰ってきたところから随時登録作業を進めている段階である。

3.教育的効果
 現在はまだすべての学校を網羅しているわけではなく、登録作業を進めている段階であるので、その教育的効果については検証をしていない。しかし、このことによって得られる教育的な効果は次のようなことが考えられる。
(1) 身近な事象から題材を考えようとするときに、自分たちの学校にはない資料が得られる。(例えば、地域の歴史や気候、文化財など)
(2) 他の学校と比較することによって自分たちの学校を再認識することができる。(例えば、学校行事や生徒会行事、学校規模など)
(3) 県の内外を問わず、学校間としてのコミュニケーションの輪が広がる。(例えば同様な催しをしているときなど、そのことやノウハウなどを意見交換できる)
 以上のような効果を上げるためには、そのホームページに載せる内容をしっかりと検討し、内容を豊富にしていく必要がある。

4.成果と課題
 今年度は、『とにかくやってみよう』と言う気持ちで県下の中学校に協力をお願いして始めた。しかし、その過程もまだ道中半ばであり成果といえることはないが、今後多くの学校がインターネットに接続し、気軽にWebページから資料を取り出すことが日常的になるときに、このようなホームページが役に立ち、前述の『教育的な効果』も期待できるのだろうと考える。
 逆に今年度明らかになった課題はいくつか残された。それはホームページの内容に関わる問題とそれを作り上げていくための時間や労力に関わる問題とに分けて考えることができる。

(1)内容に関わる問題
 地域や学校の特徴が明らかになるためには、かなり細かな点にまで目を向ける必要がある。価値ある情報とは何であるのかをよく検討し、その収集をしていかなくてはならない。また、画像等における肖像権や著作権等にも十分に気をつける必要がある。実際、今回協力が得られ本校に送られてきた資料の中には、町で出している広報やパンフレットも同封されていた物がいくつかあったが、その中の写真等を使う場合には一件一件その町役場やその発行元に連絡をし、了解を得てから載せるようにした。連絡をした中にはホームページに載せることを断られた件もあったが、誰がそれを見、何に利用するのかがこちらからは把握できない現状から当然起こり得ることであると考える。

(2)時間や労力に関わる問題
 協力を依頼した側も、依頼された側もその最も大切なことは子どもに寄り添い、子どもと生活をしていくことである。そのためのいろいろな仕事がある中で、情報発信が21世紀に向けてとても大切なことであるとわかっていても、その時間的な確保がなされない限りつづけていくことはとても困難なことであると考える。
 今後、すべての学校がインターネットに接続し、その学校独自のホームページが立ち上がって、逐次更新されていくような状況になって初めて、それらの情報を一つにまとめていくことの価値が増していくのではないかと考え、今後に期待したい。

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