1.プロジェクトの背景・目的




 近年、小中高校での国際理解教育への関心が高まり、総合的学習の時間等を利用して国際交流を行う試みが増えてきている。しかし、国際交流においては、コミュニケーション言語の問題が大きな障壁となっており、実際には十分な交流が行えないケースが多い。国際社会においては、英語を中心とした外国語の習得・活用能力が必要であると言われているが、現実的には、英語に限っても十分活用できる者は多いとは言えない。ましてや、小学生については、英語の習得を前提とすることはできない。また、中国語や韓国語のように英語以外の外国語となると活用できる者は非常に少ない。国際交流授業においては、相手国の言語の習得を前提とできないことのほうが一般的である。
 昨年度は、このような状況を解決する手段として自動翻訳機能を持った電子掲示板の利用を提案し、国際交流授業において実践を行った。また、補助手段としてテレビ会議システムの利用実験も行った。結果として、以下のような有効性が確認できた。

 一方で、コミュニケーション言語以外の問題として、交流をどう運営するかということも重要な課題であり、運営ノウハウの蓄積が必要であることが明らかになった。
 本年度の研究では、昨年度の研究成果を踏まえ、より多くの国際交流の場面で国際交流支援システムを適用し、その有効性を再確認するとともに、運営上のノウハウを蓄積することを目的とした。特に、国際交流の仲立ちをするコーディネーターの重要性に着目し、コーディネーターのあり方についても実験の中で明らかにすることとした。



前のページへ 次のページへ