1.プロジェクトの背景・目的




1.1 背景

 昨今、学校教育において「子どもの学習意欲の低下への対策」や「個性に応じた能力の伸長」が求められており、少人数学級や習熟度別クラス、チームティーチングなどの新学習システムによる改善が意図されている。しかしながら、多くの授業では、一人の教師が 30〜40人の子ども達の面倒を見ているのが現状である。


1.2 目的・狙い

 「子どもの学習意欲の低下への対応」や「個性に応じた能力を伸ばす学習」を実現し、確かな学力を子ども達に身につけさせるには、 IT(情報通信技術)を活用した個に応じた学習が有効である。本プロジェクトでは、一斉学習、習熟度別学習、放課後個別学習及び自宅学習において効果的な個別学習を実現するために、USBメモリ(以後 USB学習帳 と呼ぶ)という新しいIT教具を提案し、その有効性を検証する。
 USB学習帳は電子版書き込み型学習ノートであり、子ども達の学習履歴データ(ポートフォリオ)を格納する領域とともに、eラーニングソフトを格納する領域も具備している。パソコンに装着するだけでいつでもどこでも学習を開始することができる、携帯性・操作性に優れたIT教具である。USB学習帳を活用することにより、一斉学習、習熟度別学習、放課後個別学習及び自宅学習といった子ども達の様々な学習活動の中で、子ども達が自分自身のペースで、いつでもどこでも、学習できる環境(以後 ユビキタス学習環境 と呼ぶ)を実現するのである。例えば、子ども達が学びたい時に過去につまずいた内容にさかのぼって学習することも可能である。
 さらに、グループ別でのセグメント分けが容易で、かつ室内の自由なレイアウトの実現が可能な無線 LAN技術を活用したコミュニケーション空間(以後 IT自由教室 と呼ぶ)を実現した。その有効な活用方法を検証することにより、普通教室でも手軽にITを活用した授業を実践できる仕組みを提案する。


1.3 期待する教育効果

 普通教室において、 USB学習帳とIT自由教室を活用した授業実践を取り入れることにより、子ども達一人一人の学習意欲を向上させ、主体的な学びを身に付けさせることが期待できる。
 また、教師も、子ども達一人一人の、日々の学習活動の中で USB学習帳に蓄積されるポートフォリオから、子ども達の学びの過程を観察し、個別指導及び授業設計に役立てることが可能となる。これにより、子ども達と教師との間で、より「いきいきとした学習」、「わかる学習」が展開されることが期待される。それが、子ども達の確かな学力の育成につながるのである。



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