E-Square ProjectEスクエア・プロジェクトホームページへ 平成13年度 成果報告書
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全国発芽マップ企画実施マニュアル

1.幹事校のマニュアル

 全国発芽マップのように参加校が多数にのぼり,参加校が日本全国にわたる協働プロジェクトを推進していく上で,幹事校として次の点に留意してプロジェクトを推進してきた。

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1.1 参加校の募集

 「全国発芽マップ」は,インターネットを活用した栽培学習である。
 この企画での約束事は,同日,同時刻に一斉に全国で同一の植物の種子を蒔いて栽培するということだけである。当然,その植物の成長の違いが表れてくる。参加校は,その成長の様子や児童・生徒の活動を電子メールやホームページ,さらには電子掲示板等で情報交換する。さらに,データをまとめて発表するなどの交流を図る。このようにインターネットを活用する協働的な学びの場が「全国発芽マップ」である。

1.1.1 参加校の募集にあたっての視点

1.1.1.1 広く全国各地からの参加校を募るようにすること。

 全国発芽マップでの約束事は,同日,同時刻に一斉に全国で同一の植物の種子を蒔いて栽培するということだけである。
 植物の成長は気象条件に左右される。当然,日本全国では成長の違いがでてくる。もちろん同じ地域でも子どもたちの学びは成り立つのであるが,気象条件による成長の違いがより表れた方が学習の効果が期待できる。また,植物の観察,成長の違いにとどまらず,そこから生まれてくるであろう地域の学習にも発展していくことで,社会科の学習,さらには総合的な学習の時間のテーマとしても発展していく可能性を秘めている。
 そのような観点からも広く日本全国から参加校を募ることが望ましいと考える。

1.1.1.2 それぞれの参加校がインターネットにアクセス可能であること。

 全国発芽マップ」は,インターネットを活用した栽培学習である。また,参加校は,その成長の様子や児童・生徒の活動を電子メールやホームページ,さらには電子掲示板等で情報交換し,データをまとめて発表するなどの交流を図るのが目的である。
 この企画への参加する最低条件として,参加校がインターネットにアクセス可能であることが挙げられる。

1.1.1.3 参加校の指導者がメーリングリストに登録し,電子メールの送受信が可能なこと。

 現段階では,参加校の活動の様子,連絡事項は主に全国発芽マップメーリングリストを通して行われる。つまり参加者の情報収集手段として,もっとも重要なものがメーリングリストといってもよい。インターネットへのアクセスと同じように電子メールの送受信が可能なことは最低条件として挙げられる。

1.1.2 参加校の募集にあたっての留意点

1.1.2.1 参加校の募集の案内は,全国一斉播種日の1月以上前から実施する。

 参加校の把握,共同で栽培する植物の選定,種子の調達,種子の送付などの作業を考えた場合,少なくとも,全国一斉播種日の1月以上前から参加校の募集を行う方がよい。

1.1.2.2 参加にあたっては,学校長の承認を得て申し込みをしていただく。

 参加校名は全国発芽マップ公式ホームページに参加校一覧としてweb上に掲載される。そのため指導者のみの判断ではなく,学校長の許可を得た上で参加していただく必要がある。

1.1.2.3 参加申し込みにあたっては,学校名,担当指導者名,電子メールアドレス等の必要事項を記入して申し込みをしていただく。

 幹事校はこのプロジェクトが進んでいく中で様々な連絡調整が出てくる。また,メーリングリストへの登録申請,変更申請,削除申請,参加校一覧の作成,参加校への連絡事項など参加校の情報を管理する必要がある。
 そこで,以下の内容を参加校の担当指導者に記入していただき,参加校の情報を管理することが重要な作業となる。ただ,入力の手間を考えると以下のように最低の項目数にとどめておくことも必要であろう。

(1) あなたのお名前
(2) 所属先
    例:宮崎県宮崎市○○小学校
(3) 登録希望の電子メールアドレス
    ※ 学校用でも個人用でも構いません。
(4) 学校等のURL http://
(5) 発芽マップに対するご意見等がありましたらお書きください。

1.1.3 参加校の募集の方法

 全国発芽マップ2000の参加校は162校である。昨年度は53校であった。その参加校の増加には驚かされる。
 参加校の募集の方法も数多く考えられるが,全国発芽マップ2000では以下のような方法で参加校の募集を行った。

1.1.3.1 メーリングリスト及び参加者のネットワークを大切にする。

 全国発芽マップには,現在のところ教師専用のメーリングリストが設置されている。そこで,そのメーリングリストを通して,これまでの参加者の方々へ参加の呼び掛けをしもらった。つまり,参加者のネットワークを大切しているのである。これは全国発芽マップの文化ともいえる,参加者がこの企画の推進者であることを物語っている。
 このことは全国発芽マップ企画に限らずインターネットを活用した学習を進めていく上では重要な考え方である。

1.1.3.2 公式ホームページ等を活用する。

 全国発芽マップには公式ホームページが存在する。そこに以下のような参加申し込みのフォームを作成し,そこから申し込みができるようにした。また,作成する際にできるだけ記入する項目を減らし,記入者の際の煩雑さを避けるようにした。このページからの申し込みは2000年4月17日から2000年11月19日にかけて118件にのぼった。

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1.2. 全国発芽マップメーリングリストの登録等

1.2.1 全国発芽マップメーリングリスト(hatsuga-map@cec.or.jp)への登録申請・変更申請・削除申請を行う。

 幹事校は参加校の担当者のメールアドレスを全国発芽マップメーリングリストへ登録する必要がある。以下の表は2000年度の登録申請・変更申請・削除申請の数であるが,ほとんど場合,4月,5月,6月に集中している。この時期には毎日のように登録申請をしているといっても過言ではない。そこで,事務処理をできるだけ簡素化するためにwebからの参加申し込みのページからのメールには必要事項が自動的に明記されるように設定した。

***********************
氏名=○○○○
学校名=○○県○○市立○○小学校
アドレス=
URL=http://
***********************

1.2.2 メーリングリストの使用にあたっては,署名をつけていただく。

 活動が始まり,メールが頻繁にやりとりされるようになることは,インターネットを活用した学習を展開する上では大変喜ばしいことである。ただ,参加校が100校を超えると相手が見えなくなってくる恐れがある。そこで,できるだけ相手が分かるように差し支えない範囲において署名をつけていただくことを参加校のみなさんにお願いした。

(例)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
 学校名:宮崎大学教育文化学部附属小学校
 住 所:〒880-0026 宮崎市花殿町7-49
 名 前: 中西 英(全国発芽マップ・算数担当)
 Name: Suguru Nakanishi
 TEL:0985-24-6706 FAX:0985-24-3176
 URL:http://www.fes.miyazaki-u.ac.jp/
 e-mail: nakanisi@fes.miyazaki-u.ac.jp
 Address :7-49 hanadono-cho ,Miyazaki City,Miyazaki,Japan 880-0026
 School Name:Elementary school attached to College of
 Education,Miyazaki.University
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

1.2.3 メーリングリストの使用の際の留意点の共通理解

 参加校のインターネットの接続環境は様々である。ダイアルアップ回線環境もあれば専用線環境もある。それも含めてメーリングリストの使用の際の最低限の取り決めをしておく必要がある。
 そこで,以下の内容を年度当初に取り決めとして共通理解を図った。

a.アドレスの新規登録及び変更,削除については幹事校が集約して申請すること。
b.アドレスの変更については旧アドレスと新アドレスを併せて送ること。
c.参加している学校のホームページへのリンクは自由であること。ただし,画像,文章など作成者の許可を得る必要があると考えられるものの使用については,個人的に承諾をえるようにすること。
d.メールへ写真等,画像の添付は原則的にしないこと。
e.ホームページを公開できない学校等はできるだけ画像等の容量を小さくして添付すること。
f. メールをHTML形式ではなく,メール用のソフトの初期設定を「テキストメール」とか「書式なし」にすること。

1.3. 共同で栽培する植物及び全国一斉播種期日の設定

 全国発芽マップでの約束事は,同日,同時刻に一斉に全国で同一の植物の種子を蒔いて栽培するということである。この唯一のきまりがあるからこそ,子どもたち及び教師の学びが生まれてくるのである。また,全国発芽マップの活動は参加者自らがつくっていくという特徴がある。
 それらのことを考慮すると,共同で栽培する植物及び全国一斉播種期日の設定については以下の2点が重要なことになってくる。

1.3.1 共同で栽培する植物の選定については,広く意見を求めた上で決定する。

 このプロジェクトの活動は参加者の主体的な活動によってつくられる。共同で栽培する植物の選定についても参加者がかかわって決めていくことで,その後の活動へのかかわりも主体的になってくると考える。
 また,共同で栽培する植物の選定については,1年間の活動を左右する重要な事柄であるため,その植物の特性,教育的な意義等を十分検討して決定していくことが大切になってくる。
 例えばケナフは,1997年から2000年の4年間連続で全国発芽マップの共同栽培植物に選定されている。その教育的な意義ととして以下のことが考えられる。

a ケナフが1年草で,播種,発芽,開花,結実の成長過程が,学校の1年間の流れに合っていること
b 栽培管理が比較的容易で,しかもその成長は速く,子どもたちに驚きや感動があり,継続観察を行う上で魅力的であること
c 活動を行う中でケナフの会などボランティア団体の協力を得やすいということ
d 収穫の時期になると観察だけでなく,紙すき,料理,工作などの活動に発展する可能性があること
e 電子メールなどの電子媒体での交流から,ケナフの葉書などの非電子媒体での交流につながること
f ケナフの特性を考えることで,環境問題を考えていくきっかけになること
g 平成14年度から実施される総合的な学習の時間のテーマとしての可能性を秘めていること

 以上のような教育的な意義があるため,これまでの参加校の教師から共同栽培の植物として選定されているものと考える。
 つまり,上記のような学校現場での教育的意義を十分ふまえた上で共同で栽培する植物の選定を参加者との意見交換をしながら進めていく必要がある。

1.3.2 全国一斉播種期日を設定する。

 このプロジェクトを進める上では同日,同時刻に播種することで成長の違いから学習が生まれてくる。ただ,全国規模のプロジェクトのため,植物の特性や全国の気象条件などを考慮しながら全国一斉播種期日を設定する必要がある。
 設定した播種期日については,栽培する場所の確保,耕作の時間などを考慮し,少なくとも1ヶ月前には連絡しておく必要がある。

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1.4 参加校に対する種子の提供及び送付

 全国の参加校に対して,種子の有無を全国発芽マップのメーリングリストで問いかけ,種子のない学校や新しく参加した学校については幹事校から種子を送付する必要がある。
 ただ,幹事校から全て種子を送るのではなく,これまでの参加校のネットワークを生かすことにより,準備段階からも参加校同士の交流が始まることも考えられる。

1.4.1 共同で栽培する植物の種子の有無についての問い合わせ

 共同で栽培する植物の選定及び全国一斉播種期日の設定と同時に種子の有無について参加校に問い合わせを行う。
 種子の手配,参加校への送付などの作業を考えるとやはり全国一斉播種の1ヶ月前にはその問い合わせをしておくべきであろう。

1.4.2 送付先の郵便番号,住所,氏名等の連絡

 事務局の種子の発送作業をできる限り簡素化するために,以下の項目を記入していただくようにする。

------------------------------------------------------------------
種子の送付希望書
種子の送付先
郵便番号:(   -    )
ご住所:(                )
学校名:(                )
お名前:(                )
------------------------------------------------------------------

1.4.3 参加校への種子の送付

 全国発芽マップ2000では参加校が162校にものぼったため,種子の送付についても全国50校以上に送付した。

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1.5 観察結果の共有化(Web化)

1.5.1 全国発芽マップ公式ページの作成

 全国発芽マップ公式ページを作成し,これまでの活動の様子や,最新情報を得ることができるようにする。トップページは内容を精選し,利用者が見やすい,使いやすいものを目指した。項目は以下の通りである。

a 全国発芽マップの趣旨
b 参加校募集の案内
c これまでの発芽マップの活動の様子(平成7年度から平成11年度)
d 参加校一覧
e 参加申し込み
f 宮崎大学教育文化学部附属小学校
g 宮崎大学附属小学校の活動
h 参考資料
i インターネットを活用した植物の栽培育成マニュアル(PDF)
j 平成11年度「全国発芽マップ実践企画」実施報告書

1.5.2 参加校一覧のページの作成

 参加校がそれぞれの活動の様子を把握することができるように参加校一覧のページを設けた。全国発芽マップ2000では,参加校が多く162校になったため,アンカーを設けて地域毎に表示されるように工夫した。

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1.6 観察活動の推進

1.6.1 全国一斉観察日の設定

 参加校の活動は基本的に各参加校の主体性にまかせている部分が多い。ただ,植物の観察という点で期日を設定し,観察の観点をある程度焦点化した方が観察結果の共有化を図る上でも有効であると考える。
 そこで,以下のような観点を全国発芽マップのメーリングリストを通して流し,観察結果を共有することにした。

1.6.2 観察活動の呼び掛けや参加校の活動の紹介

 各参加校の観察や植物の成長の様子を共有し,それに対する反応を電子メールでできる限り行うことで観察活動への意欲付けを図る必要がある。また,参加校のホームページで観察や活動の参考になるものがあれば,メーリングリストを通して積極的に紹介していく。

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1.7 観察結果を活用した授業を実践

1.7.1 全国発芽マップを活用した学習の在り方を研究する。

 観察結果等を活用して,各教科,特別活動,総合的な学習の時間の各領域において授業を実施するとともに,全国発芽マップを活用した学習の在り方を研究する。
 ※ 授業実践例参照

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