E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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「酸性雨/窒素酸化物調査プロジェクト」実践研究報告書

1. 研究の概要
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1.1 背景
 酸性雨/窒素酸化物調査プロジェクト(以下,本プロジェクトという)は,酸性雨調査プロジェクトとして1995年に開始して以来,これまで継続的に活動を進めてきている。測定されたデータをインターネット上で収集/公開するための環境を構築し,多くのデータが蓄積されている。プロジェクト開始当初は,データ収集/公開の場を提供し,その活用は学校に任せていた。こうした活動を経てデータが蓄えられ,活用方法に関する知見が得られたところで,データを活用する典型的な方法を紹介し,そのためのツールもWeb上で公開してきた。昨年度は,活動の裾野をより広げ,体験参加校も含め,参加校を大幅に増やして活動した。
  全国すべての学校でインターネット活用が行われようとしている今,データ活用にとどまらず,インターネットを利用した教育手法/ノウハウを整備の上,提供していくことが重要である。
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1.2 目的

(1)教材化の推進
 本プロジェクトの参加校は100校を超え,教員のアイデア・工夫で様々な取り組みが実践されている。本年度はこれら事例の多くを収集し,教材的にまとめることを1つの目的とする。こうした活動は,幹事校・事務局だけでは想定できなかった様々な取り組みに目を向け,活動の場としてのプロジェクト全体の改善点を見いだすことにもつながるであろう。
 多くの参加校の中には,インターネット回線が未だ十分でないところも存在する。小規模に運営する場合であれば,共通の目的に向かって個別に支援していくことも可能であろうが,100校を超える参加校に対して個別のサポートを行っていくことは難しい。こうした困難の中で,各学校が自律的にどのように活動を行っているかは,これからインターネットの教育利用を進めようという学校に対して大いに参考になるはずである。
 観測データに関しては,これまでに2度,専門家の手で詳細に測定・分析してもらった。これは,各学校での観測・分析結果と比較・考察に用いるなど,中・高で進んだ学習を行おうとした場合に科学的な裏付けとなるものである。本年度もこの測定・分析を依頼し,交流や議論の土台として提供することを目的とする。

(2)プロジェクト運営体制の研究
 プロジェクト自身は常に動いているため,昨年度に引き続き,プロジェクト全体の運営方法,及び,運営体制に関する検討も継続する。特に,本年度はE-Squareプロジェクトの最終年度でもあり,今後のプロジェクト運営体制は問題である。具体的には,これまでプロジェクトと直接的には関係なかった機関の訪問/意見交換,地域ぐるみで特色ある取り組みを行っている事例の詳細な調査などを行う。こうした事例を分析し,プロジェクトを安定的に運営するための方針検討を行う。

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1.3 本年度活動の概要及びスケジュール

 本年度は,5月はじめから参加校の募集を開始した。昨年度までの参加校に関しては,担当者の異動・引継が行えないなどの場合をのぞき,ほとんどが参加を継続することとなった。昨年度は,特定地域(東京)の小学校30校を体験参加校とし,これまで事例の少なかった小学校での活用の可能性,及び,地域の理科活用研究会を拠点とした活動の広がりを模索した。本年度は,プロジェクトを定常的・安定的に将来に渡って運営していくことを念頭に,募集期間は設けず,いつからでもプロジェクトに参加できるものとした。
 参加校による雨水の観測は,定常的に行う。ただし,参加校ごとに様々な取り組み形態があるうるため,参加校のペースで自由に行ってもらうこととし,特別な強制はしなかった。昨年度は参加校が採集した秋の雨を,冷凍の上,広島大学中根研究室に送付し,イオン分析を行った。本年度は,プロジェクトを4月から立ち上げることができたため,梅雨時の雨をイオン分析し,傾向の違いなどを分析することとした。
 交流の場としては,一般的ではあるが,メーリングリスト,掲示板,チャットを用意している。掲示板はこれまで,誰でも読み書き自由なものを設置・運用していた。しかし,いたずらによる書き込みが発生するなどの問題があり,本年度はパスワード付きのものを利用することとした。ただし,制限を厳しくすると利用が進まないことが懸念されるため,参加校が共通のパスワード(合言葉)を共有する,という簡易なものとした。本プロジェクトでは,参加校が一同に介すようなことは困難であるため,各地の様子をお互いに共有できるよう,画像を投稿できるものとした。
 参加した学校には,プロジェクトに関わりながら,どのような活動・実践を行ったかを1月初旬までに報告してもらった。これらの結果は,実践マニュアルの一部としてとりまとめている。
 プロジェクト推進にあたっては,昨年度同様に推進委員会を組織した。プロジェクトの進み具合をみながら,必要に応じて委員会を開催することとし,結果,本年度は4回の委員会を開催した。
 これらに加えて,プロジェクトの継続体制,他組織との協力体制構築の可能性を検討するため,教育委員会や環境系の財団を訪ね,意見交換を行った。
 以上のうち,主要な活動とその実施時期を表 1-1に示す。

表 1-1 本年度活動概要

時期

内容

5月以降

新規参加校の募集開始。

(以降,参加は本年度活動終了まで受け付けることにする)

継続参加校は観測開始。

5月19日

第1回推進委員会。本年度キックオフ。

6月以降

教育委員会・環境系財団などを訪問。今後の体制,協力関係構築の可能性などを模索。

6月〜7月はじめ

雨水を採集・冷凍の上,広島大学へ送付。イオン分析を実施。

7月8日

第2回推進委員会。教材化のための方針検討。

8月

イオン分析の結果公表。

掲示板活用活性化のため,各地での酸性雨被害の写真投稿をよびかけ。

10月14日

第3回推進委員会。教材化方針に従い,推進委員メンバーにてサンプルを作成。他参加校への依頼方針など,詳細な議論。

12月

教材化にあたってのとりまとめ方法を確定の上,全参加校へアナウンス。活動内容のまとめ開始。

1月14日

第4回推進委員会。報告書作成にあたっての調整。参加校から集まった実践事例(教材)のレビュー,報告書への組み込み方法調整。

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