5.実践報告




5.1 サポート体制とその支援状況


(1)サポート体制

 本研究の実施にあたり、環境の整備及び研究時の適応指導教室のトラブル対応等、適応指導教室の要望に迅速に対応できるように次の体制で望んだ。


(2)支援状況

    1. 研究環境の整備及びトラブルシューティング
教室名 月・日 内  容
社内 8月08日 中間教室用 パソコンセットアップ
ふれあい学級 9月11日 ジャストシステム製品の追加セットアップ>
ふれあい学級 9月26日 ホームページ更新設定と手順説明
犀南中間教室 10月5日 インターネット接続設定
東北中間教室 10月9日 ウィルスバスタインストール作業
城山中間教室 10月15日 メールのアカウントツール設定
ふれあい学級 10月27日 犀陵中学校側 LAN 配線故障修理
城山中間教室 11月19日 「WEBで宿題」 接続設定対応
犀南中間教室 12月02日 WindowsMediaの接続不調対応
松代中間教室 12月03日 ゲームのインストール作業
ふれあい学級 12月12日 Wordの動作不良 再インストール作業
城山中間教室 12月16日 ファイル共有設定
フルネットセンター 12月18日 中間教室配備用パソコンの再セットアップ作業
犀南中間教室 12月24日 パソコン納品・設置・ LAN配線
犀南中間教室 1月14日 中古パソコン用スピーカ納品・ホームページ作成支援
ふれあい学級 1月15日 パソコン納品・設置・ LAN配線
東北中間教室 2月06日 インターネット接続不良 設定変更
東北中間教室 2月09日 WindowsXP再インストール作業
    1. 研究に際しての準備作業
      1. 各教室における課題の把握と対応
      2. 参加者の募集
          不登校傾向児を抱える学校の数は、相当数に上る。また、その関係者、すなわち、保護者、在籍校の校長、教頭、原級担任の数も相当数に上る。その方々に、本研究の趣旨を理解し、協力体制をとって頂く必要がある。
          研究に積極的に参加頂いている適応指導員の声かけ及び教育委員会からの文書依頼などを通じて、保護者や原級担任等不登校傾向児を支えて頂く多くの方々への積極的な働きかけを行った。
          参加者 合計 103名(うち、適応指導員5名、生徒 33名)
      3. IDとパスワードの管理
        IDカード(個人に1枚を配布)
    2. 操作説明会の充実
      1. 実施時期
         本研究に実施にあたり、マニュアルと ID を渡すだけではなく実際にパソコンで 「WEBで宿題」 を立ち上げツールと接しながら操作を実習しなければ利用促進にはつながらないと考えた。また、操作説明会の場で、児童・生徒や適応指導員等にメールを送受信することで、ツールの向こうにはコミュニーションをする相手が存在することを実際に感じてほしいと考えた。
         実施にあたっては、適応指導教室の全体会において講習を行い、 「WEBで宿題」 担任通信欄に「操作説明会」のお知らせを載せ、要望があった教室から、実施した。
「操作説明会」実施日程
教室名 実施時期 対象者  主な説明内容*
南部中間教室 10月15日 メンタルフレンド 担任通信欄、会議室
10月21日 親子(児童・母親) 担任通信欄、会議室
ふれあい学級 10月29日 生徒・メンタルフレンド 担任通信欄、会議室
10月29日 原級担任 担任通信欄、会議室
11月04日 生徒・メンタルフレンド 写真取り込み、メール添付
12月10日 生徒・原級先生 担任通信欄、会議室
東北中間教室 10月16日 生徒・メンタルフレンド 担任通信欄、会議室
11月18日 原級先生 担任通信欄、会議室
11月19日 校長先生(室長) 担任通信欄、会議室
*担任通信欄はメール機能、会議室は掲示板機能
    1. 各教室における反応

 b.1南部中間教室

  10月21日 児童と保護者合同の操作説明会実施「パソコン講習会」
メールはお母さんと子ども
と両方から来ました。

さっそく保護者と児童の両方からメールがきたという報告をもらった

○利用状況(保護者)
  10月にメール送信が多い。保護者向け「操作説明会」10月21日


  b -2ふれあい指導

  10月29日 生徒、メンタルフレンド向け操作説明会実施(1回目)
  10月29日 生徒FAさん、生徒FBさんの原級担任向け「操作説明会」実施
  12月10日 生徒FCさんの原級担任向け「操作説明会」実施
S中学において原級先生参加、メールを生徒に送ってもらった。

生徒たちの関心の高さといきい
きとした表情での取組みがよか
った。

  11月04日 生徒、メンタルフレンド向け操作説明会実施(2回目)

○利用状況(生徒)
  「操作説明会」を行った、 10月から11月にかけての使用が多い。


 b -2 東北中間教室

  11月16日 児童生徒向けに操作説明会
原級先生向け操作説明会
  11月18日 東北中間教室、原級担任向け操作説明会実施
  11月19日 T中学校長先生向けに操作説明会実施
メールでの質問もいただいた。

生徒FCさんにも担任からメールが届いた

生徒 T5 さんの書き込みに
返事を書く担任の先生

○利用状況(原級担任)
  操作説明会を行った、10月から11月にかけて、メール送信数が増えている。

○操作説明会良かった点
   ・原級先生に「WEBで宿題」について説明でき研究の趣旨を説明できた。
   ・先生から率先して生徒にメールを送ってもらえたこと。


    1. 新聞作りサポート<城山中間教室>
  12月8日 学級新聞作成講習会
  (講習内容) ・ホームページビルダーを使って簡単なWEBページの作成
・ビデオの撮影方法実習


適応指導員と相談しながらサポートを進める
パソコンに向かう生徒たち
  12月22日 「学級新聞が出来た」という連絡を適応指導員よりいただく。
  12月24日 クリスマスの日に掲載をしようと生徒たちの間で計画が出来上 がった。
  12月24日 午前10時 皆集まっているところで掲載できるはずであったが・・。
トラブルにより教室から掲載できることができなかったが、同日夜10時頃データを持ち帰り掲載できることが出来た。
  12月25日 生徒J5さんが教室を代表して「みんなの会議室」に書きこみ
B適応指導教室の生徒FBさんからさっそく反響があった。


(3)サポートのあり方

 新しいシステムの利用にあたって、利用者は、その利用目的、仕組みまた実際の使い方を理解することは困難を伴う。まして、コミュニケーションツールとして位置づけ、日常利用するには努力を伴う。また、今回のケースは、利用する対象者が多数に渡り、所在も点在するという現実があった。
 そして、この研究の中心的役割を果たした適応指導員は、必ずしもパソコンを熟知しているメンバーとは限らなかったが、前向きに取り組んでいただいている姿勢が伺えた。
 そこで、サポート部隊は、適応指導教室を中心に在籍校にも足を運び、システムの利用方法について説明会や個人指導を行った。
 また、本研究において適応指導員の役割は重要であり、適応指導教室において、常時不登校傾向児に接しながらITの利用研究を推進していただくためには、充実したサポート体制は必須条件であった。
 適応指導員が、不登校傾向児の発信した情報を的確にキャッチし適切な対応をしていただけるように、トラブル対応を含め、迅速に対応できるサポート体制をとったことは、適応指導員が安心して「WEBで宿題」を利用し、不登校傾向児に対応していただけることとなり、本研究が短期間ではあったものの、多くの実践事例を残すことができたと考える。
 また、学級新聞の作成時をはじめとするサポート部隊による利用支援の実践から、適応指導教室において、IT利用を支援するサポート部隊は、適応指導員との連携すなわち、システムのトラブルや利用支援に止まらず、教室内においても子どもの状態に寄り添う対応が、求められていることを痛感している。



前のページへ 次のページへ