新100校プロジェクト成果発表会
高等学校部会
地域に根差した教育の実践
山梨県立谷村工業高等学校 長谷川 準
http://www.yamura-ths.tsuru.yamanashi.jp/
1.はじめに
本校は,平成7年度からインターネットが導入され,平成8年度には第1コンピュータ室がWindows95マシンに更新されるなど,高度情報ネットワークの設備と環境が整ってきた。平成6年度から取り組んできた「100校プロジェクト」,「新100校プロジェクト」の活動で蓄積されたノウハウを,地域社会に還元し活用できれば,より一層地域に密着し開かれた学校として,地域の方々に親しみを持ってもらえるものと考える。
具体的には,学校設備の開放(学校開放講座)と,生徒たちの地域行事への積極的な参加を実施した。
2.企画の実践
2.1 学校開放講座 (図1)
図1 学校開放講座 |
- (1) 概要
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- 講 座 名 : パソコン入門からインターネット活用
- 対 象 : 一般成人(パソコン・インターネット初心者)
- 受講者数 : 37名(男16名,女21名)
- 実施場所 : 本校第1パソコン室
- 実施期間 : 平成10年10月2日〜10月30日(計13回)
- 週3回(月・水・金),午後7時〜9時
- 講 師 : 本校職員 12名(延人数65名)
- 補 助 員 : 電子情報科2・3年生(各回2名) (図2)
図2 補助員の生徒 |
- (2) 学習重点課題
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- ・Windows95の基本操作の理解
- ・インターネットの基本的機能の理解
- ・インターネットの効果的活用の方法
- ・地域参加型の地域紹介ホームページの作成
- (3) 学習内容
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- 1) 開講式・Windows95の基本操作(6時間)
- 2) インターネットの概要・WWWの使い方(4時間)
- 3) 電子メールの使い方(2時間)
- 4) ホームページの作成(20時間)
- 5) 発表会・閉講式(2時間)
2.2 八朔祭りインターネットフェア
図3 小学生へのレクチュア |
都留地域インターネット協議会(TIC)と連携して,インターネットフェアを開催した。その中で,本校生徒が小学生にインターネットのレクチュアを行った。 (図3)
- 対 象 : 小学生及び地域住民
- 実 施 日 : 平成9年9月1日
- 実施場所 : 都留市立谷村第一小学校
- 講 師 : 電子情報科3年生
2.3 生涯学習フェスティバル
(1) 概要
県主催の生涯学習フェスティバルが,平成9年度は都留市を中心に開催されたため,会場となった富士女性センターに本校の展示室を設けてもらい,インターネットに関する展示と生徒によるレクチュアを行った。
本年度は「県民の日記念行事」というイベントの一つとして,平成10年11月14〜15日に甲府市の小瀬スポーツ公園で開催されることになり,本校のインターネット同好会の生徒たちも主催者側として参加し,体育館内の展示会場設営やSOHOシステムの構築,来場者へのインターネットの実演・説明を行った。
- (2) 内容
- 1) インターネット体験コーナー (図4)
- 2) 即席ホームページ作成 (図5)
- 3) CU-SeeMeの実演 (図6)
図4 体験コーナー |
図5 即席ホームページ作成 |
図6 CU-SeeMeの実演 |
3.実践の評価
(1) 学校開放講座の効果
- できるだけ多くの教員からサポートを得るようにしたため,教員同士の啓発に役立った。
- 地域の方の,学校の設備に対する認識が改まった。
- 補助員として生徒が参加したことにより,工業高校の実習内容についての理解が深まった。また,本校生徒に対する意識が変わった。
- 開放講座終了後も,コンピュータやインターネットに関する質問が寄せられるようになり,地域の方と学校との結びつきが強くなった。
(2) 生徒の校外活動による効果
- 生徒たちは学校での学習がそのまま実社会で役立つことを経験し,その後の学習活動に積極性が出てきた。
- 本年度は「県民の日記念行事」が大規模に開催されたため,幅広い年齢層の来場者が訪れたが,生徒は自分なりに考えて接していた。特に,高齢者が訪れたときには,すぐに椅子を出したり,ゆっくりと丁寧に操作方法を説明するなど,思いやりの心が見られた。
- 生徒の普段学校では見られない姿を見ることができ,新たな生徒理解につながった。
- 地域の方も地元の高校生が活発に活動している様子に接し,学校に対する認識が改まった。
(3) 今後の課題
- 本校がインターネット先進校であるという認識が定着し,地域の方から年に数回開放講座を開いて欲しいなどの要求が増えてきたが,実施時間が勤務時間外であるなど,教員の負担が増えてしまう。また,受講費を無料とした場合,予算をどうするかが問題である。
- 生徒の校外活動を継続させるため,複数の教科との連携を考慮したカリキュラムを編成する必要がある。
4.実践を終えて
学校開放講座や地域行事への参加を2年間続けてきたが,さらに新たな地域参加型の企画を検討していく必要があると感じた。そうすることにより,その企画をもとに本校が地域ネットワーク社会の中心的存在となり,より一層地域のため機能的に活動できるものと思われる。
このことは,専門高校の置かれている現状に活路を見いだす一つの方法と考える。
平成10年度 新100校プロジェクト成果発表会