2.プロジェクトの概要




2.1 プロジェクトの全体像

 本研究では院内学級での学習を支援するeラーニング実験環境を構築し、その有効性および課題を明らかにする。
 本eラーニングシステムは、図1に示すように、1,本校の授業へのライブ参加、2,教師等との個別のコミュニケーション、2,オンデマンドによる自己学習、により構成される。
 院内学級からは、学校(本校)での授業を高品質画像でリアルタイムに受けることができる。本校の教師は、このeラーニングのために特別な教材を作成することなしに、普通の授業を実施すればよい。学習者は、板書の内容を詳しく見たり、理科の実験の授業の様子を知るために院内学級側から本校教室に設置したカメラをコントロールできる。本校教師は、院内学級の学習者の状況をカメラでモニターでき、院内学級側から質問もできる。
 本校の授業への参加に加えて、教師、カウンセラー、保護者、友人等と映像・音声を用いたリアルタイムのコミュニケーションおよび掲示板を利用したコミュニケーションを実施することができる。英語の発音の練習は教員やALTがマンツーマンで行う、精神的なケアはカウンセラーや親が行う、学習についての学びあいは友人と行う、などのかたちで個別のコミュニケーションを行う。なお今回は実験的に各学校からのアクセスとする。

図1 参加型eラーニングのイメージ
    

 さらに、院内学級の治療や体調など学習者側の時間的な制約もあるため、すきな時間に授業の録画をオンデマンドでも見ることができる。また、知識習得、定着などのために、サーバ上の各種コンテンツを利用して学習者の学習進度に応じた自己学習を行うことができる。提供するコンテンツは教師の負担を減らし、効率よく学習を進めることができるよう、教育委員会が既に所有しているもの、教材会社が作成したものを利用する。
 なお、実証実験のeラーニングシステムとしては日本電気株式会社製i-collabo Learningを活用する。
 また対象教科は全教科での対応は可能であるが、実験で利用する教科については、別途学校側と協議の上決定する。



前のページへ 次のページへ