新100校プロジェクト成果発表会
テーマ部会

授業に生かすアジア高校生交流企画
− 3年の実践を終えて、韓国からリアルタイム参加! −


名古屋市立西陵商業高校 影戸 誠
kageto@nagoya-seiryo-chs.nishi.nagoya.jp
http://210.235.197.2/kageto.html

1.はじめに

 「アジア高校生インターネット」交流はこれまでの一校対一校の交流ではなく、数校の学校の取り組みである。ネットワークを活用した形態である。日本の学校の生徒たちは、「島国」の環境の中で英語を使うことのないまま英語学習に追われてきた。このような状況を打開する一つの手だてとしてこのプロジェクトの意味がある。英語学習に命を吹き込むことであり、さらには教育の場面での国際化を実現するものと考えている。

2.ねらい

 アジア諸国は近い、距離的に近い、歴史関係も深い、しかし相互理解は進んでいるとは言えない。政治・経済の面で常に話題には上るものの、次をになう若者のための情報は十分ではない。
 インターネットはこれら若者の日常的な交流を可能にする。明日のアジアについて海外の生徒とともに語ってほしい。そのような願いを持ってこの企画に望んだ。メーリングリスト、web等の活用によるバーチャルの交流とシンポ企画によるリアルの有機的結合を行った国際交流を目指す。また従来のマルチメディア(ビデオレター)等の活用も企画していく。

3.実践内容

(1) シンポジュウム前
 電子メールでお互いの自己紹介を行うと共に、インターネット上のネチケットについて学習させた。英文など抵抗感のある生徒には、昨年までの例文を下に作成させた。
パワーポイントファイルを各校で作成。
 川崎商業・・・・「教科書の中のあなたの国」
 福井商業・・・・「校内のゴミ処理問題」
 ハワイ・・・・・「学校生活・授業内容」
 名東高校・・・・「奈良の歴史文化」
 緑高校・・・・・「日本の高校生」
 四日市商業高校・「高校生の間で流行っているもの」
 西陵商業高校・・「これからの交流に向けての提案」


(2) シンポジュウム当日の流れ
23日午後 12時―14時 オリエンテーション 自己紹介 シンポ準備
14時 シンポジュウム開始
各国プレゼンテーション (使用言語英語 ) webマガジンの制作、ゴミ探検隊、Cu-SeeMe  記念宣言
24日 9時 奈良市内へ 教員引率(携帯電話持参)
海外+日本のグループで奈良市観光課 神社、仏閣訪問を訪問し、日本文化さらには 観光地のゴミ処理を調査する。 それぞれの印象を記入 デジカメで記録(参加者を入れること) センターへ帰り 資料整理( 英文作成)
17時より 各グループ発表 (cu-seemeにて放映)
25日 京田辺――ハワイーー韓国――ジュネーブ(APNG Education) CU-SEEME中継
26日 11時 名古屋会場へ移動(韓国、夢学園、福井商業、川崎商業、など)

生徒の声
・いろんな場面で会話をしました。少なくとも基本的な英語を日本の生徒は話すことができたので後はジェスチャーで楽しくコミュニケーションをとることができました。(ハワイ生徒)
・奈良もプレゼンテーションもよかったけどなによりも「人」がもっとも印象的でした。(韓国生徒)
・事前のメール交流があったので安心して参加できました。メールで台湾に逐一状況報告をしました。(台湾生徒)

(3) 授業との連携
 商業高校間では三菱総研・佐藤慎一氏のサポートの下、CECより支援を受けて貿易取引システムを開発し、授業の中で活用している。台湾の学校とも平成11年度からは実施予定。Web上で見積依頼から決済まで連動して実践できるシステム。インターネットを活用し、世界と貿易が出来るだけでなく、生徒の意見交換の欄ももうけてある。
http://210.235.197.3/trw/
また、静止画+音声ファイル作成等の研修会を開催し、各校の英語教育の中で活用している。
http://nagoya-seiryo-chs.nishi.nagoya.jp/kageto/withvoice.html

4.実践の成果

(1) 英語の活用
 生徒のアンケートからもわかるように英語・国際化に対しての意識が大きく変わってきた。
 中でも英語学習の目的は設置されている科目であるからという消極的な内容から「コミュニケーションをとる手段として」といったように大きく変化した。やはり英語を使う「体験の場」があったことと、「あれほど勉強したのに役立たなかった」という悔しさがあったからであろう。

<英語を学ぶ第一の目的>
  1) 2) 3)
事前 18.1 12.5 26.4
事後 10.5 10.5 47.4

 1) 学校で学習すべき教科だから
 2) 就職試験や入学試験で必要だから
 3) 外国人とコミュニケーションを図りたいから

(2) 共同生活
 昨年に続いて海外ゲストと接した生徒について、英語で話そうとする態度に大きな変化があって、積極的だったというコメントもあり、昨年の活動がコミュニケーションに対する動機を高めており、一度限りの企画でなく、昨年の経験に基づき、今年の企画が充実したと言える。

(3) 共同作業
 今回は奈良市内の見学、ゴミ調査さらにはそれらをwebに作り上げる活動が盛り込まれた。ホームページの文章づくりなどすべて英語で行われた。夜遅くまで共にコンピュータに向かい時間を忘れて取り組んでいた。作品ができあがる中で交流も深まった様である。
 共同作業の時間の確保が成功の要因と考えられる。

(4) 共同生活を体験して
 10年度は2泊3日の共同生活が実現した。今までのシンポジュウム1日の交流に比べ、食事を共にし、「日本食についての感想」を語り合うなど多くの交流の場面が設定できた。
 3日目には心も英語もかなり通じ合うようになったようである。

(5) その他
1998年度参加校一覧
参加国: 台湾 韓国(2校) タイ ハワイ 日本
日本: 川崎市立川崎商業高校 南山国際高校 三重県立菰野高校 福井県立福井商業高校 三重県立みえ夢学園高校 四日市市立四日市商業高校 名古屋市立緑高校 名東高校 淑徳高校 手塚山学院泉ヶ丘中高等学校 名古屋市立西陵商業高校校
参加人員: メーリングリスト 125名 シンポジュウム・合宿参加 52名

関連url

アジア企画のホームページ
http://210.235.197.2/asia/
http://210.235.197.2/nepal/
Inet'97(クアラルンプール)のレポート(英文)
http://www.isoc.org/isoc/whatis/conferences/inet/97/proceedings/D2/D2_1.HTM
ソウル女子商業高校 1.5Mの接続
200台以上のコンピュータがインターネットに接続
http://210.104.30.5/台湾高雄女子高校サン・ヤットセン大学に接続http://ajet.kghs.kh.edu.tw/

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