1.提案プロジェクトの目的




 心の教育が叫ばれている背景には,知識習得としての学習と全人格教育としての学習のかいりがある。学習とは本来,知識を通して人としての心と生き方を学ぶべきものであるが,現代の児童生徒の学習は,知識の習得にのみ終始し,人格形成に結びつきにくいという問題が起こっている。こうした問題の解決策として,昨年度の研究では,児童生徒のイメージを広げ理解を助ける優れたディジタルコンテンツに,見方・考え方,願いを付加情報とした「心も育つ理科コンテンツ」の制作と,その指導法,カリキュラム開発と活用の在り方を実証した。 授業実践により, 「心も育つ理科コンテンツ」は, 小・中学校の理科,道徳等で様々な展開が可能であることが分かった。                     一方,心を育てるコンテンツが心を育てるのではなく,見方・考え方をとりあげた授業展開を行って初めて心が育つことも明らかになり,他分野,他教科でも 見方・考え方を付加情報としたコンテンツの充実と,見方・考え方をとりあげた授業展開 の普及・啓発の方法を研究することが一層必要であると考えた。
  今年度のプロジェクトでは,1.「教員研修の期間短縮と低コスト化」を目的とした ディジタルコンテンツ活用スキル向上のための手当てのパッケージ化及び2.他校種で の授業実践 の2観点で,汎用性の向上を目指し,普及啓発をねらいとして昨年度に継続して取り組むこととする。

汎用性向上の2観点

    1. ディジタルコンテンツ活用スキル向上のための研修期間短縮と低コスト化」

     児童・生徒と教師のコンピュータ操作のための技術向上は,研究推進のため必要最低条件である。昨年度の研究では,専門のインストラクタ(以後ICT活用授業アシスタントと呼ぶ)を週2〜3日のペースで起用して,児童生徒にはディジタルコンテンツを探すスタンプラリーを実施することで,朝・昼・放課後などに楽しみながら,約3か月でコンピュータ操作のための技術向上を行った。また,教師の校内研修は,コンピュータの操作,学習ソフトの活用法,教材作成,電子情報ボードの操作法を週1,2回計画的に実施した。その結果ICT活用授業アシスタントの補助さえあれば,いつでも ,どの教師でもコンピュータを活用した授業が可能となった。こうした児童生徒のコンピュータ操作のための技術向上や教師のコンピュータ活用授業の研修を,一層短期間,低コストで実施できるよう改善することで汎用性を高めることをねらいとする。

  1. 「他校種で の授業実践」

 昨年度は,小学校理科の生物分野を中心としたコンテンツ制作であったが,今年度は,中学校理科での活用を想定した既存コンテンツの改善及び地学分野のコンテンツも開発して,心も育つコンテンツ開発のコンセプトの汎用性を実証するとともにコンテンツの充実を図る。



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