E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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「酸性雨/窒素酸化物調査プロジェクト」実践研究報告書

2. 酸性雨/窒素酸化物調査プロジェクト概要
 本年度の活動報告に先立ち,これまでの報告と重なる部分もあるが,本プロジェクトの概要を記述する。
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2.1 プロジェクトの全体像

 酸性雨の問題は古くから認知されており,環境学習として本プロジェクト以前からも取り組まれているテーマである。しかし,苦労して調べたものも,他との比較が難しく,調べた結果の利用や発表も学校内に留まり,次の活動に結び付けていくことが困難であったと言える。
 本プロジェクトでは,この壁を乗り越えるため,1995年にプロジェクトのホームページを立ち上げ,以来,インターネットを適材適所で活用しながら活動を進めてきた。観測結果はインターネットを通じて登録することができ,データは広島大学附属福山中・高に設置されたサーバに集約されている。登録されたデータは,自動的にインターネット上ですべてが公開され,他校/他地域との比較・分析が可能となる。
 データを集約するだけでなく,同様の活動を行っている者同士で交流し,学習を深めていくことも念頭に置いている。電子掲示板やチャットを運用し,活動を通じて生じてくる疑問の投げかけや,参加校間での交流に活用している。
 「自分達の手で観測した情報を発信し,それらをお互いに活用・分析し,その結果を元に発表・交流・反省を行い,次の活動に結びつけていく」という一連の活動を念頭に置き,プロジェクト全体としては,こうした活動を行うための手助けとなるような“場”の提供を目指している。本プロジェクト全体像のイメージを図 2-1に示す。

図 2-1 プロジェクト全体像のイメージ
図 2-1 プロジェクト全体像のイメージ

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2.2 実施体制

 本年度の企画では,これまで通り広島大学附属福山中・高等学校が幹事校として,プロジェクトのとりまとめを行い,環境に関する専門家として広島大学からの支援・助言を仰ぐこととしている。また,企業として三菱総合研究所が入り,事務的な対応,学校現場のニーズをシステムに反映させるなどの作業を行った。以上のメンバーを事務局として,プロジェクトを運営している。
 昨年度,プロジェクトへ積極的に取り組んでいる学校をサブ幹事校として選定し,事務局メンバーと会わせてプロジェクト推進委員会を組織した。推進委員会には,小中高の教員がそろっているため,本年度も同じメンバーで継続し,図 2-2に示す体制にて教材化のための検討を行うこととした。

図 2-2 プロジェクト実施体制
図 2-2 プロジェクト実施体制

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2.3 プロジェクト実施環境

 本プロジェクトの実施環境は,大きく分けて酸性雨,窒素酸化物の観測機器と,インターネット環境の2つで構成される。
 観測機器は参加校に無償貸与している。パイロットプロジェクトとしてある程度以上の規模でもり立てていくためには,機器貸与は必要な処置である。しかし,プロジェクトを安定的に継続運用するためには,観測機器もインターネット設備と同様,学校内で調達できることが望ましいと考えている。外部からの支援も重要だが,学校内で活動の位置付けをしっかりと行い,自助努力をしていくことも重要である。従って,消耗品の追加調達,破損の場合の対応などは,原則,各学校に任せており,意志があるのに継続がままならないような自体にのみ,事務局にて対応するようにしている。
 インターネット利用場面は主に以下の5場面である。

  • メーリングリストによる連絡/意見交換
  • Web画面からのデータ登録
  • Web画面によるデータ表示
  • チャット大会への参加
  • 掲示板による意見交換/情報共有

 データの登録や表示,分析は,すべてWebを用いたシステムで実現している。データ処理などの複雑なことは,プロジェクト事務局にて運営するWebサーバ上ですべて行っている。従って,参加校ではInternet Explore,Netscape Navigator といった通常のWebブラウザさえ利用できればよく,追加でソフトウェアを設定するなどの必要はない。

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2.4 プロジェクトへの参加形態

 本プロジェクトでは,比較的詳細に観測できる機器を無償貸与し,実際の観測活動,その意味を考える活動を事務局では重視してきた。しかし,参加校は必ずしも理科の活動として取り上げているのみではなく,別の視点で捉えている学校も多い。
 本プロジェクトでは,観測機器を無償貸与しているため,参加校には雨が降った際の観測と,そのデータの登録を依頼している。ただし,プロジェクト全体としては情報共有などのための場の提供を主な目的としており,データの観測及び登録以外に活動を制限するものはなにもない。
 これまで,プロジェクトを継続してきて,データを参照しているという報告がある。また,理科における活動だけでなく,国語や社会といった活動の中で題材として取り上げる事例も見られる。
 機器を貸与する以上,観測は行ってもらうことになるが,観測しないで,情報提供など,別の貢献を行う参加校がでてきてもよいかもしれない。そうした活動の広がりがでてくるだろう。現在のところ実体験を重視する立場から,同様の観測を行うことのできる学校のみを対象としている。ただし,プロジェクトへの様々な参加形態のあり方を検討する意味から,観測の負担を軽減するため,小学校用にはより簡易な観測機器での参加も受け付けることもしている。

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