はじめに




異能者集団によるチームワーキングを体験する

 「異なる能力を持ったものが協力し合って大きなプロジェクトを成功させること」は子どもの頃からの憧れである。童話では「6人の家来」(グリム童話),マンガでは「サイボーグ009」(石ノ森章太郎),映画では「7人の侍」(黒沢明)を好んで見てきた。最近では NHK 総合の人気番組「プロジェクト X 」にはまっている。
  今回, E スクエア・アドバンスの「 IT 活用教育推進プロジェクト」の中での「子どもと大人が集い 創る 総合学習デジタル博物館」の開発を通して,「異能者集団によるチームワーキング」を体験できたことはプロジェクトリーダーとしての最大の喜びである。2つの大学の研究者,3つの企業の開発者,5つの小学校の実践者,博物館員,大学院生と学部学生など,総勢40数名からなる分野や世代を越えた大プロジェクトとなった。そして,実際に博物館づくりを行ってくれた子どもたちの存在を忘れてはならない。まさに,開発者と実践者,子どもたち,そして研究者,院生・学生が集い創ってきた総合学習デジタル博物館となった。

 

総合的な学習のさらなる充実・発展に寄与する

 今回の構想が生まれたきっかけは平成14年夏の「鳴門セミナー」である。10数年にわたって私の研究室が主催してきた,主に総合的な学習や生活科,情報教育に関しての実践交流の場としての1泊2日の宿泊型セミナーである。
  「総合的な学習で防災教育を実践しているが子ども向けの博物館がない」と訴える教師,岡山市においてデジタル博物館開設の準備をしている博物館員,遠く離れた教師や子どもたちを繋ぐ協同学習用ツール「わいわいレコーダー」の開発者の各々の発表と,「子どもの追究課題に関する専門家の支援をもっと継続的に行えないか」「子どもたちの学習の成果を真に興味ある関係ある人に発信できないか」と考えていた私の思いと絡まって「でじたるキッズミュージアム」構想につながっていった。
  「でじたるキッズミュージアム」は子どもや大人が自ら興味関心のあるテーマを追究し,発信し,同じ興味を持つもの同士がつながり合うことを可能にするものである。小中高等学校で実施されている総合的な学習の充実・発展に寄与できるだけでなく,教員養成においても長いスパンで子どもの学習とかかわることで継続的な教育実習を行うことができる。また,博物館学習や生涯学習を支援していくツールとしても有効なものとなる。様々な分野での活用の可能性の高いツールに仕上げることができた。
  最後に,このような機会を与えていただいた財団法人コンピュータ教育開発センターに対して改めてお礼を申し上げたい。


平成16年2月13日    プロジェクトリーダー : 村川雅弘



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