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教育用ネットワークシステムの構築と運用
新100校プロジェクト成果発表会
高等学校部会
教育用ネットワークシステムの構築と運用
愛媛県立新居浜工業高等学校 宇佐美 東男
1.はじめに
21世紀初頭には,わが国をはじめ多くの国においてグローバル化が一層進展し,新たな情報リテラシーや情報モラルが求められる社会になる。その高度情報通信社会に誰もが積極的に参画し,健全な社会を維持して行く素養を身に付けることは,大変重要であり,学校教育に対して社会の期待は大きい。これを実現するために,教育現場へのインターネット導入や,校内LANの構築等情報インフラの整備は欠くことができない条件である。
また,時代に適合したカリキュラムを開発し,学外と繋がる情報インフラの適切な運用は重要な課題となる。児童・生徒や職員が日常的に校内ネットワークやインターネットを利用し,海外や地域社会等との交流も自在にできる環境が必要である。
本校は100校プロジェクト・新100校プロジェクトに参加し,様々な分野でのインターネット教育利用を通し,そこから得た経験を基に,新しい時代にマッチした教育用ネットワークシステムの構築と運用について研究を重ねてきた。
今年度は校内情報インフラとインターネット接続回線を改善する機会に恵まれ,限られた予算ではあるが,最適化を目指したネットワークの構築と運用に取り組んできた。
2.教育用ネットワークシステムとして必要な機能(理想システム)
学校教育用情報インフラに求められる機能として次のようなものが考えられる。
- 1) マルチメディア・データベース機能
- 2) インターネットへの接続機能及びサーバ機能
- 3) マルチメディア教材作成機能
- 4) セキュリティ機能
- 5) 有害情報ブロック機能
- 6) インテリジェント・スクールとしての機能
3.教育用ネットワークの種類と拡張性
- 1) 部分的校内LANシステム
- 2) 全体的校内LANシステム
- 3) LAN構築された学校間をWAN化した,広域教育情報ネットワークの構築
4.教育用としてよく利用されるネットワーク技術の種類
- 1) イーサネット方式
- 2) ATM方式
5.本校で構築した校内LANシステム
- (1) 設計の目標
- ・マルチメディア対応のLAN構築を目指した。
- ・教育用イントラネットの構築
- ・学内ネットワークの内から及び外からのセキュリティを強化する。
- ・既設校内LANシステムを最大限活かした設計を行う。
- ・光ファイバーによるファースト・イーサネットをバックボーンとする。
- ・インターネット接続回線の高速化(光ファイバー1.5Mbps)を行う。
- ・有害情報ブロックシステムの運用
- ・全ての教室に情報コンセントを設けるための拡張性
- (2) 技術的な留意点
- ・コリジョン・ドメインをできるだけ小規模にするためスイッチを利用する。
- ・マルチメディアに対応するため帯域幅,メモリ,HDDアクセス速度等を検討。
- ・将来,柔軟なシステム構築が可能な拡張性を考慮した設計
- (3) 採用したネットワークOS
- ・Solaris ・FreeBSD ・WidowsNT ・Netware ・WIndows95・98 ・Linux
(4) LAN構成図(概略図)・・・プレゼンテーション
6.校内情報インフラの運用と問題点について
情報インフラの日常的な運用で留意点は多岐に渡るが,重要な項目を挙げる。
- (1) 運用管理ガイドライの策定
- インターネットは学校と外の世界をつなぐもの。運用管理組織を設け対応する。
-
- ・運用管理全体を統括する責任組織を設置する。
- ・プライバシー問題,有害情報等の問題を担当する情報管理組織を設置する。
- ・ネットワーク運用の技術的問題について対応する組織を設置する。
- (2) ネットワーク利用規則の作成
- 校内LANを通してのイントラネットやインターネットの利用は,規則を遵守する。
- 生徒の利用規則については,生徒の参画を得て作成する。
- (3) 情報モラルの育成
- 情報モラルに関するカリキュラムを早急に開発し,体験を通して身に付けさせる。
(4) 生徒自身によるクラブを組織し,休憩・放課後等の利用を自律させる。
7.インターネット及び校内LANの利用状況
教科指導では地歴・公民科,家庭科,英語科をはじめ多くの普通科目で,また,各工業専門科でも大変活発に利用されている。特別活動ではインターネット放送局の開局やホームページ開発,地域社会との交流などに生徒は生き生きとした態度で取り組んでいる。
8.おわりに
アメリカでは2000年までに全ての学校の全ての教室にインターネット利用環境が導入される。フランスやイギリス,ドイツもアメリカに続いている。アジアではシンガポール,マレーシヤ,香港などはわが国の先を走っているようである。教育改革は始まったばかりだが,今後の世界的な情報通信社会の進展を考えると,学校教育の情報化は特に急がなければならない分野である。そのために,国や自治体の施策だけでなく,あるいはその施策を援助するために,NPO等の情報ボランティア組織を設立し,学校教育に留まらず,社会教育の分野でも活動の輪を広げたいと考えている。
平成10年度 新100校プロジェクト成果発表会