1.プロジェクトの背景・目的




1.1 背景

 ミレニアムプロジェクトに基づいた小中校のネットワーク環境整備に平行して、平成14年度より完全実施された新学習指導要領では、「わかる授業」を展開するための道具としてのIT活用が重要視されている。

 一方で、授業におけるITの活用場面が増えるに伴い、三鷹市立第一小学校( http://www.education.ne.jp/mitaka/ichisho-es/index.htm)や同第三小学校( http://www.education.ne.jp/mitaka/sansho-es/ )の実践に代表されるように、携帯情報端末の携帯性と機能の高さに注目した学習活動が、試験的に行われるようになってきた。特に、第一小学校には、本プロジェクトメンバーが訪問し、取り組みについてお話をお伺いしたが、PDAを活用した校外学習や理科での取り組みなど、グループ活動による取り組みが多くなされている。

 また、一方で、小中学校における体験学習の一環として訪問する機会が増えている社会教育施設においても、携帯情報端末の特性を活かした来館者サービスがはじまっている。例えば、デジタルネットワークミュージアムDinosaur FACTory(http://dinosaurfactory.jp/)では、「展示物に対する来館者ひとりひとりの興味や見学ペースに対応した情報提供の実現」というコンセプトのもと、展示にかんする解説機能を備えたPDAが貸与されるシステムとなっている。

 これらの取り組みは、情報ネットワークへのアクセスが固定設置されたパソコンに限定されがちな現行の学習環境では、子どもたちの自由な学習活動におけるツールにはなり得ていないのではないかという課題に対する、先生方及び社会教育施設からの提言だと考えられる。

 そこで、本プロジェクトにおいては、ユビキタス社会に向けてさらに一歩踏み込み、子ども一人に一台の携帯情報端末を用意することで、「日常的な学習活動の中で、子どもたちが、個々に様々な情報を利用し発信できる学習環境」を実現し、学習の広がりを検討するとともに情報ネットワークの効果的な活用方法を追求したいと考え、本提案に至った。


1.2 目的・狙い

 本プロジェクトでは、携帯情報端末の中でもPDAに注目し、PDAがもつ「軽量かつコンパクトな形態、簡単に情報ネットワークに接続できる機能性」に焦点をあて、携帯情報端末の特性を活かした新しいタイプの学習活動を提案するとともに、携帯情報端末を介して利用する教材活用システムを試作し、その性能及び学習・教授効果について実践授業に基づく検証を行うことを目的とした。
 尚、本提案に基づくプロジェクトの遂行にあたっては、情報教育を専門とする研究者、現場の教員、社会教育施設の教育担当者、教育向けソフトウェアを開発/販売している企業が一つのコンソーシアムを編成することで、学校現場のニーズに応えつつも、多角的な視点にたった提案となることをめざした。


1.3 期待する教育効果

 校内・館内LAN、H"をはじめとするネットワーク回線環境が充実していることを前提として、本プロジェクトが、PDAを学習活動の中に取り入れることに対して想定した教育効果は、以下の4点である。
(1) 授業内評価の充実による基礎学力の定着。
(2) 子どもたちに提示する教材の質の広がり(音声データなど)。
(3) 校外における学習時のデータ共有による子どもたちの学習活動の促進。
(4) 社会教育施設(水族館)と学校との連携による学びの広がり。




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