新100校プロジェクト成果発表会
小学校部会

平成10年度の実践から、ネットワークの教育力を生かした実践例


北九州市立小森江西小学校 西宮 勉

1.本校の情報教育の概要

(1) 研究主題 平成6年度より情報教育を研究主題として設定し、研究を重ねてきた。その実績をふまえ、本年度の研究主題を次のように設定した。

平成10年度の研究主題
 「自らの課題を発見し、追究する授業の創造」
〜子どもの力を伸ばす情報教育〜


(2) 研究仮説とめざす子ども像
研究仮説
 教科の目標を達成するために、全教育過程の中で、個やグループに応じ、コンピュータのメリットを生かした支援を位置づければ、子ども達は、自ら課題を発見するとともに、情報を収集・整理・活用しながら、意欲的課題追究をしていくであろう。

目指す子ども像
  • 自ら課題を発見し、解決のために粘り強く努力する子ども。
  • 多くの情報の中から、必要な情報を選択し、課題解決のために生かすことができる子ども。
  • 友達相互の考えを、関連付け、自分なりの意味付けをする子ども。
  • 友達相互の磨き合いの場や学習の成果を発表する場を通して、表現することの喜びを味わう子ども。

(3) 仮説実証のための着眼点
1) 本校が捉えるコンピュータメリットと基本的な学習過程
2) 目的に応じた情報機器の活用
3) 児童のコンピュータリテラシーの指導系統の見直しと実態把握
4) コンピュータおよびインターネット環境の整備と充実

2.具体的な実践

2.1 <実践1> 5年1組 国語科 単元「グループごとの研究新聞作り」

(1) 児童の実態
  • どんなふうに書いたらいいのかイメージが持てずに、作文を苦手に思っている児童が多い。
  • テーマに沿った文章を書くことのできない子どもが多い。
  • 社会科の学習「運輸の仕事」で、コンピュータを使って新聞作りをして、情報機器に対する意識が高まってき ている。
  • (2) 単元のねらい
  • 必要な情報を適切な方法で収集し、再構成し、伝達する過程を通して、新しい発見の喜びを味わわせたり、一人ひとりに自分のよさを発揮したりさせながら、情報活用能力を伸ばす。
  • 新聞作りという活動を通して、自分の考えを明確に要旨を考えて整理して書いたり、構成を考えて事実と意見を区別して書くといった、5学年国語科としての作文力を高めるようにする。
  • (3) インターネット利用場面
     この単元では,次のような場面でインターネットを活用した。

     1) グループごとのテーマ設定の場面
     5つのグループの内、4つのグループについては、「林芙美子」、「コンピュータゲーム」、「遊び」、「校区にある公園」とグループごとの新聞の研究テーマが話し合いによりすぐ決まった。なかなか決まらなかった残りの1グループは、他校の友だちがどんな研究テーマに取り組んだのかを電子メールを送って尋ね、日本各地の友だちや先生から寄せられた参考意見をもとにテーマを決定することができた。
     2) 調べ学習の学習場面
     「目玉焼きにの上に何をかけるか?」を研究テーマにしたグループは、日本各地や世界中の日本人学校に、アンケート協力依頼の電子メールを送った。その結果、国の内外を問わず、多くの学校から応答のメールが寄せられ、新聞記事の資料を収集することができた。
     「林芙美子」、「コンピュータゲーム」、「遊び」を研究テーマにしているグループは、そのテーマを掘り下げた個人テーマに関連するホームページを検索し、参考となる資料を集めることができた。
     3) 他校の友だちとの研究交流
     本校の学級のホームページに公開する際には、調査活動に協力してくれた学校や団体に感謝の意を込めて知らせ、意見や感想を求めて、児童の考えを深めたり励みになるようにしたい。

    (4) まとめ
     自分たちの課題を解決するために、全国の小学校や海外日本人学校に調査協力のお願いを出したところ、多くの返事が返ってきた。単なる調査の回答だけでなく、学習の進め方のアドバイスや地域の情報、今後の交流の希望などの書き込みも多かった。一つのメールから子どもの活動の幅が広がり、多様な学習へと高まっていった。この活動を機会に、交流校や協力校を広げて、有意義な学校間ネットワークの利用を推進して行きたい。

    2.2 <実践2> 5年2組 社会科 単元「私たちの生活と国土」

    (1) 児童の実態
  • 日本の国土の地理的な特色については漠然としており、国土についての知識や情報も少ない。環境問題については、興味・関心が高まってきている。
  • コンピュータその他の情報機器は、かなり慣れて意欲的に取り組むが、適切な資料を探したり、必要な情報を集め、整理したりすることには時間がかかる。
  • (2) 単元のねらい
  • 日本の国土学習のまとめとして、国土の様子を理解し、人々の生活や産業と密接な関連があることを捉えるとともに、森林資源をはじめとする環境問題について関心を高め、理解を深める。
  • 各種の地図・グラフなどの統計資料を活用し、白地図作業や調査集計結果など情報処理能力を伸ばす。
  • (3) インターネット利用場面
     この単元では、教室にコンピュータを設置し、インターネットが利用できる環境を設定した。そして、次のような場面でインターネットが活用された。
     1)エコクラブ、龍神村のホームページで資料を収集した。
     2)オーストラリア、北九州大学、エコクラブ、全国の小学校(各県抽出)にアンケートや質問のメールを送った。

    (4) まとめ
     オーストラリアの小学校とは、英文で交流するため翻訳のボランテイアを本校の保護者にお願いし、効率よくメールの交換ができるようになった。ただし、オーストラリアとは休暇・学期のサイクルが合わないため、頻繁には行えない。また、メールの交換では物足りなくなってきたため、交流専用のホームページを作って画像をたくさん使った交流を始めた。さらに、実際の作品をエアメールで交換しあうことで、児童は実感を持って交流を続けることができた。今後は、メールの交換の継続と共に、ビデオレターなどの方法も使って行きたい。

    3.まとめ


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