新100校プロジェクト成果発表会
中学校部会
学習成果のプレゼンテーションをしよう
− WWW公開を前提とした,計画的なホームページ作成指導 −


笠間市立笠間中学校 蔵渕 俊郎
http://www.kasama-kasama-j.ed.jp

1.はじめに

 本校では,インターネットをさまざまな教科で授業に活用している。WWWによる情報検索,電子メール,ホー ムページ作成など,生徒は意欲的に取り組んでいる。しかし,作成したホームページを公開する場合,データの著 作権や写真の肖像権など,注意しなければならないことがたくさんある。
 そこで,「情報基礎」領域において,WWW公開を前提としたホームページを作成することにより,インターネ ットについての総合的な知識を身に付けさせていく計画を立てた。ホームページ上のガイドラインのページを利用 して,ネチケットの指導をする。ホームページをつくるために,WWW上のデータを集める。著作権については, 場合によって電子メールを利用して許可をもらう。そして,最終的に本校のホームページに載せて公開するという 学習の場を設定したのである。
 また,「住居」領域でもWWW等を利用した情報収集を行っている。その内容をホームページ作成のテーマとし, 「情報基礎」領域と連携を深めて履修していくことにより,相互効果を期待した。

2.学習のねらい

○ 「住居」領域,「快適に住むための住居について調べよう」というテーマのもと,WWWを利用してデータ収 集するとともに,インターネット利用のガイドラインについて理解できるようにする。
○ 収集したデータをホームページにまとめることにより,HTMLプログラムについての知識を高めることができる ようにする。
○ ホームページを利用して発表することにより,プレゼンテーション能力を高めることができるようにする。

3.指導計画(「住居」領域と連携しながら指導を進める)

「住居」領域(25時間計画) 「情報基礎」領域(25時間計画)
第1次 いろいろな住まいについて
・住まいの違いを調べる。
・住居学習の見通しを立てる。
・課題をつかみ,学習計画を立てる
4 第1次 コンピュータの利用
・生活の中でのコンピュータの使われ方や情報の処理の役割を知る。
2
第2次 住空間について
・家族がいろいろな生活行為を行うための住空間があるか調べる
4 第2次 コンピュータのしくみ
・コンピュータの構成やしくみ,基本操作を知る。
4
第3次 応用ソフトウェアの利用
・住居作図ソフトウェアを利用,生活に必要な住空間の構成を考える
8 第3次 応用ソフトウェアの利用
・コンピュータで利用するソフトウェアの種類,はたらき,基本操作を知る。
4
住居学習と情報基礎学習の時間は,週2時間を随時計画的に交替しながら実施する。
  第4次 情報化社会について
・インターネットについて知る。
・WWW,電子メールの使い方を知る。
・ガイドライン,ネチケット,著作権等について知る。
2
第4次 情報の活用
・課題を設定する。
・作業計画を立てる。
・WWW,図書資料,広告等を利用して情報を収集する
・住居見学を実施する。
・収集したデータを整理する。
6 第5次 情報の活用
・作業計画を立てる。
・使用する情報機器や資料などを選択,収集する。
2
第6次 ホームページの作成
・HTMLプログラムについて知る。
・住居学習で収集したデータを用活して,ホームページを作成する。
8
第5次 作品発表会
・ホームページの発表会を行う。
・各自の疑問や課題を再検討し,解決する。
1 第7次 作品発表会(本時)
・ホームページの発表会を行う。
・各自の疑問や課題を再検討し,解決する。
1
第6次 快適な住まいのまとめ
・快適な住まい方のまとめをする。
1 第8次 コンピュータの適切な活解
・コンピュータの適切な活用についてまとめる。
1
第7次 学習事項のまとめ
・学習事項のまとめをする。
1 第9次 学習事項のまとめ
・学習事項のまとめをする。
1


4.プレゼンテーションに使用した生徒作品ホームページの一例

高齢者が快適に過ごせる住居 家を建てる前後の法律
(社会科公民より)
室内インテリア

5.実践を終えて

 平成10年11月6日,平成11年度に開催される「関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会茨城大会」に向けて の研究協議会において公開授業を行った。見学者には,授業計画全体の流れをつかんでもらうため,1時間の中に それまでのホームページ作成作業のようすを盛り込み,WWW情報検索,電子メール,グラフィック作成,HTML作 成,フロッピー保存とまとめて行った。ホームページのデータも,事前にMOに集約し,班全体の表紙とのリンク 確認も済んでいたので,スムーズに進めることができた。発表も,生徒がコンピュータを操作して自分たちのホー ムページを次々と公開し,学習成果のプレゼンテーションを行った。生徒は,友達の作ったページを見て互いの出 来映えに驚き,感心する様子が見られた。
 この授業,というより単元において,生徒たちはコンピュータのみならず,インターネットの多方面における可能性に気づき,学習し,活用して自分なりの作品を仕上げ,そしてネットワーク上に発表しようとすることができ, 本校のインターネット活用に取り組む成果がまさに集約されていたと言えるものであった。
 また,ガイドラインの学習により著作権や肖像権などの権利に気づき,自分たちの作品を仕上げるにあたって, 他人のデータを利用する場合のルールを自ら知り,活用していくパワーにはすばらしいものがあった。
 特に,インターネットで得た画像等の資料を使用するために,著作権の問題を解決する手段として,そのホーム ページを公開している人のところへ直接電子メールを送り,メールによる文通を続けながら許可をいただいた生徒 たちには教師側としても驚いてしまった。メールの交換から新しい交流の輪も生まれ,自主的に活動する生徒も増 えた。福島大学の住居学の先生は,まさか中学生が直接メールを書いて送っているとは思わず,生徒を先生と勘違いしてお答え下さるというようなハプニングもあった。
 今後も,インターネットの活用方法を研究し,生徒が自主的に活動して創意あふれる作品を作れるよう援助していきたい。

データ使用の許可を求めた電子メールの例
(◇◇さん)
◇◇@福島大学教育学部です。ホームページを訪問下さり,ありがとうございました。早速そちらのホームページを拝見しました が,なかなか魅力的ですね。福島県の学校のホームページでは,▽▽中学校のものが良く出来ています。ここにも教科の部屋があります。しかし,家庭科の教師がいないので,家庭科だけは部屋がありません。家庭科の部屋のページの充実を期待しています。なお,「資料の送付を」ということですが,私が手持ちのものは送れますが,どのような資料をご希望なのでしょうか。ご連絡下さい。
(生 徒)
授業で、住居について調べていますが、寒い地方の家の構造が知りたいので資料があればお知らせ下さい。よろしくお願いします。
(◇◇さん)
▲▲先生,▼▼先生,こんにちは。寒い地方の家といえば,思いつくのは断熱性と屋根の雪対策です。手持ちの資料を調べたところ,断熱については新聞の切り抜きがありましたが,屋根については見つかりませんでした。切り抜きは◎◎新聞で,コピーをお送 りします。屋根については,かつて北海道で雪が自然に落ちる急勾配の屋根が普及した時期もありますが,最近は逆に中央が凹になり,雪を乗せたままにする屋根が広がっています。北海道は気温が低いので雪が軽く,風で飛ぶからだそうですが,北陸の大雪地帯では考えられないことだそうです。
(生 徒)
◇◇先生 こんにちは。資料が学校のほうに届きました。ありがとうございました。ホームページの方に使わせて頂きたいとお思います。出来上がりましたらお知らせしますので,ぜひご覧ください。ちなみに,この間のメールに▲▲先生,▼▼先生となっておりましたが,本当は僕らは生徒です。それでは失礼します。
▲▲and▼▼


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