E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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授業実践事例の情報提供・情報交流に関する調査研究

3. 調査研究作業
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3.1 事例登録時における利便性向上のための要件

3.1.1 調査研究方法

(1) 調査研究対象者
 平成13年度学校企画プロジェクトに参加した50校及び,さいたま市大宮地区5校,岡山県8校の合計63人の教員及び教育関係者から5人を選定し,ヒアリング調査を行った。

3.1.2 利用者IDの申請

 調査研究対象者に対し,利用者IDの申請の操作性や改善点についてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(a)メニュー画面

(イ)利用者IDの申請」ボタンについて

  • メニュー画面では,大きく「検索」「登録申請」「よく見られている授業情報」のカテゴリがある。各カテゴリに複数のメニューがあるが,ボタンがたくさんあるので,初めどこから利用者IDを申請すればよいのかわからなかった。
  • 「利用者IDの新規申請」といった名前の方がわかりやすい。
  • 「利用者IDの申請」ボタンは,一般利用者にとっては,利用者IDを取得しないと検索できないのではといった印象を与える。

(ロ)メニュー画面のデザインについて

  • 検索カテゴリの欄は,キーワード検索と詳しい検索が縦並びか左右逆の方が見やすい。
  • メニュー検索はもっと目立つように配置してほしい。メニュー検索を全面に出した方が使いやすい。
  • 登録申請とよく見られている情報は,画面下方に小さく載っているとよい。検索だけできるページを用意するのもよい。
  • すべてのメニューと同レベルにするのではなく,検索をメインにして,ボタンのレベルを差別化したほうがよい。

(b)利用者IDの申請画面

(イ)「利用者ID」について

  • 利用者ID申請画面については,おおむねわかりやすい。しかし「利用者ID」が何のためのものかわかりにくい。
  • 好きな利用者IDを入力できるのはよい。利用者ID,パスワードの説明は,「ご希望の利用者ID(パスワード)を入力してください」とするとよい。
  • パスワードという用語そのものは,学校のパソコンを使うときも入力するのでわかりやすい。パスワードの長さは,8〜10文字でなく,4〜6字程度でも可にしてほしい。
  • ヘルプに,「利用者IDには所属する機関を示すローマ字名やedドメイン等を含んだものにして下さい。」とあったので,そのまま学校名にしたが,他の人と同じだったのでエラーになった。そのままではなく,変更を加える必要があるのに気が付かなかった。

(ロ)用語,説明について

  • 所属機関種類をプルダウンで選ぶのは使いやすいが,初めに選択項目の一番上のものが表示されているとなおよい。
  • 所属機関名は,本システムの利用者が通常は学校の教員であることを考えると「所属校名」でもよい。
  • 電話番号は全角か半角か指示があるとよい。

(c)情報登録者申請画面

(イ)学年,担当教科について

  • おおむね問題なく,わかりやすい。
  • 担当学年は一年で変わる。また,中学校では全学年を担当することもあるので,「全学年」といった選択肢があるとよい。
  • 担当教科は,特に小学校では全教科を教えるので,空欄を許すか,「全教科」といった選択肢があるとよい。
  • 担当学年,担当教科の入力にもう少し詳しい説明があるとよい。

(d)操作性について

  • 次画面に遷移するための文字(ボタン)が画像なので,マウスではっきりポイントしているのかどうかわからない。画像でよいが,ポイントしたら文字の色が変わるようにするとよい。
  • メニュー(教科・単元・ソフト別etc)の文字に,校種,学年も追加してほしい。
  • アイコンを使ってさらにソフトなイメージにするとよい。

3.1.3 授業情報の登録

(1)研究結果データ

 調査研究対象者に対し,授業情報の登録の操作性や改善点についてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(a)メニュー画面

(イ)登録申請カテゴリ欄について

  • 「授業情報の登録」「情報登録者用ページ」の二つのボタンがあるが,これを一つにし,説明を加えるとわかりやすい。
  • 「授業情報の登録」ボタンをクリックしてログイン後,直接授業情報の登録申請画面に遷移した方がわかりやすい。
  • 授業情報の登録申請前チェックの内容を,ヘルプ的にでよいのでログイン前に参照できるとなおよい。

(b)情報登録者用メニュー画面

(イ)登録の流れの説明

  • 「登録申請-授業情報」のボタンをクリックして,情報を登録する画面に遷移するのはわかりにくい。初めに登録の流れを説明する画面がほしい。
  • 「HELP」では,登録の流れの説明だと思わない。「授業情報の登録の説明はこちら」といった名前のリンクにし,「登録申請-授業情報」ボタンのすぐそばに配置されているとよい。
  • 登録にかかる所要時間や,登録を途中でやめた場合,再開する方法の説明がほしい。
  • 授業情報登録申請の手引きの,「授業情報システムに登録するデータ」を基に,登録前に準備しておいたので,登録はスムーズに行えた。

(c)授業情報登録申請画面

(イ)登録モードについて

  • 簡易登録モード,詳細登録モードとあるが,どちらかに一本化してほしい。

(ロ)メディア情報登録について

  • メディア情報の登録は一ファイルずつではなく,複数のファイルをあらかじめ指定しておいて一度に登録できるようにしてほしい。
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3.2 事例検索時における利便性向上のための要件

3.2.1 調査研究方法

(1)調査研究対象者

 教員および教育関係者に対して,本システムにおける授業情報検索に関するアンケート調査を実施し,76人から回答があった。

(a)所属機関別の調査研究対象者の割合

 所属機関別の調査研究対象者の割合を図3−1に示す。


図3−1 所属機関別の調査研究対象者の割合

(b)コンピュータの利用経験年数の分布

 調査研究対象者のコンピュータの利用経験年数の分布を図3−2に示す。


図3−2 コンピュータの利用経験年数の分布

(c)コンピュータの利用頻度

 調査研究対象者に対し,コンピュータの利用頻度の調査を実施した。結果を図3−3に示す。


図3−3 コンピュータの利用頻度の割合

(d)インターネットの利用頻度

 調査研究対象者に対し,インターネットの利用頻度の調査を実施した。結果を図3−4に示す。


図3−4 インターネットの利用頻度の割合

3.2.2 研究結果データ

(1)利用した検索機能

 調査研究対象者に対し,5つの検索機能{キーワード検索(メニュー画面から),メニュー検索,キーワード検索(詳しい検索),自然語検索,ベストアクセス}のうち,利用した機能について調査を実施した。結果を表3−1に示す。

表3−1 利用した機能(複数回答)
回答 人数
キーワード検索(トップページから) 57
キーワード検索(詳しい検索) 33
メニュー検索(校種,教科,学年) 56
自然語検索 19
ベストアクセス 29
未回答 2

 システムのログから取得した,各検索機能の利用回数を表3−2に示す。

 平成13年11月(本システムリニューアル)以降,「キーワード検索」の利用回数は「メニュー画面から」「詳しい検索」の合計値である。

表3−2 検索機能アクセス数
  平成13年
6月
 7月  8月  9月 10月 11月 12月 平成14年
1月
合計
メニュー検索 115 163 171 145 170 77 50 66 957
キーワード検索 16 46 26 36 46 141 65 82 458
ベストアクセス 15 31 54 41 77 271 175 191 855
自然語検索 7 24   4 156   9 2 202
合計 153 264 251 226 449 489 299 341 2472

(2)キーワード検索機能(メニュー画面から)のわかりやすさ

 調査研究対象者に対し,キーワード検索機能(メニュー画面から)のわかりやすさについての調査を実施した。結果を図3−5に示す。


図3−5 キーワード検索機能(メニュー画面から)のわかりやすさ

(3)キーワード検索機能(メニュー画面から)の操作のしやすさ

 調査研究対象者に対し,調査研究対象者に対し,キーワード検索機能(メニュー画面から)の操作のしやすさについての調査を実施した。結果を図3−6に示す。


図3−6 キーワード検索機能(メニュー画面から)の操作のしやすさ

 

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3.3 利用者からの評価情報提供による,情報登録者と利用者との意見交流に関する要件

3.3.1 調査研究方法

(1)調査研究対象者

 本調査研究項目の調査研究対象者は,「3.1 事例登録時における利便性の向上のための要件」における調査研究対象者,「3.2 事例検索時における利便性の向上のための要件」における調査研究対象者と共通である。

3.3.2 研究結果データ

(1) 感想の内容

(a)感想の内訳

 感想が登録された授業情報の,校種別内訳を表3−3,教科別内訳を表3−4,登録時期別内訳を表3−5に示す。

表3−3 校種別内訳
校種
小学校 17
中学校 3
高等学校 2
特殊教育諸学校高等 1
合計 23

 

表3−4 教科別内訳

校種 教科
小学校 国語 2
社会 3
算数 1
理科 2
体育 4
総合学習 6
中学校 技術・家庭科 1
特別活動 1
高等学校 数学 1
商業 1
情報 1

 

表3−5 登録時期別内訳
登録時期
新着情報(平成14年1月1日〜) 15
既存情報 8

(2) 感想の登録の各作業における手間

 調査研究対象者に対し,感想の登録の各作業における手間についてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(a)感想の登録の流れ

  • メニュー画面の検索から授業情報概要画面に遷移したときでも「感想・質問」ボタンが存在し,「感想・質問」ボタンをクリックしたときにはじめてログイン画面が表示される流れの方がわかりやすい。
  • いったん「感想の登録」ボタンをクリックしてログインしたのに,情報登録者用メニュー画面が表示される。感想を登録するのは事例検索後だという説明があるとよい。

(b)感想の登録作業

  • 授業情報概要画面で「感想・質問」ボタンをクリックし,感想・質問入力画面に遷移すると,検索した情報が見えなくなってしまう。
  • 途中まで感想を入力してから,もう一度授業情報概要画面に戻り,再度「感想・質問」ボタンをクリックすると,途中まで入力した感想が消えてしまう。
  • 感想登録用に小ウィンドウを出すなどし,情報を閲覧しながら感想が入力できるようにしてほしい。

(c)感想の登録の運用

  • 誹謗,中傷といった感想が登録されることを防ぐため,感想の登録はログイン後でないとできないという運用はよい。
  • 感想の登録はログイン後でないと行えないことを明示してほしい。
(3) 感想の登録の問題点

(a)感想の登録の問題点

 調査研究者に対し,感想の登録の問題点をアンケート調査した。結果を表3−6に示す。

表3−6 感想の登録の問題点(複数回答)
回答 人数
感想を入力したくなるような事例が少ない 22
感想を入力しても自分にメリットが少ない 7
感想を公開してほしくない 5
批判,ヤジ等の感想の扱いを慎重にする必要がある 21
感想の入力のしかたがわかりにくい 4
その他(自由記述含む) 16
未回答 19

 「その他」と回答した調査研究対象者から挙げられた具体的な回答内容を表3−7に示す。

表3−7 その他の回答内容(自由記述)

No. 回答内容
1 感想を公開しても良いかのチェックボタンがほしい 。
2 もう少し情報がないと書きづらい。たとえば,きれい事ではない先生の感想,体験など。

(b)感想の登録の問題点に関するヒアリング結果

 調査研究対象者に対し,感想の登録の問題点ついてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(イ)感想の公開の問題点

  • 否定的な感想や批判の扱いは難しい。
  • 感想の公開前に管理者が査読することを明記してほしい。
  • 利用者ID所有者しか感想が登録できないことはやむをえないが,その旨を明示してほしい。

(ロ)公開の基準

  • 否定的な感想を入力して管理者が公開に不適切と判断したが,不適切と判断されたことに対する不満や反論が出たとき,どのように対処するのかがわからない。
  • 感想は個人によって千差万別なので,肯定的な意見だけでなく否定的な意見も尊重すべきである。
  • 否定的な意見でもそれを受け入れるか,批判と思い不快に感じるかも,個人によって温度差がある。ガイドラインを設けるなどして,慎重に扱うべきである。

(ハ)掲示板,チャット形式

  • 一つの事例を議論し高めあっていくためにも,管理者が査読するのであれば掲示板などの議論の場はあってもよい。
  • 否定的な意見,それに対する反論,管理者の判断など,水掛け論になることを防ぐため,チャットのようなことはするべきではない。
(4) 感想の登録活性化の要件

(a)感想の登録活性化に必要なもの

 調査研究対象者に対し,感想入力の活性化に必要なものについて調査を実施した。結果を表3−8に示す。

表3−8 感想の登録活性化に必要なもの(複数回答)
回答 人数
感想を入力すると報酬が得られる制度をつくる 5
自分が登録した感想に,事例登録者による返信がつく 28
感想だけでなく,事例について議論できる掲示板等の機能をつくる 41
感想入力の方法を改善する(自由記述含む) 4
その他(自由記述含む) 14
未回答 7

 「感想入力の方法を改善する」と回答した調査研究対象者から挙げられた具体的な改善内容を表3−9に示す。

表3−9 感想の登録の改善内容(自由記述)
No. 回答内容
1 「役に立った」等の選択肢や,クリックすると良い評価の度数が上がっていくなどの評価システムを設けたらどうでしょう。
2 感想だとどうしても意見が一方通行で終わってしまうので,会議室のような形で運営すべきではないでしょうか。

 「その他」と回答した調査研究対象者から挙げられた具体的な回答内容を表3−10に示す。

表3−10 その他の回答内容(自由記述)

No. 回答内容
1 掲示板みたいに使えれば良いかもしれません。
2 感想が提供した登録者に戻り,必要があれば返信をするというくらいでしょうか

(b)感想の登録活性化に関するヒアリング結果

 調査研究対象者に対し,感想の登録の問題点ついてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(イ)感想の登録作業

  • 授業情報を閲覧し,有意義な情報を得たのならお礼を一言述べるのは当然だと思う。しかし感想を登録することにあまり慣れていないうえ,公開が前提であるため,感想はあまり登録されないのではないか。
  • 本当によい授業情報なら,ダウンロードした指導案を印刷してじっくり読みたいとは思うが,その後感想を書くためだけにわざわざシステムにアクセスしたりしないのではないか。

(ロ)感想以外の評価情報

  • 事例に評価情報を付与するのならば,感想といった文字の入力だけでなく,チェック項目などを設け,利用者が簡単に事例に評価を与えられる仕組みがあるとよい。

(ハ)システムの目的

  • システムの目的が,授業事例に対して議論を行い高めあっていく場の提供なのか,多くの授業情報事例の公開と共有なのか,不明確である。授業情報を集めたデータベースシステム上で,感想登録や,事例に対する議論などを行うのは不可能ではないだろうか。
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3.4 利用者からの評価情報提供による,情報検索者の利用変化

3.4.1 調査研究方法

(1)調査研究対象者

 本調査研究項目の調査研究対象者は,「3.2 事例検索時における利便性の向上のための要件」における調査研究対象者と共通である。

3.4.2 研究結果データ

(1)参照された回数順表示機能

(a)参照された回数順表示機能の利用状況

 調査研究対象者に対し,参照された回数順表示機能を利用したかどうかの調査を行った。結果,76人中56人が利用したことがわかった。

(b)参照された回数順表示機能のわかりやすさ

 調査研究対象者に対し,参照された回数順表示機能のわかりやすさについての調査を行った。結果を図3−7に示す。


図3−7 参照された回数順表示機能のわかりやすさ

(c)参照された回数順表示機能の操作のしやすさ

 調査研究対象者に対し,参照された回数順表示の操作のしやすさについての調査を行った。結果を図3−8に示す。


図3−8 参照された回数順表示機能の操作のしやすさ (2)感想の一覧機能

(a)感想の一覧機能の利用状況

 調査研究対象者に対し,感想の一覧機能を利用したかどうかの調査を行った。結果,76人中28人が利用したことがわかった。

(b)感想の一覧機能のわかりやすさ

 調査研究対象者に対し,感想の一覧機能のわかりやすさについての調査を行った。結果を図3−9に示す。


図3−9 感想の一覧機能のわかりやすさ

(c)感想の一覧機能の操作のしやすさ

 調査研究対象者に対し,感想の一覧機能の操作のしやすさについての調査を行った。結果を図3−10に示す。


図3−10 感想の一覧機能の操作のしやすさ (3)もっとも使いやすかった機能

 調査研究対象者に対し,検索機能{キーワード検索(メニュー画面から),キーワード検索(詳しい検索),メニュー検索,自然語検索,ベストアクセス},参照された回数順表示機能,感想の一覧機能のうち,どの機能がもっとも使いやすかったか調査した。調査結果を図3−11に示す。


図3−11 もっとも使いやすかった機能

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3.5 情報登録者としての満足度,期待効果に対する結果

3.5.1 調査研究方法

(1) 調査研究対象者

 本調査研究項目の調査研究対象者は,「3.2 事例登録時における利便性の向上のための要件」における調査研究対象者と共通である。

3.5.2 事例登録における満足度,期待効果に対する結果

(1) 研究結果データ

 調査研究対象者に対し,情報登録者から見た事例登録の有効性,事例登録による効果,および事例登録の継続についてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(a)事例登録の有効性

  • 他の利用者からの反応がわかる
     アクセス回数の増加や登録した事例に対する感想等により,他の利用者の反応がわかり,自分の授業の改善に繋げることができる。
  • 登録事例数が増える
     どんな内容の事例でも登録を認めることにより,事例数が増え,事例登録に敷居の高さを感じている教員も登録しやすくなる。
  • 登録事例の質の向上
     登録する事例,登録された事例の精査を行うことにより,事例の質が向上する。新教育課程やコンピュータの動向に合った,効果的な事例が増えれば,自分の授業の参考にできる。

(b)事例登録の満足度

  • 自分の授業を再確認できる
     登録した事例に感想が登録されたり,アクセス回数が増えたり等,他の利用者からの反応を感じることができる。自分の授業を再確認し,よりよい授業へ改善するために努力しようという気持ちが持てる。
  • 自分の授業を発表できる機会ができる
     普段,事例を発表するのは地域内で,全国に発表する機会はあまりない。全国に公開すれば,全国の利用者から貴重な意見がもらえる。
  • 他の教員の事例に興味を持てるようになる
     他の利用者が自分の事例を参照するのと同様に,自分が他の教員の事例を参照するようになり,新しい発見ができる。

(c)事例登録の継続

  • 登録する事例の選定
     研究授業等で発表を行った事例であれば,登録してもよい。しかし,それ以外の事例を登録してよいか,するべきかの自己判断は難しい。
  • 教育委員会等とのタイアップ
     教育委員会,教育センター等からの推薦してもらう等,組織的な取り組みが必要である。
  • 新しい授業への取り組み
     新しい授業へ取り組むことにより,登録にふさわしい事例ができるが,それにはかなりの労力が必要である。また,自分の授業に絶対の自信を持っていない限り,登録には至らないのではないか。

3.5.3 感想登録における満足度,期待効果に対する結果

(1) 研究結果データ

 調査研究対象者に対し,情報登録者から見た感想登録の必要性,および感想登録者との交流についてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(a)感想登録の必要性

  • どんな感想でも登録してほしい
    • 授業を改善するときの参考にしたい。
    • アドバイスがほしい。
    • 否定的な意見もほしい。
  • よい感想なら登録してほしい
    • 否定的な意見が登録されないか心配。
  • 感想を公開する必要はない
    • 感想は情報登録者へ直接メールするしくみがいい。
    • 感想登録者にとっても登録しづらいのではないか。

(b)感想登録者との交流

  • 質問に対しては返信したい
  • 感想に対する返信はしたくない
  • 掲示板があるといい
    • いい議論ができるかもしれない。
  • 感想のやりとりは難しい
    • 悪い議論に発展する可能性がある。
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3.6 事例の登録・検索の活性化のための要件

3.6.1 調査研究方法

(1) 調査研究対象者

 本調査研究項目の調査研究対象者は,「3.6.2 事例の登録」については「3.1 事例登録時における利便性の向上のための要件」における調査研究対象者と共通,「3.6.3 事例の検索」については「3.2 事例検索時における利便性の向上のための要件」における調査研究対象者と共通である。

3.6.2 事例の登録

 調査研究対象者に対し,感想の登録の問題点ついてヒアリングを実施した。結果を以下に示す。

(1) 事例の登録活性化に必要なもの

(a)学校におけるインターネット環境の整備

  • 本システムはインターネット上で事例を検索,登録するシステムである。しかしながら,まだインターネット環境が整備されていない学校では,教員もWordやExcelの練習を行っている段階であり,事例の登録にはまだ程遠く,今後意識を高めていくステップが必要である。

(b)広報・普及活動

  • 本システムの存在を初めて知った。大変有効なシステムなので,システムを紹介する機会や場所を設けて宣伝するべきである。そうすれば大多数の人の目にふれ,多くの人がシステムの存在を認識すれば事例数もおのずと増えていく。

(c)教育委員会などによる組織的な取り組み

  • 教員は登録できる事例は持っているが,登録するという一歩踏み出すところになかなか進めないものである。教育委員会などが組織的に取り組めば登録活性化につながる。各地域の新教育課程にのっとった事例などの登録が進むとよい。

(d)先進的な事例の問題点

  • 教育委員会で情報教育推進校に指定されたような目玉事例を登録したほうがよい。一方で,先進的な事例ばかりだと,似たような環境がなく,参考にできない教員もいるという懸念がある。
  • コンピュータが好きな教員は自分でアレンジできるが,それほどでもない教員はとても真似できないと思うのではないか。

(e)事例登録のガイドライン

  • 事例登録を推進していくのはよいことであるが,一方で,氏名などの個人情報をどこまで公開したらよいかといったガイドラインの明確化が必要である。
  • 一般の教員が誰でも事例を登録してよいかどうかといった判断基準を,明らかにしておかなければならない。

3.6.3 事例の検索

(1)事例検索活性化に必要なもの

 調査研究対象者に対し,事例検索の活性化に必要なものについて調査を実施した。結果を表3−11に示す。

表3−11 事例検索活性化に必要なもの(複数回答)
回答 人数
事例の質を高くする。 46
事例の件数を増やす 60
感想を増やす 4
事例の検索方法を改善する(自由記述含む) 7
その他(自由記述含む) 20
未回答 2

 「事例の検索方法を改善する」を選択した調査研究対象者から挙げられた具体的な回答内容を表3−12に示す。

表3−12 事例検索方法の改善内容(自由記述)
No. 回答内容
1 速さと,的確なヒット。
2 検索結果を一覧として表示すること,それらを高速で表示できること,すばやく見比べられることが必要でしょう。

 「その他」と回答した調査研究対象者から挙げられた具体的な回答内容を表3−13に示す。

表3−13 その他の回答内容(自由記述)
No. 回答内容
1 成功例ばかりでなく,上手くいかなかった事例も重要。
2 ある程度,投稿されたものをチェックし,加筆をお願いする。
3 事例にもっと具体的な例があるとよいと思います。
4 ベストアクセスは面白い試みだと思います。

(2) 授業情報の実用性

 調査研究対象者に対し,授業情報の実用性について調査を実施した。結果を表3−14に示す。

表3−14 授業情報の実用性について
回答 人数
実用的だと思う 26
どちらかと言えば実用的だと思う 31
どちらとも言えない 9
どちらかと言えば実用的ではないと思う 9
実用的ではないと思う 1
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